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SAC about cookies の店舗を閉じることにしました。

こんにちは!
今日はご報告をしたいことがあって書きます。

クッキー屋「SAC about cookies」の店舗を閉じることにしました。

2011年の10月に開店した弊クッキー屋は、9年間たくさんの方々に支えられて続けてくることができました。まずはお礼を言いたいです。今まで本当にありがとうございました。

渋谷区富ヶ谷にある店舗(兼製造場)を閉めることになりますが、「SAC about cookies」のブランドはもう少し継続してみようと考えて、別の場所でクッキーを製造して販売できるよう計画中です。まだ詳細は未定ですが、かわいい商品たちを残せるといいなと思っています。

4月の初旬よりコロナウイルスによる影響で休業していましたが、店舗を閉じる前に一度再開したい気持ちがあり、できる方法を模索していました。しかし、諸々の事情によりむずかしく、このままお別れすることになってしまいました。

休業中も「いつから再開しますか」「商品を購入したいです」というお問い合わせを何件もいただいていたのですが、ご希望に添えず申し訳ないです。今までとはちがうかたちでまた販売できるように進めていきますので、その際にはよろしくお願いします。

あの場所でお店を開いてから、9年間クッキーを作り続けてくれたスタッフのみんなにも感謝しています。みんなのおかげでたくさんのお客様のもとにクッキーを届けることができました。ありがとうございました。

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と、ここまでは「SAC about cookies」のお店の人として書きました。
ここから先は、個人の思いをすこし書いて残しておきます。

今回の決断について、「コロナでお店がつぶれた」のかというと、そうではありません。たしかに経済的な打撃は大きくあって、とても厳しい状況ではあったけど、すぐに閉めなければいけない状態ではなかったし、再開してまた頑張れば問題なかったと思います。

もともとの経営がうまくいってないわけでもありませんでした。事業を大きくしたいという希望もなかったので、大きな変化もなくいつも通りやれば、わたしの生活費を稼ぎ、スタッフの仕事の場を作ることができていました。

わたしが9年前にクッキー屋さんをはじめたのは、シングルマザーで時間の制限があるなかで生活費を稼ぐために、自分と家族が困らないために、絶対に失敗なく確実にお金を稼いで時間をつくることができる方法を考えて、自分のできることの中から選んで決めたことでした。そして、それは思惑通りにちゃんとできました(すごい)。

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今回、コロナウイルスによって世のお店屋さんはどこも大きな影響を受け、それぞれが選択を迫られました。正解もなく、むしろどれを選んでも地獄のような選択肢しかありませんでした。

いろんなお店屋さんが大事なものを守るためにそれぞれのやり方で頑張っていました。みんな必死でしたし、とても苦しかったと思います(ほんとうにお疲れさまです)。わたしもスタッフと相談して休業を決め、何もできずにいましたが、ただやりすごすことを頑張りました。

どんな選択をとっても、絶対にお店を守りたい、続けたい、という思いがいろんなお店屋さんから伝わってきて、お客さんや周りの人たちもそれに応えて、あらゆる形で応援したり支援したりしていました。

そういったやりとりを見ていて、「あんなふうに絶対に守りたいものがあっていいな」と羨ましい気持ちになり、同時にわたしには「お店をどうしても続けたい」という思いや「負けないぞ」と頑張る動機がないということに、否が応でも気づかされました。

生活するための手段としてはじめたお店と、自分自身の間には、大きな距離があるとわかりました。お店=自分と考えて「守りたい」と思うことができませんでした。

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そう気がついたら、「元に戻る」という選択をとって今までのやり方を続けるのは、スタッフにもお客さんにも失礼なことだと思ったし、自分も頑張れませんでした。今まで続けることはできたけど、一度止まったものを再稼働するには、かなりのパワーが必要です。動機(エンジン)がないものを無理にうごかそうとしてはいけないな、とも思いました。

ただ、SACのブランドや商品(クッキー)はわたしも大好きで、よろんでくれるお客さんがたくさんいるので、「元に戻る」のではなく、あたらしいやり方でお届けできればいいなと思っています。

わたしの生活の手段としての「お店屋さん」という「場」を終えても、もっと関わる人の思いと行動にズレがないスムーズな流れの中で、ものを作って届ける仕組みを作りたいです。

困っている自分をたすけるために仕事をつくったことは、9年前のわたしにとって確実に必要な段階でしたし、我ながら偉業でしたが、これからは、この間にさらに増えた「できること」を携えて、次の段階にすすみたいと思います。

とはいえ、現段階ではふつうに無職なので、人と話したり、文章を書いたり、その他わたしにできるお仕事があったら、ぜひお声がけください!

それでは、まだまだ変化の中でそれぞれ大変なことも多いと思いますが、みなさんもご自愛くださいね。

2020年6月
桜林 直子



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