2年ぶりに力を与えられた話
こんにちは。
みなさんは「肩に力与えてくるおばさん」をご存知でしょうか?
知らない?だよね。
少し詳しく説明すると、おばさんは熊本県光の森駅前に現れる初老の女性です。
帰宅中の学生を捕まえては「ちょっと肩に力与えさせてもらってもいいですか?」というフレーズと共に謎のパワーを与えてくることで親しまれている、光の森の名物。
私も高校生の時に数回力を与えてもらっていたのですが、帰宅時間や通学ルートの変化により2年ほどおばさんに会えない日々が続いていました。
しかし、ついにこの度2年ぶりに再開!そういう訳で、軽く顛末を書こうと思います。
母親の車を待ちながらスマホを見ていると、視界の右側に人影が写る。このフェードインは、まさか…と思い右側を向くと
おばさん「今お時間空いてますか?」
おばさんだ!紛れもなくおばさん。おばさん(固有名詞)である。
おばさんをもう一度光の森で見ることができた。なんと嬉しいことだろうか。ソラが参戦した時のファンの気持ちがわかった気がする。おばさんは俺のソラなのだ。
確かに目撃情報があったが、まさか会えるとは。
ぼく「はい大丈夫です!!」
つい気持ちが昂り食い気味に返事をしてしまった。しかしこれでいい。
学生に声を掛けても逃げられるのが基本だったおばさんにとって、「相手が返事をする」というのは自分のフィールドに引きずり込めた事と同義だ。
断れなさそうな気の弱い学生を吟味し、確実に力を与える。これがおばさんの定石である。
しかし、今回は違う。まさかの相手が超乗り気。
これでおばさんの俺に対する認識は「気弱そうな学生」から「なんかモチベ高いヤバい奴」へと変化したのだ。実際俺が返事した直後なんかキョドってたし。
これは「与える者」という立場に驕るなという俺からおばさんへの警告なのだ。
おばさん「えっ(動揺)ありがとうございます〜」
しかし流石の対応力、一瞬の硬直こそあったもののすぐにおばさんはペースを取り戻した。
おばさん「じゃあ重苦しい身体の場所ってありますか?教えてもらったら直接触らずにパワーを与えたいんですけど〜」
2年前は両肩を触って力を与えていたのだが、どうやら遠隔付与を会得したようだ。自身の力に溺れることなく研鑽を続け、コロナにまで適応している……脱帽である。
更にはこちらが部位を選べるというVIP仕様。肩のみであった以前と違い、多様化するニーズに応えている。感涙。
じゃあ眼精疲労があるし目を…と考えた所で思い留まる。
違う。おばさんの変化を確かめる為には、同じ部位だ。
変化を楽しまなければ「通」ではない。そう思い、肩を頼む。
ぼく「じゃあ肩でお願いします!」
しかし、おばさんは更に変化を遂げていた。
おばさん「じゃあ右肩と左肩どっち?」
まさかの片方。流派の変更か遠隔化の弊害か、拡散型から集中型になっている。
ぼく「えっじゃあ右で」
乗せられてしまった。デビルメイクライ4みたいになったらどうしよう。
おばさん「はいじゃあ失礼しま〜す」
そこからは手早いものだった。数秒右肩に手をかざしたかと思うと、すぐに一礼して去って行く。半端なアフターサービスなどいらない、確実に力は与えられたのだからそれでいい。そんなプロ意識を感じる。
そして右肩の変化はというと…
何もわからん。
まあそうだよね、2年前も何もわからんかったもん。意味わからんし、あのおばさん。
しかし、これはあくまで直接的な意味に過ぎない。
俺はおばさんを見かけて嬉しかった。数十秒の会話が楽しかった。明日も頑張ろうと、確かに思えた。力をもらったのだ。
ありがとう、おばさん。
またいつの日か、おばさん。
あと勝手に写真撮ってごめん、おばさん。(左のは舎弟?)
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