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「やりたいことを見つける」ではなく「満たされない部分を探す」

「やりたいことがない」についてまだ言ってるのか、と自分でもそのしつこさに驚きますが、自分に見えているものを誰かに伝えるには、何度も何度もあらゆる方向から話してようやくすこしだけ伝わるものだと思っているので、まだ言います。

やりたいことを「見つける」ではなく、やりたいことが「ない」について考えている時点でもわかるように、わたしは不足や欠陥など「ない」ものから考えはじめるクセがあります。思考のクセや偏りは、それがいいものかどうかは置いておいて、自分にとっては当たり前だけど、誰かにとっては「そういう考え方があったか」とあたらしい視点の発見になり得るので、偏り上等という前提で、書きます。


「やりたいことがない」ってどういう状態?

「やりたいことがない」という状態には、いくつかの要素が混ざっています。

・自分に合う職業がわからない
・「これをしたい」という欲や感情がでてこない
・現状への不満と将来への不安


などです。ほんとうはそれぞれまったく別の問題なのですが、「やりたいことがない」というときに、これらがごっちゃになっていることがよくあります。そして、問題が混ざっていることに自覚がないので「自分に合う職業がわからない」だけを解決しようとして「やりたいこと=自分に合う職業」をみつけようとしてしまいます。

というか、わたしもそのひとりだったので、よくわかります。

なぜそうなってしまったかというと、わたしの場合、遡ると中学2年生の進路指導で「将来の夢」という作文を書かされた経験からでした。学校の勉強を続けた先には就職活動があり、「将来の夢」とはつまり「将来就きたい職業」のことでした。「やりたいこと」=職業という刷り込みや思い込みは、ここからはじまっていました。

ふたつのタイプの進み方があるよね


わたしは「将来の夢」がなぜ書けなかったのか。
人生の進め方にはざっくりふたつのタイプがあると考えています。

・将来の目標に旗を立て、そこを目指して進むタイプ
・旗を持ちながらその都度行きたい方に進むタイプ

「将来の夢」に向かって進むやり方は、前者のタイプには向いていますが、後者のタイプには向いていないのです。

わたしは完全な後者のタイプで、今でも大きな目標を立てることができません。目の前のちいさな目標をひとつひとつ越えながら、その先にどこに行くかはわからないけど、いい匂いのする方を選んで進めば、イヤなところにたどり着くことはないだろうと思っています。

タイプによってやり方がちがうだけなので、将来の夢や目標がなくても大丈夫です。

「夢組と叶え組」という考え方もこのタイプのちがいで、夢や目標として未来が見えなくても、「今、目の前のこの人がいるから」という動機でやることを決め、居場所や役割ができることはあります。


そもそも仕事とは何か、知らなかったよね

仕事(職業)を「できることをして、人の役に立って、お金を稼ぐ」だとすると、「自分がなにをするか」を決めようと考えても、学生の時点ではまだなにもできない(したことがない)のでわかんないよなと、大人になった今でもそう思います。

社会全体を見て、どこで何をすると役に立つのか、どんな役割があって成り立っているのか。大人になると、世の中はものすごく細かい役割分担がされていて、ほんとうにいろんな種類の仕事があるのだとわかります。

でも、わたしは学生のころ、なぜか「イヤなことをするからお金をもらえる」のだと思い込んでいました。これは身近な大人が「仕事はツラくて大変だ」という姿を見せていたからかもしれません。

「仕事とは何か」がわからないまま、または偏った考えのまま、職業を決めるのは誰にとってもむずかしいと思います。


「やりたいことがない」は目標の有無とは関係ない

「やりたいこと=職業」のしんどさは、見えていないのに決めなければいけないやり方からきていましたが、「やりたいことがない」の問題は、そこだけではありません。

なぜなら、目標をたてて「将来の夢」を描ける人も、「これがやりたいと思ってやってみたけど、ちがった」という壁にぶつかります。「これじゃなかった」を繰り返すたびに、「ほんとうにこれでいいのか?」と疑問に思い、ブレーキがかかり、その結果「ほんとうにやりたいことがわからない」となる人がたくさんいます。

また、目標はてたられなくても、いい匂いに向かって進んだ先で、目の前にやることがあって、それが楽しければ「やりたいことがない」と思うことはありません。

なので、「やりたいことがない」の問題は、就きたい職業などの目標を決められないこと自体が原因ではないようです。


欲や感情、不満や不安の原因を知らないと選択できない

では、原因はどこにあるかというと、先ほどあげた「やりたいことがない」要素のうち、「自分に合う職業がわからない」以外のふたつ

・「これをしたい」という欲や感情がでてこない
・現状への不満と将来への不安


にあると思っています。

これは「職業」という枠の中だけではなく、「自分の人生」という枠で見ないといけません。たしかに仕事は人生においてたくさん時間を使う大きな一部分ですが、その手前にある自分の欲や感情を知らないと、選択肢がありすぎてどうやって選んだらいいかわからなくなってしまいます。わたしは、自分がよろこぶことを選んでもいいと知らなくて、そう思えなくて、なぜかしんどい方ばかり選んでしまいました。自覚がないと、そういう間違いもしてしまいます。

選択肢を増やす前に、「自分がどうあれば快適か」「自分は何をよろこびとするか」を知り、自覚することが大切なのではないでしょうか。


不安や不満も立派な材料

先にも書いたように、わたしにはほっとくと「ないもの」ばかり見つけてしまうクセがあります。自分に対しても、あれがない、これができない、と不足や不満を見てしまいます。なので、「こうなるとうれしい」とポジティブな要素を見つけるのが下手でした。

でも、ないものやできないことは、そのままひっくり返せば「本当はこうしたい」が見えてきます。

やりたいことはなくても、やりたくないことや、できない理由はいくらでも見つけられるので、現状の不満や不足を書き出しながら、ひとつずつ「じゃあどうしたいか?」と考えを進めると、自ずと自分の希望や欲が見えてきました。

ネガティブな要素を書いてイヤなことを見つけるのは気がひける、という人もいますが、これはネガティブな行動ではありません。自分を満たすための方法で、不安や不満も立派な材料だからです。


自分を満たすために、満たされていない部分を知る

「やりたいことをしている」状態とは、「自分が満たされている」状態です。自分を満たすためには、どこが満たされていないのかを知る必要があります。それは、どれだけ情報を集めても、他人の成功を見ても、見つかりません。自分のことを知らないと、合うものが目に入ってきません。

「自分を知る」というと、内省して感情を見つめる内視鏡で自分の中に潜る作業を想像しがちですが、それだけではなくて、ドローンのように俯瞰して、まるで他人事のように、自分を観察する作業が大事だと思います。

「やりたいことがない」状態のとき、つい外側に選択肢を求めてしまいますが(主に職業の種類)、まずは「何が欠けているから満たされていないと感じるのか」を知るといいと思います。

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どうやって自分を知るのか


じゃあ、どうやって自分を知ることができるの?観察や考えるってどうやるの?

これから数回にわたって、そのやり方を書いていこうと思います。勝手に連載です。noteには「マガジン」という機能があって、雑誌のように記事をまとめることができるので、随時更新した記事はマガジン「自分を知る」ワークブックに入れていきます。マガジンのフォローをすると自分のページからいつでも開くことができます。

更新はのんびりペースになるかもしれませんが、よかったら一緒に考えましょう。

では、またね〜!

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