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【十二国記 感想】①〜

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十二国記シリーズ全部読んだ上で、感じたこと考えたことを書いています。特に天ついて、考え出したら止まりません。
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#ネタバレ

【十二国記 感想】 「白銀の壚 玄の月】に描かれたもの

#読書の秋2020 のための改稿 ネタバレあり 18年待ち続けた「十二国記」最新刊。発売から半年ほどたってやっと書けたものだ。それからさらに半年ほど過ぎて読み返してみると、興奮が醒めやらぬ感じでテンション高めだ。続き物の感想の一記事なので、別の前書きがあったがそれは削った。そのため始まりは少し唐突な感じになったが、書いた当時の気配を消さぬよう、最小限の手直しだけした。 十二国記「白銀の壚 玄の月」に描かれたもの 物語の縦糸と横糸まず、縦糸。これはもう、泰麒と李斎が戴国及

【十二国記 感想】⑩ 短編「幽冥の岸」を読んで

李斎の心象風景は、いつも戴の厳冬の風景だ。 人々の暮らしを閉ざす白い吹雪。 荒れ果てた茶色の土地。 焼かれた家々や枯れた里木の黒。 その李斎が王と麒麟を国に取り戻し、泰麒を蓬山に託し、帰路の途中に報告に寄った慶で陽子主従に温かく迎えられ、そして桂桂に飛燕を亡くしたことを労わられ、彼女は初めて、意図せず、自分に悲しむことを許した。 初めて見も知らぬ景王を訪ねたときに李斎が目にした色、また今回の再訪で再び目に入ってきた慶国の国土の色・・・雲海を透かして見える翡翠のような翠、

【十二国記 感想】⑤ 「白銀の壚 玄の月】に描かれたもの

ネタバレあります  粘着質な性格の故、天にばかり気を取られています。大局観はないんか?と、自分に言いたい。  そこで、タイトルに挙げた本書をどう感じたか書いておこうと思います。これだけ楽しませてもらって、それが筋というものです。  発刊からそろそろ半年、今さらかもしれませんが自分自身の言葉で、自分の感じたことを書きます。 物語の縦糸と横糸 まず、縦糸。これはもう、泰麒と李斎が戴国及び驍宗を救う道のり。  これがなければ始まりません。初読では、4巻目の残りページの厚さが5