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ドクトルノンベ神回

『ドクトル・ノンベ』(中原とほる作)という漫画に、
「世界の第一線のガン研究者たちが、手の内を明かして議論をすれば、ごく短時間でガン治療に関する最終的な結論が得られるはず」
というコンセプトに基づき、ある野心家の医師が、学会に出席するために集まった第一線のガン研究者たちに催眠術をかけ、ホテルの一室で催眠状態のまま会議を行わせる、というエピソードがあります。

A博士 「 正常な細胞がある日突然どんな理由で癌化するかに
    ついては、ある程度、手がかりはついている 」
仕掛人 「 ほう、その話、ぜひとも詳しくお聞きしたいものですな。
    手がかりとは、ある種のウイルスというわけですな? 」
A博士 「 いや、ウイルスじゃないんだ 」
仕掛人 「 じゃ、何です? 」
A博士 「 酵素だ 」
仕掛人 「 酵素? しかし、その考え方は、国際酵素学会でも
    あまり問題にされていませんな? 」
(突然B博士が)
B博士 「 いや、従来の酵素の意味とは少し違うのだ 」
C博士 「 しかし、あの微妙な働きは、酵素と言わざるを得ない 」
仕掛人 「 これはこれは。話が進展しそうじゃありませんか。
    皆さん、もう少し席を近づけて差し上げましょう 」

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はたして、ガン治療に関する最終的な結論が得られるのですが、
“正義の味方”ドクトル・ノンベが登場、

ノンベ 「 その研究成果、断じてお前のものじゃないぜっ! 」
仕掛人 「 いいや、私の力で引き出した私の結論だ。
    私は芸術的ともいえる薬の調合で、天才達の頭から人類
    最後の医学的問題の解決の糸口を引き出したのだ。
    卵をたくさん産ます方法を考えついた男がいたとしたら、
    卵は誰のものか?
    たくさん産むことのできるニワトリのものか?
    違うね! その男のものだろう 」
ノンベ 「 お前は人の長年の苦労を盗む最低野郎だぜ。
    人間が動物と違うところは、思考することだとすれば、
    あんたの罪は、この世で一番重いものになるぜ 」
仕掛人 「 誰が発明したか、誰が発見したか、そんなことはどうだ
    っていいじゃないか、文明が発展すれば。」
ノンベ 「 てめえの考えはヘドがでるぜ。
    俺もあんたに1つの暗示をかけたいのだ。
    薬のことも、あんたの頭にある不正な知識も、みんな
    忘れてくれ…とね 」
仕掛人 「 や、やめろ。私の頭には何百万という人の命を救う鍵が
    入っているんだぞ 」
ノンベ 「 そんなものはそのうち誰かがみつけるさ。
    まっとうな方法でな! 」


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