妄想ボードゲーム暴動 2
押入れを整理していると、
大学生の頃に買った人生ゲームが出てきた。
箱を開けると、
紙幣が新品同様で
人型のピンがほとんど切り離されていない。
1回しか遊んでいないからだ。
当時の彼女と、たった1回。
付き合ってた期間は短かった。
イヤな思い出だ。
その頃の事をつらつらと思い返していると、
小1の息子に見つかってしまった。
「おとーさん、それなーに?」
「ん。……人生ゲーム。」
「ゲーム!?あそぶー!貸して!」
「あ!」
僕の手から箱をひったくり、
妻のいるリビングへと走り去る息子。
妻にはあまり見せたくなかったのだが、
あきらめて後についていくと、
息子はさっそく妻に戦利品の報告をしているようだ。
「それ、大学時代のだ。」
妻に何か言われる前に先手をうつ。
「あら…………懐かしいわね。」
「……付き合ってた頃のだよ。」
「そうだったわね。あたしたち、付き合ってた期間って短かったもんね。」
「すぐコイツが出来て、結婚したからな。」
「そういえば、人生ゲームしながら
『この部屋が!俺たちの結婚のマスだ!』
ってあれ、プロポーズとして、どうなんですか?」
笑いながら妻が言う。
やっぱりからかわれた。
だからイヤなんだ。
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