あの日のはなし
とある夏の日のこと。
あの日のはなし。
あんまり面白くはないよ、たぶん。
暇だったら読んでね。
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今日はお休み。
正しくは、仕事に行かれなかった。
もっと正確には、電車に乗っていられなかった。
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ちゃんと、出勤時刻に間に合う時間の電車に乗って、ちゃんと、職場へ向かっていた。
でも、なんかダメで、仕事に行くのを諦めた。
数日前から絶妙な体調不良(恐らく夏バテ)で、よく水分を摂って、塩分も摂って、しっかり米を食べて、よく眠っていたのに。
…
今日は無理だと諦めて、電車を降りたら、なんか大丈夫かも?と思えて、そこで気がついた。
「これは夏バテではない」
…
こういうとき、普通はまず職場に連絡をして、家族とか、恋人とかに現状報告をして、家に帰って大人しく休むんだと思う。
思う。
思ってるよ、分かってる。
わたしは、なんの迷いもなく、
かけるんばに連絡をした。
かけるんばは、わたしの数少ない友人のうちのひとり。
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「仕事に行かれなかった、らーめんが食べたい、ひとりで行かれないから一緒に行って欲しい」
という連絡をしたら、すぐに返事をくれて、
そこから1時間弱で合流してくれた。
それから、暑いなか1時間くらい並んで、らーめんを食べた。
美味しかった。
この日は、レトロリブラのライブだったんだけれど、わたしとらーめんを食べていたせいで、かけるんばは遅刻した。
…
わたしから、レトロリブラのお兄さんたちに、かけるんば借りてましたと謝ろうと思って、一緒にライブハウスへ行った。
ことの顛末を説明したら、
お兄さんたちは口を揃えて、
「かける良い奴やん。
もちこ今日は物販スタッフね。」
と…。
優しすぎませんか…?
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なにか色々と聞いてくるわけでもなく、
「ふ〜ん、そっか〜」くらいで、
あとは一緒に居てくれたのが、本当に有難かった。
物販席で店番をしながら、ライブを観て、幸せだなぁと思った。涙が溢れた。
打ち上げまで残らせてもらって、お酒を片手に皆さんとお喋りして、帰りのタイミングまで、お世話になった。
家にはもう誰か帰ってきているのか?
ひとりで電車に乗って帰れるのか?
心配してくれて、駅まではかけるんばが一緒に帰ってくれた。
最寄り駅からは、アイスを食べながら帰った。
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本当は、仕事に行かなくちゃいけない。
なぜなら、仕事だから。
決められた日に、決められた場所で、決められた時間、決められた仕事をして、その対価としてお金をもらっている。
仕事に行かれない日は誰にでもあるだろう。
それは、体の調子が悪かったり、心の調子が悪かったり、仕事よりも優先するべき急用が出来たり。
体の調子が悪い時は、復活するために病院に行ったり、家でゆっくり休むだろう。
心の調子が悪い時は、復活するための方法を選ばなければならない。
それが、家でゆっくりするでも、映画を観にいくでも、カフェに行くでも、美味しいご飯を食べるでも、復活すれば、なんでもいいと思う。
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あの日、わたしは、心の調子が悪かった。
復活するために、らーめんを食べるという方法を選んだ。
ひとりでは難しかったから、友人を誘った。
それから、夜まで音楽のある場所で過ごした。
少し働かせてもらったので、そのぶん自己肯定感が戻ってきた。
…
人よりも稼働時間が少ない自分を、嫌いになりそうな時がある。
みんなは普通に頑張れているのに、
もう大人なのに、
見えない何かのモノサシで自分を測ろうとしてしまう。
自分のことは、自分のモノサシで測れば、
それでいいのにね。
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わたしの数少ない友人のうちのひとり、かけるんば、ありがとう。
ここ数ヶ月で食べたもののなかで、
あのらーめんがいちばん美味しかったです。
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