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自民党青年局の過激ダンスショー問題、費用の一部が「県連の経費」とは?

※記事公開後に某所より情報提供があり、自民党内のルールで、政党助成金と、党費・パーティー券収入は支出先を分けており、政党助成金は懇親会費用には使っていないと党側が説明しているようですので、ここに追記します。

きょうは3月11日。東日本大震災から13年です。犠牲になられたみなさまのご冥福を心よりお祈り申し上げます。

先月末には能登半島地震の被災地である石川県七尾市で炊き出し、輪島市と珠洲市で物資輸送のボランティア活動に参加し、現状を目の当たりにしました。復旧の途上どころか、今なお深刻な状況が続いています。

全壊した住宅の撤去すらままならない能登半島地震の被災地。岡田悟撮影


このような日になぜ、こんな内容のnoteを書かなければならないのか。想定外のことをやらかしてくれる方々がいらっしゃるので、仕方ありません。

裏金問題で自党のみならず、広く政治家や政治そのものへの信頼を失墜させた、自民党の裏金問題。

それだけではなかった。これまた国際女性デーである3月8日に産経新聞の報道で発覚した、自民党青年局のハレンチ極まりない過激ダンスショー。

もうね。繰り返しますが、自民党だけでなく、政治家や政治そのものへの信頼が失墜している状況で、一体何をやっとるんじゃと。追い風どころか、まったくいい迷惑です。

このパーティーについて自民党青年局は3月11日、ツイッターでコメントを発表。

いわゆる謝罪っぽいことが書かれています。

で、この過激ダンスショーの会費については最後の方に、「参加者からの会費と(筆者注・和歌山)県連の経費でまかなわれており、党本部からの助成金は一切使われていない」という自民党和歌山県連からの報告がそのまま掲載されています。

「和歌山県連の経費」 → OK
「党本部からの助成金」→ NG

なんて、誰か言ったんですか?

「県連の経費」の原資は、一体なんですか?

そこで、自民党和歌山県連、正式名称は自由民主党和歌山県支部連合会の収支報告書を見てみましょうか。なお、件のダンスショーが開催された2023年の報告書はまだ公表されていませんので、その前の2022年分までとなります。まあ、あくまでも参考となりますけどね。

https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/010600/wsenkan/kouhyou/r4teiki/jimin_d/fil/1062.pdf

まず、2022年の総収入額1億7895万2851円のうち、前年からの繰越を除いた収入額が6107万2875円。支出総額は7385万9492円です。

前年からの繰り越しが1億円を超えるほど多額であることは後述

交付金収入4072万5600円のうち、自民党本部からの交付金は2072万5600円と、県連のこの年の収入額の実に3分の1を占めていることが分かります。

自由民主党本部からの交付金の合計額が2072万5600円

支出の部を見ますと、政治活動費のうち組織活動費は1億1222万2448円。「その他の経費」は0円ですね。

懇親会費を計上する科目は?

前年の懇親会的な支出はというと、普通にホルモン食ったり忘年会してただけっぽいのですが、翌2023年の過激ダンスショーに支出した県連経費を計上した科目は、これらと同様、政治活動費になるんでしょうか?

「イットコホルモン」は普通のホルモン屋さんのようです

なお、さらに前年の2021(令和3)年には「第16回政経文化パーティー」で6570万円の収入があります。これが2022年の多額の繰越金の原資となったようです。

前々年のパーティー券収入が6000万円超もあるのだから、2023年の過激ダンスショーの会費の一部に支出した和歌山県連の経費は、よって和歌山県連は、党本部の交付金を当てる必要がなかったと言いたいのでしょうか?

2023年の収支報告書が公表されていないので不明ですが、この年に政治資金パーティーをやっていて、さらに収入があったかもしれません。いずれにせよ、自民党本部からの交付金を上回る収入があるから、過激ダンスショーに県連の経費を支出しても、党本部からの交付金を支出したことにはならない、と言いたいのかもしれません。

もっとも自民党青年局のコメントは「党本部からの助成金」としか書かれていないのでよくわからないのですが、これって前述の交付金を意味しているのでしょうかね?それもよくわからない。

しかし、そもそも収支報告書を見るまでもなく、組織の収入は一旦、一つの財布に入れてから目的に応じて支出します。お金に色は着いていませんから、党本部の交付金が過激ダンスショーに一切使われていないという自民党和歌山県連からの報告を紹介した自民党青年局の見解は、理解に苦しむばかりです。

自民党和歌山県連では、「このお金は党本部からの交付金だから、過激ダンスショーには支出できない」「このお金は党本部からの交付金ではないから、過激ダンスショーに支出してもOK」と言って、お金を”色分け”していたとでもいうのでしょうか。

※追記※ちゃんと”色分け”してたんですね。それはよかった、という話でもないのですが。

もし、県連の経費の原資に占める割合が、党本部からの交付金よりもパーティー券収入が多いとしてもですよ、パーティー券を買った人(買わされた人)が、その代金が、よもや報道されたような過激ダンスショーに費消されると思っていたでしょうか?

政党助成金は、要件を満たした各政党に国から交付されるもので、原資は国民の税金です。2024には、自民党には約160億円、立憲民主党には約68億円が交付されています。

そんなお金が、国民→政府→自民党本部→自民党和歌山県連→過激ダンスショーに支出されていたんじゃないですか?

もしそうでなければ、じゃあOKですねという話でもないのですが、いずれにせよ、自民党だけでなく政治家や政治そのものへの信頼を失墜させる深刻な問題であることに変わりはありません。

自民党青年局と和歌山県連は、国民に対して明確に説明すべきではないでしょうか。