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犬について③

おばあワンの別の日常。彼女はなんだか私が好きだ。常に私を見て追っている。夫の方が愛は深く、すごく態度にあらわしているのに。食事の提供も私だけではなく夫もやっている。さらに言えば歯のない彼女のために、野菜を細かく切って煮た野菜を作っているのも今や夫だ。なのに彼女は私を追うのだ。

嫉妬深い彼女は 夫がふざけて私に絡んでくるのを許せない。真顔で吠えて やめさせる。猫らが私に甘えてくる事にも厳しい。平等にみんなと接したい私にとっては少し困った存在である。

そしてなんといっても犬らしくない。散歩は嫌い。リードを見たら大喜びなのに、いざ外に出たら急にシュンとする。ボールやぬいぐるみなどのおもちゃも好きではない。7歳でウチに来た頃 私は初めて暮らす犬という生き物と散歩するのが楽しみだった。彼女も最初は私につきあって散歩していた。しかし そんな日々は長くは続かない。歩くのは嫌だったらしい。前にいた家では 特に散歩という事はしていなかったようだ。彼女は散歩にちっとも慣れていなかった。今まで たいした運動もしてない者が、いい大人になってから新習慣など無理よ〜と言うような顔で こちらを見る。犬との初めての暮らしに ウキウキしていた私だったが 自分の仕事が不規則な事もあり、猫のような暮らしができる犬で結果よかったんだな、と思うようになった。

そうは言っても私を迎える時や ごはんの音がすれば 今でも思い切って走り、飛び跳ねる事ができるのだから、日頃は体力を温存しているのかもしれない。そろそろ17歳、おばあワンの長生きの秘訣か。


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