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あたおか散文

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流れ落ちるままに生み落とした「あたおか」な散文たち
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2023年9月の記事一覧

不実

たった1日で良い

あなたの為に生きたいと願いながら

今日も一日圏外であることに安堵する

望まれない私から目を逸らし

ありもしない日を窓辺に飾る

私にしか触れないこの手に

虚しく儚い祝福を送る

愛してるもさようならも起こらない今日に

おめでとう
#あたおか散文

ラナンキュラス

貴方が摘んだ一輪の

優しい花を掠め取り

小袖に隠して来たけれど

やれ枯れ果てて

朽ちていく

貴方の優しい眼差しを

そのまま咲かせたあの花は

見る影もなく跡もなく

色も香りも

消えていく

あなたのように

この手から

ただ奪われて

消えていく

ただ攫われて

消えていく
#あたおか散文

虚雨

僕には夢と足がない

君には腕と明日がない

足しても引いても未来はなくて

あるのはポツンと今ばかり

けれどもうっかり今がある

今がある
#あたおか散文

かき氷が起こす発作

胸が割れそうなのです

そうですかしかし検査には何も出ませんねシンインセイでしょう

星ですか

は?とにかく心臓をナフタレンで保存して土に埋めれば冬虫夏草にでもなりましょう

それでどうなりますか

あなたの命の軽薄さで千年分の蝉が空に還りますよ

なるほどそれは結構
#あたおか散文

胃もたれを起こす渇望

よくあること

それは肉なのか

よくあること

それは頭なのか

よくあること

それは魂なのか

よくあること

あってはいけないよくのこと

ほしいほしいと

よくかいて

おおぞらむけて

亡者の如く

羽ばたけ

さよなら

微塵と散り去る
#あたおか散文

鎧に飲まれた生贄

玉座を追われた老人の

影を踏みつけ伸び上がる

いつか断たれる少女のうなじ

鮮烈な太陽の光

いつか降りつける雨を忘れ

不遜に笑う

ガラガラと鳴る足枷が始まりの鐘

凄惨を纏った細く白い腕

英雄を讃える歌が

最後の綱を切る

熱のない光
#あたおか散文

強度と硬度を生む粘膜

ろくろに粘土を置くように

窯にオキの火種をおくように

胸に氷の刃を置く

甘やかな痛みを与える儀式

神聖なる君の後をいく

悪魔に息を奪わせながら

いずれ倒れるその日まで

やはり茨の道を行く

切り刻まれて花が咲く

紅蓮の糸を紡ぐ旅
#あたおか散文 #妬きもの #糸の物語