最近読んだ本の話


 こんにちは。
前書き書くのめんどくさいので本題に行きます。

・あぶない叔父さん

・あらすじ
 暗鬱とした霧に覆われる町で、次々と発生する殺人事件。定職にはつかず「なんでも屋」を営む俺の叔父さんは、事件が起こる度見事な推理で真相を解き明かしてくれる…のだが?

・感想
 6連の短編からなるミステリ小説。ミステリ物って普段あんまり読まないんだけど、知人がこの本を薦めてるのを聞いてふと読んでみた…らとんでもない作品でしたね。
ノックスの十戒を嘲笑うような型破りなスタイル、そしてそれ故に起こる独創的なブラックユーモアは間違いなく読んだ人に快感を与えてくれるはず。
「倫理観0のミステリ」です。読み終わった瞬間に「ん?」ってなって、後から笑いが込み上げてくるような作品。あんまり人にオススメはしません。

・あとは野となれ大和撫子

・あらすじ
 中央アジアの小国家、アラルスタン。紛争により孤児となった少女ナツキは国の教育機関「後宮(ハレム)」に引き取られる。
仲間達と共に気楽な日々を過ごしていたが、アラルスタン大統領が暗殺される政変が起き、国の政治家達は逃亡、更に反政府ゲリラが侵攻を始める事態に。
ナツキは後宮の仲間が設立した臨時政府に参加し、自分たちの居場所を守るために奮闘する。

・感想
 中央アジアの環境問題・冷戦後の国家間の対立・反政府テロリストとの戦いを描いたガチガチの政治もの…
と思いきや女の子達による青春系国政(?)物語。
作者の豊富な知識や経験からなる緻密な政治問題、そしてそれを次々と解決していく天真爛漫なストーリーが見物、作中通してテンポの良さがあり、いい意味でライトノベルのような作品だった。
あぶない叔父さんとは打って変わって、万人にオススメできる本。とりあえず絶対に面白いので、迷ったら買ってみてください!

・ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン

・あらすじ
神経をソフトウェアに接続し、五感すべてでゲームを遊べるようになった近未来。
その中のひとつ、血と銃と硝煙が織り成す「ガンゲイル・オンライン」の世界で、最大6人で分隊を組み、最後の1チームになるまでフィールドの中で戦い合うバトルロイヤルトーナメント「スクワッド・ジャム」が開催される。

・感想
 これ自体を読んだのはそこそこ昔なんですけど、どうしてもレビューしたくなったので書いちゃいます。つまり、それほど面白い作品。

ほんと上手い具合にゲームとリアルのいい所を総取りしたなぁ〜と思ったね。
VRによってただゲームをプレイしているだけに留まらせないリアリティが存分に描写できているし、それでいてゲームなので人を撃ち殺しても撃ち殺されても平気。
なんならゲームであることにより、小学生みたいな悪口を言いながら撃たれるような「コミカルな死」が確立されていて、これは他のどの作品にもない良さ。
ゲーム性とリアリティの両立によって、人を殺す・殺されることに対しての忌避感を取っぱらった純粋な「撃ち合うことの楽しさ」が遺憾無く表現されている。
 また作者の卓越した軍事知識・表現力も見もの。世界観の関係上様々な銃が作中通して登場するので銃好きとしてはもう堪らん。FN-P90をメインに据えたのは英断。
 世界で一番好きなラノベです。かなり人を選ぶ内容だけど、選ばれた人にはとにかく刺さると思う。純粋にめちゃくちゃ良い!

・インシテミル

・あらすじ
 「時給11万2000円」のバイトに参加した12人の男女。しかしそれは、閉鎖空間でより多くの報酬を巡り互いに殺し合い、犯人を探すという内容のデスゲームだった…

・感想
 普通に面白い。元々「明確なルールが決められているデスゲームもの」が好きだった(バトル・ロワイアルとか)のでこれもまあ合うだろうなと思っていたが、これもそうだった。
話の展開や伏線・トリックは見事なものだし、良くも悪くもリアルな主人公の心理描写も場の雰囲気を深める要素になっている。
…けど、本当に「普通」に面白いという感じ。どうしても前述した三作のような飛び抜けた物が感じられなかったので、少し肩透かしだった。
ただ確実に及第点は超えているので、買って間違いはないはず。

・1984(漫画版)

・あらすじ
 1950年代に勃発した核戦争後、世界はオセアニア、ユーラシア、イースタシアという3つの大国に分割され、三国は常に戦争状態にあった。「1984」の舞台であるオセアニアはビッグ・ブラザーと呼ばれる独裁者に支配された全体主義国家で、市民の思想や言動には厳しい規制が加えられ、その暮らしは録音機器などで常に監視されている。

・感想
 まあ、読んだの漫画版なんですけどね。1984、ディストピア物好きだし読みたいけど70年前の海外小説なんてクソ堅苦しい文体だらけで読みにくいしな〜…と逡巡していた所、本屋でこれが売っていたので二つ返事(?)で購入しました。
内容は割と割愛されているみたいだけど、世界観や重要なストーリーの流れはちゃんと描写されているので、とりあえず雰囲気だけは掴みたい!という人にオススメです。

〜ここから作品自体への感想〜

 ディストピア物の金字塔と言われるだけあり、流石の世界観だった。中でも特に自分に衝撃を与えたのは「新語法(ニュースピーク)」という作中の概念。
これは「言語の幅を狭め、自由な表現や思考を奪う」ことを目的とした政策で、具体的には「悪い」を「反良い」に、「絶賛」を「二重素晴らしい」にする、といった具合だ。
エミール・シオランは「人は国ではなく言語に住む」と言ったが、正に人間は与えられた語彙の範疇でしか思考を行えない。
アメリカ人が肩凝りを知らないように、不良少年が「イライラする」としか感情を表現できないように、数々の例によって思考における語彙の重要性は示されている。
この本でもそれによって思考の幅を狭め、反骨の芽を防いでいるのだが、感嘆すべきはその分かりやすさ。
「反良い」。言葉自体は驚くほど簡単なのに、こんなにも効果的な語彙の狭め方を70年前に考えたジョージ・オーウェルにはひたすら賞賛の念を称えたい。

・おわりに


この記事どうやってオチつけたらいいの?マジでわからんので終わります。


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