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にも、情熱はありそうだ。

 昨日「だが、情熱はある」の最終回でしたね。熱心な視聴者ではなかったですが、最近のドラマは放送後すぐにショート動画やあらすじの動画を出してくれるので、youtubeでおすすめされるままにシーンの公式切り抜きなどを見ては泣いたり笑ったりしておりました。
 巡り巡って作品を窮地に陥れる発言をしてしまいますが、リアタイは途中で諦めました。長らくサブスクでの視聴が身についた今、悠長にCMを眺める我慢強さを失ってしまい、翌日以降にHuluで見たらいいかなと思ってしまったところです。スポンサーあっての制作物ということを考えれば、応援したいコンテンツのCMはしっかり見るべきなんですけどね。

 いやいやドラマの話をしたかったわけではなく。
 だが〜の放送開始からずっと、山ちゃんと若林氏の本がよみたいなと思っていて、やっと二冊購入できたんです。
 若林氏の本は2023年5月5日の3刷版を手に入れました。ドラマ需要を見越して刷ったのかなと思った「ナナメの夕暮れ」ですが、これが読んでも読んでも不思議と記憶に残らないのです。

 誤解のないように言いたいのは、若林氏の本に内容がないからということではなく、ナナメの夕暮れ(以下ナナメ)はあまりに自分自身との親和性が高すぎて、文章がスッと入っては消えていくのです。読んでいる時には「わかる、そうだ、なんて言語化が上手なんだ」と思っているのに、ひとたび休憩を挟むと何を読んでいたか忘れてしまう。
 山ちゃんの「天才はあきらめた」は、読んだことも覚えているし、何なら感想や中身のエピソードを他の人に話せるのに、若林氏のナナメはそうじゃない。誰にも説明ができない。読んだ瞬間に口の中で溶けて、噛んでもいないのになくなってしまい、即座に取り込まれ自分の一部になる感じ。まるで高級肉のような文章。格式ばっているわけでもない、ハードルが高いわけでもない、でもハイグレードな文章。普段あまり文字を読まない自分にとっては、本当に本当に不思議なことでした。

 エッセイは人柄が出ますよね、創作物じゃないから(多少の調味料は入っているでしょうけど)その人の本来の味が出る。好き嫌いなんて人間のデフォルト機能みたいなものだから、好きな味と苦手な味は当然存在する。
 私にとってナナメは浸透圧の高い経口補水液だと思いました。ちょっとしょっぱくて体に即座にお水を届けてくれるあの感じ、助かってます。
 多分この先何回も読んでは新鮮な気持ちになる。なんてコスパがいいんだろう。この世で一番エコなエンターテイメントに出会ってしまった。ありがとうございます、若林正恭殿。
 ちなみに内容の説明できないので、万一日本の何処かでこのnoteを見た方で本が気になる場合は今すぐ書店へ。買って損なし。

 数年前まで、頻繁に1000文字くらいの文章を書いてはブログを更新し、知らぬ誰かに読んでもらっていることをアナリティクスで確認してニヤニヤしていた時期があったのに、今はいろんなことを理由にそれもしなくなり、SNSは乗っ取られ、勝手に意固地になっておりましたが。
 発信する充実感は何にも変え難かったことを思い出して、ふと思いました。

私にも、情熱はありそうだ。


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