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吉野家は牛丼屋じゃないです。定食屋です。

今日のバイト、何もかも上手くいかなったな、全部意味わからん客のせいだ、なんかあんなら最初から提示しろや。
あまりこの場所を愚痴の掃き溜めにしたくないと思っていたけれど、そういう所を含めて、私が私である証明をしなくてはいけないのかもしれないとも思う。

最悪なバイトも終わって、迷わず向かったのは吉野家だ、正直溜まってしまった鬱憤を金で解決するやり方は好ましくはないと思っているが、家に帰る途中にあるせいで、ダイレクトに直行できるのが悪いのだよ。

入店すると「こんばんはー」とさりげない挨拶で迎えられ、生意気にもソファのある席に座ったが、何事もなかったかのようにお冷を持ってきてくれた。店員の大体が高校生くらいで、接客も最低限だけれど、それくらいの何となくで適当な距離感は疲れた精神に負担が少ない。むしろありがたい。

そういえば、この前もらった期間限定メニューのクーポンがあった。
という訳で頼んだのは牛焼肉定食。ご飯は大盛り。
想像の二倍早く到着した。しかし早く到着するのも難儀なものだ。
この世の終わりみたいな顔してたのを、定食を持ってきた店員に盛大に見られてしまった。ともあれいただきます。
熱々の鉄板が、固形燃料により更に熱されていく、付属の焼肉のタレをかけると、ジュワジュワと音が鳴り、肉とタレが深く結びつく。
肉を箸でつまむと、鉄板で熱された面は程よい焼き跡が食欲を加速させた。
ええい!我慢できん!まずは肉のみで一口。
口に入れた瞬間、焼肉とタレの香ばしい匂いが鼻に直接触れ、噛むたびに肉を食べている幸福をより鮮明に受ける。
…….これは美味い。というか美味くて当然だ。まさに約束された勝利の焼肉定食。
付いてきたサラダももちろん食べる。付属のマヨネーズをかけて食べるのが一般常識なのだが、これから食べに行く人は焼肉といっしょに食べてみることをオススメします。肉とキャベツは時に白飯とのタッグを超える。
主人公とその仲間のタッグを肉と白米と捉えるなら、肉とキャベツは主人公とかつての敵キャラとのタッグである。
天元突破グレンラガンで例えるなら、カミナとシモン、そしてシモンとヴィラル。

箸休めとして味噌汁を啜る。吉野家の味噌汁はあおさが入ってる。なぜかそれだけなのに満足感が高いと思ってしまうのは、僕が貧乏くさいだけか…?

最後は鉄板に少し残った、すべてを凝縮したタレをご飯にかけてスプーンで一気にいただく。少し濃いが、今更健康に気を使われても体に悪いので、感謝を込めて残さずいただきましょう。

結論、牛焼肉定食はタレを美味しく食べるための定食。

吉野家は唐揚げ定食だの、ダブル定食だの、美味しい定食物が多すぎる。しかもご飯大盛り、おかわり無料ときた、最早吉野家は牛丼屋じゃない、定食屋だ。僕はさしずめ疲れたサラリーマンだ。
僕がなにかに縛られて生きていく以上、明日も僕はサラリーマンで、明日も吉野家は僕を待ってくれている。
美味しかった。「ごちそうさまでーす」と言い残して、店をあとにしました。

終わり

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