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2002年5月17日(金曜日)

今朝から採血。完全に寝ぼけていたのでほとんど記憶にない。さらにはレントゲン。いつになく素早く検査が進む。通院のときは物凄い待たされるのに、実はちょっと本気を出せばちゃちゃっと終わるのではないのか?なんて思ってしまう。

今日も昼から自宅へ戻り日常復帰のためのリハビリをしないといけない。そんなことよりも何よりも俺は原付を動かしたかった。機械だからって甘くみてはいけない。使わないと機嫌を損ねてしまう。それはギターも同じだ。どんどん自分から離れていってしまう。そういう理由で俺は原付に乗って出かけざるをえなかった。機嫌良くバイクを走らせていると雨が降ってきた。予想していなかったわけではないけども、こういうことだけは的中するのはほんと止めて欲しい。適当に雨宿りを始める。雨はその勢いを止めようとしない。俺は雨のしずくが落ちるのをぼーっと見ていた。健康なときも俺はこういうことをしていたなぁなんて思い出す。そしてこういうことを少しずつ捨てて大人になってしまうのだなぁなんて天寿を全うした今になってそういうことを思う。

偶然生きている。今の医学のおかげでもあるし、すぐに病院に駆け込めたってのもある。まぁ言ってしまえば運が良かった。2度目の人生である。俺は人間として生まれ変わったのである。1度目の人生の24年間分の記憶と人生のすべてを背負っての再スタートである。0歳からのやり直しなどではない。2度目は24歳からなのだ。

雨が小降りになったのを見計らって俺は考えるのを止めて自宅へと戻った。その後は散歩したりリハビリに専念し、夜には病院へと戻った。主治医の話によるともうすぐ退院だそうだ。今度こそは大丈夫だと分かっていたので安心してその話を聞いていた。そう、今度こそは大丈夫なのだ。これは自己中心的な希望や曖昧な結果なのではない。契約なのだ。

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