柔い遠雷
今日も教習所へ行った。
技能教習のキャンセル待ちをしながら、学科教習を受けていると、みるみるうちに外が超土砂降りになった。
まもなく時限が終わったことを知らせるチャイムが鳴ると、ずぶ濡れの教官と教習生が屋内に傾れ込んできた。
みんな濡れつつ、半笑いだった。
冗談みたいに大音量の雷鳴が響き、冗談みたいに周囲が周囲がハレーションを起こす、冗談みたいな豪雨。間近で花火を見たらこんな感じだろうか。
決して大袈裟に表現しているわけではないが、天災だ、と感じた。
あまりの事態に緩い連帯感が生まれた教習所内は、雷の轟音がひっきりなしに鳴り響いていた。
みんなちょっとした災害に浮ついていて、シャイで無口な大学生たちが雷が落ちるたびに笑い、和やかに教官と談笑していた。
かく言う僕も顔見知りの教官相手に「これまじでやるんですか?」などと軽口を叩いていた。
普段起きないコミュニケーションを天災が引き起こしていた。
イレギュラーに浮き足立つ気持ちと、ほんのひと匙の不安が教習所内を柔らかく和やかな空気に変化させていた。
奇妙なミニミニバタフライエフェクトである。
授業時間の2分ほど前にあたり一体が停電した。
停電に際して、またにわかに周囲が騒がしくなった。怯える人は不思議とおらず、僕は「信号消えてるからこの時限の教習はなしだな」と思っていた。
(というか、こんな天気の中誰も運転したくないだろうし)
などと思っていたらキャンセル続出のため、キャンセル待ち中の僕が技能教習を受けることに。
チ。の続きが読みたかったのに!
停電はものの5分もせずに回復し、結局僕は大雨の中運転の練習をした。
ちょっと災難だったけど、面白いものを見られたなと思った。人は緊急時にちょっとフワッとするみたいだ。
帰る頃には雨も止んでいて、特に交通に支障なく帰宅することができた。
帰る道すがら、スープストックに寄って海老のビスクとヴィシソワーズを飲んだ。
海老のビスクは安定の美味しさだったけど、ヴィシソワーズは別に美味くなかった。決して不味くはないけど、スープストックへの信頼が厚すぎて少し拍子抜けしたと言うか。
先日人からもらったどせいさんのマスコットで映え写真()を撮影。
このどせいさん、かわいいからスマホにつけているのだけどすごく邪魔である。道ゆく人が僕のスマホを見るとすこしギョッとするのが面白い。
実用性とカワイイの両立って難しいな。
そういえば、求人に応募したバーテンダーのアルバイトは採用されたがこちらからお断りした。なんかいかがわしいお店だったからである。
今日の1日はこんな感じでいい日だった。大雨に降られて、注文した料理が外れ気味だったけどいい日だった。
自分事がなんだか他人事に感じられて、つまんないと感じることが少なくなった。
なんだ、そいつは災難だったなあ笑、で済ませてしまう。
本当にこれでいいのかな?
おわり
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