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レポートの書き方について

はじめに

みなさん、課題や授業資料の確認はできているでしょうか。まだお済みでない方は、我々の以前の記事過去ツイートを是非ご覧ください。ある程度はこれらで対応できると思います。

課題確認ができた方は、「期限がまだ先だから大丈夫」とたかをくくっていると、あとで痛い目を見る羽目になりがちです。お気を付けください。

みなさまに課題形式についてのアンケート(と言っていい程のことか分かりませんが)を実施させていただいたところ、「レポート・小論文」形式の課題が多いという結果となりました。

大学におけるこういった類の課題は基本的に全て「論説文」であり、「感想文」ではない点にご注意ください(「感想を書きなさい」という指示が与えられる場合もありますので、一概には言えませんが)。

本記事では、恐らく皆様が書き慣れていないであろう論説文の形式の中でも、特に「レポート」を書く際の留意点をざっくりですがまとめています。是非ご覧ください。

※注意点※
・担当教員から「このように書きなさい」と形式等の指示がある場合は以下の限りではありません。
・あくまで一SAの一意見です。当然ながら全てマネをしなければならないわけではありません。ご自身の理解度やスタイルに合わせて本内容を応用していただければと思います。

レポートと感想文の違い

まずは広い意味で、「レポート」と「感想文」の違いについて理解していただく必要があります。

レポート・小論文では、自分の「感じたこと」をつらつらと書くことではなく、「与えられた情報に対しての自身の考え(考察)を述べる」ことが求めらています。

具体例(とてつもなく簡単にですが)を挙げると、

「お菓子の食べ過ぎは体に良くないという記事を読んで、その通りだと感じました。なぜなら・・・(自身の感想)だからです。」

がいわゆる感想文です。
対してレポートで求められているのは

「お菓子の食べ過ぎは体に良くないという記事を読んで、その背景には糖分の過多があると考えた。なぜなら・・・(客観的な事実・調査結果等)だからである。」

という文章です。なんとなくでも両者の違いがお分かりいただけるでしょうか。

レポートに求められているのは「客観的」・「論理的」で、「主題(テーマ)・提起された問題に対して的確に言及できている」文章です。これら3つの要素において決定的に相違があり、その違いが「感想文」と「レポート」を明確に区別しています。

「突然そんなこと言われても…」とお思いの方がほとんどだと思います。
以下にこれらに基づいた文章の書き方を、具体例を用いながら説明していきますのでご安心ください。

レポートの書き方

前項で、レポートに求められているのは「客観的」・「論理的」で、「主題(テーマ)・提起された問題に対して的確に言及できている」文章だと述べました。本項では、それぞれがどういったものなのかを全体の体裁等も踏まえながら説明していきます。

まずは全体の流れ・体裁についてご説明いたします。

基本的には「序論・本論・結論」の3部構成あるいは「起・承・転・結」の4部構成で文章を作成するのをオススメいたします。

序論(起):問題提起や自身の意見・考え・主張 全体の1~2割程度
本論(承・転):序論に対する根拠や考え 全体の6~8割程度
結論(結):全体のまとめや考察、今後の展望 全体の1~2割程度

ここに「客観的」・「論理的」で「主題に対して的確に言及できている」文章を盛り込んでいくわけです。

それぞれを具体化していきます。


「客観的」:誰がみても「確かにそうだ」と思う、事実に即した文章

これが感想文(主観的な文章)との一番大きな違いだと思ってください。

先程の例文(「お菓子の食べ過ぎは体に良くないという記事を読んで、その通りだと感じました。なぜなら・・・(自身の感想)だからです。」)のように主観的な文章にするのではなく、「誰が見ても納得する」「客観的な事実(具体的な数値や先行研究)に基づいている考えや意見」をレポート全体において論述していく必要があります。

これは、構成の中でも特に序論(起)・本論(承・転)部分において重要な要素になります。

すなわち、レポートではいかに客観的な意見・考えを展開できているかを見られていることになります。
(とは言いつつも、文章の流れの中でどうしても主観が入ることもしばしばあります。そういったものに関しては無理にどうこうしなくても問題ありません。できる限り無くす・省くのが望ましい、ということです。)

逆に言えば、(極論ですが)「データ等の客観的なものに基づく意見・考え」であればある程度少数派な(あるいは奇抜な)ものであっても構わないのです(先の例で言えば、お菓子の食べ過ぎは特段体に悪い影響は与えない等の考え)。

読み手にとっては、ありふれた意見や考えよりもむしろこういったものの方が面白くて印象に残りやすいかもしれません(だからと言って加点されるのか、となると話が変わってきますが)。


~読み疲れた方は、ここでいったん休憩なさってください~


ただし、(用いるデータ等も含め)自身の意見や考えに対してしっかりと根拠を持たせた「論理的」な文章を作成できなければいけません。例えば、

「お菓子の食べ過ぎは体に良くないという記事を読んで、そもそもとして~~の観点からこの内容には反対する。」

という一見すると普遍的でない考えを展開していくとします。

この根拠として「自分の健康に影響がないから」とか「友達がそう言っていたから」といったあいまい(主観的)なものを用いるのではなく、

「お菓子の摂取量によって5年後の健康状態には差が出ないという〇〇の研究結果がある」

等の論理的(ロジカル・客観的)なものを用いなければいけません。


この点はどんな意見・考えでも同様です。

「お菓子の食べ過ぎは体に良くないという記事を読んで、その背景には糖分の過多があると考えた。」

といった肯定的(普遍的)な考えを展開させていく場合でも、

「なぜなら、一般的な糖分摂取量の人と比較して糖分過多な人は、健康寿命が平均3年短くなるという〇〇の研究結果がある。」

等の論理的(ロジカル・客観的)なものを用いて下さい。


ーーーーー(少し話が脱線します)ーーーーー

ここで察しの良い方はお気づきだと思いますが、自身の客観的な考えや意見を支える、いわゆる参考(引用)文献がこの論理的(ロジカル・客観的)なものにあたると考えて下さい。

つまり、それらは何でも良いというわけではなく、本来は著書や論文、国勢調査等の情報源のしっかりとしたものである必要があります。
インターネットサイト(Wikipediaや個人ブログ等)をはじめとした誰でも作成・編集できるものについては敬遠される傾向があります(使ってはいけないと指示される場合もあります)。

しかし、この状況下で図書館等へ出向きにくいことに加え、正直なところ新入生に対してはこのレベルまで求められていないと思いますので(もしかするとここまで言及なさっている教員もいらっしゃるかもしれません)、今のところはこだわらなくともよいと個人的には考えます。

とはいえ、将来的に卒論を書く上では必須の事項になりますので、今から練習しておくのも一つです。後に論文を探す際に推奨するサイトをご紹介いたしますので、よろしければ一度ご確認いただければと思います。

ーーーーー


ここまでお目を通していただければお分かりだと思いますが、「客観的」であることと「論理的」であることは多くの部分で共通しています。
ゆえにこの2点は、原則として一方をしっかりと意識していればもう片方も自然と成立するようになっている(別のものと捉える必要はない)、と考えていただければ問題ありません。

「客観的に文章をつくる⇔論理的な文章になる」


ではなぜ「論理的」という要素を取り上げたのかと言いますと、「客観的であること」や「論理的であること」を意識して文章を書く中でも、当然文章全体のつながりは保持しておく必要があります。これもまた、読み手にとっては「論理的」であるかどうかを決める一つの指標になるからです。

例えば、「さっきまで〇〇について肯定的だったのに、急に否定的な立場になっている…」とか、「おもしろい考えだけど、その根拠の部分の意味が全くもって分からない…」といったことがないよう、一貫性のある内容が論述できているかにも同時に気を配りましょう。

つまり、「理論的」な文章とは

「論理的」:全体に一貫性がある(矛盾のない)、理論的(ロジカル・客観的)な文章

ということになります。


最後に「主題に対して的確に言及できている」文章についてです。これはいたってシンプルで、

「主題に対して的確に言及できている」:問われているテーマ(問題)に対して的を得た文章

ということです。

「〇〇について自身の考えを論ぜよ」という課題であれば、しっかりとその「〇〇」に言及する文章を書かなければなりません。

こんなものは当たり前のことだとおっしゃる方が大多数だと思います。しかし、頭ではわかっていても書いているうちに文章がとっ散らかってしまう、という方もよく見受けられます。

(特に指定文字数が多い場合)文章を作成しながら、「書きたいこと・書かなければならないことからずれていないかな」と適宜振り返って確認してみて下さい。


ざっくりとですが、以上が大まかなレポートの書き方と留意点になります。他のこまごまとした留意点ですが、以下の点も併せてご覧ください。

人のレポートをうつす、インターネットから転記すること(剽窃)は厳禁
・文体を統一する(だ・である調漢字とひらがなを混在させない(「何故」と「なぜ」等)
・一文を長くしすぎない(おおよそ40~60字で「。」を打つと〇、無駄な指示語や接続詞を省く

ここまでの事を意識しながら作成していけば、それなりに体裁が整ったレポートを作成していただけると思います。

実際に作成するにあたって使える技

ここまでは「表面上の技術」をお伝えさせていただきましたが、ここでは「実際に使える技」をいくつかご紹介させていただきます(※あくまで個人の見解です)。

・いきなり文を書かず、箇条書きでアイデアや考え等を列挙した後に肉付け(アイデアを繋げたり、省いたり、合体させたり…)
・序論(起)からではなく本論や結論(承・転・結)から書いてみる
・本記事のようにトピックで分類してみる
(1つの文章にするのではなく、大きな箇条書きを繋げるイメージ)
・簡単な図表をつくって整理する
(Wordにはsmartartという便利な機能があります)
・FA担当教員や授業の担当教員に(できるだけ具体的に)質問する
・学習支援センターに連絡する

作成した課題を保存・提出する際の注意点

保存する際には、できればファイル名に以下の要素を入れておくのがおすすめです(順番はこの通りでなくても全く問題ありません)。後で見返すときに探しやすくなります。

「講義名 日付 課題 〇〇(あれば課題名) 学籍番号 名前」

ユニバーサルパスポート上で提出する場合は、どうやらファイル名に自動で「学籍番号 名前」が入るようです。とは言え、心配であれば念のため入力しておくことをオススメいたします。

Google classroomには同機能は恐らくないので、そちらで提出する場合は学籍番号と名前は忘れず入力しておきましょう。メール等での提出の場合も同様です。

実際のレポートの例

書き方の例として、2つレポートを添付しておきます。
大きく見ると、1つ目は「〇〇について論ぜよ」形式、2つ目は「〇〇について自身の考えを示せ」形式にあたると思います。参考程度にご覧ください。(流用・剽窃のないようお願いします。

赤枠が序論(起)、青枠が本論(承・転)、緑枠が結論(結)になります。

(以下のレポートは授業内で与えられた情報のみで作成されているため、文献は使用していません。しかし本来は「なぜそう考えたのか」の根拠として文献を用いる必要があります。)

コメント 2020-04-27 231927

コメント 2020-04-27 230815

参考(引用)文献について

特にレポートにおいては、参考にした諸資料を最後にリスト化する必要があります。これがないと、先ほど申し上げた剽窃になってしまいます。忘れずに記載しましょう(基本的にこのリストは字数にカウントしません)。

書き方は学問や授業によって異なりますが、ひとまず私が知っている書き方をご紹介させていただきます。

この状況下ではほとんどの方がインターネットサイトからの引用だと思いますので、そちらの手順をまずは記載させていただきます。

今回もPC版のWord画面での説明になることをご了承ください。

事前準備

・作成したレポートの最終ページに、「引用文献」あるいは「参考文献」(厳密にはそれぞれ違いますがどちらでもよいと思います)と入力したページを作成する
・参考にしたサイトのURLをコピーしておく

この際、新しいページを用意すること、「引用(参考)文献」の文字を中央揃えにすることをオススメします(見栄え的に)。以下参考図。

画像3

インターネット引用文献の書き方

まずは本文の中で、引用した部分に「上付き番号」を付与します。手順は以下の通りです。

今回は下線の部分(分かりやすいように引いています、実際には引かないようにしてください)を参考にした場所(サイト)とします。

コメント 2020-04-30 133252

「上付き番号」を入力するために、参考にした場所(サイト)の後ろに画像のように文字を入力します。

コメント 2020-04-30 133357

その後、入力した文字をドラッグし、矢印の先の部分(上付き番号)を選択します。

コメント 2020-04-30 133630

すると、文字が上付き番号になります。

コメント 2020-04-30 133707

あとは、最初に用意していただいた「参考(引用)文献」のページに以下の画像のように記載してください。
Ex)の行は、こんな感じになるという例です。

コメント 2020-04-30 134530

正直、新入生の方は(指示が無ければ)上付き番号付けもしなくて良いような気もします(あった方が良いに越したことはありませんが)。
難しいなと感じる方、PagesやGoogleドキュメントをご利用の方は、上付き番号を付けずにURLとアクセス年月日のみを記載して頂ければと思います。

オススメ論文(文献)探しサイト(検索エンジン)

しっかりとした参考(引用)文献を探すにあたって、論文であれば「Google Scholar(グーグルスカラー)」というサイトがかなり便利です。
先にも申しました通り新入生にはここまで求められていないとは思いますが、今後お世話になる可能性が高いですので準備として是非ご確認ください。

論文(あるいは本)を用いた場合、参考(引用)文献の書き方は以下の画像のようになります。

コメント 2020-07-25 231203

最後に

ここまで堅苦しく難しいことをひたすら申し上げてきましたが、まずは形にこだわらずとにかく完成させて提出することを意識がけてください。
様々事情がおありでご多忙とは思いますが、何よりも提出できないことが今の状況下では望ましくないことですので。

その上で余裕があれば、(成績の大部分を占めるであろう期末レポートは特に)本記事の内容を活かして質にこだわってみていただければと思います。