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『ジョブ型雇用社会とは何か』濱口桂一郎

ジョブ型雇用社会とは何か』
ひさーしぶりに本読んで「おもしろ!!」と思ったので感想を書いてみる🤗🤗🥹

ざっくり内容・・・


テーマは近年話題の「ジョブ型雇用」と、それに対する概念として論じられている「メンバーシップ型雇用」について。

◎日本以外の社会(主に米・欧)でいう「ジョブ型雇用」と、日本社会の「メンバーシップ型雇用」、そして日本で想像されている「誤ったジョブ型雇用のイメージ」、について明快に論じられている。

◎のみならず、メンバーシップ型雇用を始めとする日本に独自の雇用習慣・制度に起因する種々の労働問題について、歴史的背景と法的論拠に基づいた問題提起がなされている!!

おもしろかったところ・・・

日本の労働・雇用に関する問題が明快に論じらているところ💚

◎取り上げられていたテーマは、例えば以下のもの。(まとめ方は適切じゃないかも)
・女性の社会進出(マザートラックや女性への家事育児負担の偏り)
・労働におけるジェンダー問題・労働時間問題(残業してでもがんばれる、会社に貢献する気がある社員が評価される。「男性は労働戦士であるべき」といった言説)
・障害者雇用問題(ジョブ型雇用が適する障害者雇用が、メンバーシップ型雇用である日本社会に馴染まない点)
・海外労働者問題(「実習生」が労働問題として扱われない点)
・労組問題
などなど。

一冊の中で幅広い問題を扱っていることで、改めて労働問題が万人に共通の課題であること、そしてそのために非常に多様な領域で課題が噴出していることを認識できた。
また、こうした一見雑多で繋がりがなさそうな問題同士が、メンバーシップ型雇用という雇用習慣を共通の要因として生まれているということが理解でき目から鱗だった!

「このモヤモヤする仕組みは、こういう経緯で出来てたんだ!」
「こことここが繋がってたんだ!」
……というようなおもしろさがある!

おもしろかったところ②・・・

◎上記で「明快に説明してくれておもしろかった!」と書いたが、面白さはそれだけではない。
確かに事実は説明し尽くしている一方で、個々のテーマについては性急に答えを出さず問題提起で終わっており、労働・雇用問題の果てのなさを感じることができたのもよかった!
問題提起で終わってしまっている理由は、ひとつには単に本のボリュームが足りない! ということもあると思う。扱っている範囲があまりに広いので全てを論じ尽くすには一冊では足りないということである。
ただ、それだけではなく労働・雇用問題には理想の形態はありえない、ということが大きいように思う。この本ではほぼほぼ日本社会の課題のみが扱われているが、欧米のジョブ型雇用にも日本のメンバーシップ型雇用同様に明暗あり、単純化してどちらがいい悪いと答えられる問題ではない。(ジョブ型雇用が理想の雇用習慣✨というわけではない)
というわけで、終わりなく議論し考え続けなければいけないのだな〜と労働問題の重要性を再認識できた。(労働問題も雇用問題も会社員にとってはめちゃくちゃ身近な問題なはずなのに、この本を読むまであまり頓着がなかった……)

労働という人々に共通した課題が、正しい知識と人間への思いやりを持って解決されていくことを望みたいし、自分も一人の労働者として労働問題を理解し考えていきたいと強く感じた!




あ〜〜いい本だったなあ。

あと、それから……。
本の主題に関係ないんだけど、著者が使ってる言葉に教養が溢れてて久しぶりにアカデミック界の人に触れた感…。
「慫慂」とか読めなかったんだけど、、。「罷業」とか。みんな日常で使ってるの??涙
もっと本読んで語彙増やしたい、、。

終わり

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