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【十二国記 感想】①〜

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十二国記シリーズ全部読んだ上で、感じたこと考えたことを書いています。特に天ついて、考え出したら止まりません。
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2020年3月の記事一覧

【十二国記 感想】⑥ 急にうろたえ!園糸どうなる?!

ネタバレあります    先日投稿した感想⑤の暑苦しい長文の中で、「白銀の壚~」のラストシーンについて書きました。いいラストシーンだとやはり思います。  しかしその時に『戴史乍書』の直前の一文に少し引っかかったのです。 園糸が、眩しく輝かしい晩夏の光の中でお守り石を探す我が子に、その石は誰のため?と項梁を思いながらも、口にできないでいる場面。その最後の一文は 「——じきに来る戦乱の予兆など欠片もなく。」  この最後の一文は、次の『戴史乍書』に続く繋ぎとしてさらりと読ん

【十二国記 感想】⑤ 「白銀の壚 玄の月】に描かれたもの

ネタバレあります  粘着質な性格の故、天にばかり気を取られています。大局観はないんか?と、自分に言いたい。  そこで、タイトルに挙げた本書をどう感じたか書いておこうと思います。これだけ楽しませてもらって、それが筋というものです。  発刊からそろそろ半年、今さらかもしれませんが自分自身の言葉で、自分の感じたことを書きます。 物語の縦糸と横糸 まず、縦糸。これはもう、泰麒と李斎が戴国及び驍宗を救う道のり。  これがなければ始まりません。初読では、4巻目の残りページの厚さが5

【十二国記 感想】④ 天と王の意思と麒麟の角

ネタバレあります  ずっと天について考え続けて、まだ天です。  ここまであれこれ考えた結果、天は「王と麒麟しか見ない」と考えるようになりました。   「天下は仁道をもってこれを治むべし」と天綱は王に言います。けれど天は、自身で民に仁道の政治が行き渡っているか確認するわけではない。王が、「そうしているかどうか」しか見ないのです。民の様子は麒麟によって分かる。極論すれば、天は民そのものには関心がない。王と麒麟が天綱に従っているかどうかだけを問題視していると思うのです。  だか

【十二国記感想】③ 琅燦の誤算

 ネタバレあります  「白銀の壚 玄の月」を読み進めると、阿選については、「そーかそーか、じゃ、ま、しかたないやね。」となるわけですが、逆にますます分からないのが、琅燦です。そして阿選ではなく、琅燦に言いたくなります。  「何がしたいちゅうねん!」    「王と麒麟をめぐる天の摂理を知りたいが、誰も教えてくれないから試した。」  ここで琅燦の知りたい「天の摂理」とは、簡単にまとめると次の二つだと思います。  1、国には王がいなければならない。その王は麒麟を通じて天が

【十二国記感想】② 天を試す人々

ネタバレあります  「私はこの世界と王の関係に興味があるんだ。何が起こればこれはどうなるのか。それを知りたい。」  「王と麒麟をめぐる摂理に興味があるが、だれも答えは教えてくれないからね。知るためには試してみるしかないんだ。」 (「白銀の壚 玄の月」十三章6 琅燦の言葉)  天を試しています。  "琅燦お前は何やねん"問題もあるわけですが、そもそも十二国記の世界の人々は「天」をどうとらえているのでしょう。  仙となって朝廷に仕える人も含めてほとんどの人は、「何となく

【十二国記感想】① 天の仕組みを暴いてほしかった!

ネタバレあります  最新刊が出そろって4ヵ月弱。4冊を3回読み直して、勢い余ってそれまで手を出さなかったアニメまで見てしまいました。  けれどもまずは最新刊が出るまで。 「麒麟通信」の更新情報を求めて、ボタンがすり減るほど?ポチりながら、「黄昏の岸 暁の天」の続きがどうなるのか妄想に妄想を重ねました。当然ですね。(以下待ち遠しさのあまりつもりに積もった大外れの妄想が、今さらながら書き連ねてあります。さらっと笑ってやってください。)    "とにかく泰麒にはもう少し