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国民の声を政治に~選挙改革論

参議院選挙が終わりました。
皆さんは投票に行かれましたか?
意中の候補者や政党の結果はいかがでしたか?

史上最低の投票率は免れたようですが、それでも過去2番目という相変わらずの低調ぶりは今回も払拭できなかったようです。それでも、私も選挙を経験してきた者として、関係者には労いの言葉をかけたいと思います。選挙に出る、応援する、どちらも大変なんですよね。良くも悪くも、ほとんどの人が一生懸命です。ただ「なぜ投票率が低いのか?」「関係者とそうでない人との温度差が広がっているように感じられるのはなぜなのか?」その問題点を見直す必要性は言うまでもないことと思います。

直近での選挙制度の大改革は、1994年の衆議院議員選挙における『小選挙区比例代表並立制』の導入が挙げられます。欧米諸国に習い、政権交代可能な二大政党制を目指し、一つの選挙区から複数の候補者が当選する『中選挙区制度』を改めて、一つの選挙区から1人しか当選しない『小選挙区制度』が導入されたのです。「政権交代可能な…」とは言いましたが、実際は、『リクルート事件』など相次ぐ汚職事件の発覚で、政治不信が沸点に達したかのような状況下、政治改革を目的として、公職選挙法や政治資金規制法の改正とともに、小選挙区制度の導入を基本とした選挙制度改革が実施されたのです。ただ、政治資金改正法等は抜け道が多く、結果的に『政治改革=選挙制度改革』のような位置付けになってしまいました。

事実、政治改革を争点とした政権交代も行われることになったのです。当時も含めると2度の政権交代が行われましたが、どちらも長続きはせず、「もう懲り懲り」とばかりに、現在の長期政権が続くことになりました。長期政権が一概に悪いというつもりはありませんが、私が問題だと思うのは、政権交代可能な選挙制度にするはずが、結果的には、国民の多様な意見が反映されにくい制度になってしまったということ。二大政党どころか一強多弱の状態となり、選択肢のない選挙が全国各地で行われている状況です。

……と、嘆いてばかりいても仕方がないので、今回の参議院選挙を踏まえて、私なりに考えた多様な国民の声を政治に反映するための選挙制度改革案をいくつか紹介します。

【提案1】
インターネット投票の即時導入。
コロナを契機に職場や学校でのリモート環境は飛躍的に充実し、これまでは無理だと思われていたことも、できることが証明されました。本人確認などの壁はあるのでしょうが、やることを前提に本気で検討すればすぐにでもクリアできるはずです。もちろん当面は使えない人のための投票所も用意する。これが投票率向上の特効薬に近いかと思っています。

【提案2】
1人に1票ではなく100票ずつの投票権を与える。
自分の考えと100%一致する候補者や政党を探すのは難しい。ならば、100票の按分は自分で決められるようにすれば、確実に世論に近い選挙結果になるものと思われます。1人に100票を付与して、その100票を1人の候補者に全部入れるも良し、按分して複数に投票するも良し。そうすれば、国民の感覚と選挙の結果によって遂行される政策とがぐっと近づくに違いありません。

【提案3】
参議院選挙は選挙区選挙を止めて、全国比例区のみとする。
衆議院選挙を含めて、大都市部を除いての選挙区では選択肢がほとんどないといった状況です。ところが比例区の選挙結果を見てみると、かなり票が分散されていて、新しく議席を確保する政党も誕生しています。
参議院選挙では1982(昭和57)年から政党が順位を決める『拘束名簿方式』の比例代表制が導入され、2000(平成12)年に全てが横並びの『非拘束名簿方式』へと変更、そして『なぜか』2018(平成30)年に比例代表制度に『特定枠』が設けられ、名簿の中に一部優先枠が設けられるようになりました。
現状では、特に『非拘束名簿方式』の場合、「政治についてはこれから勉強します」といった人でも有名人であれば当選してしまうといった問題もありますが、比例代表制は、政党のカラーが評価されやすく、多様な国民の意見を反映する仕組みです。また、参議院選挙が比例代表のみとなれば、小選挙区制度が基本の衆議院選挙との違いがはっきりし、古い表現になりますが『衆議院のカーボンコピー』などと揶揄されることなく、『良識の府』としての参議院の存在意義が発揮されることを期待しています。

衆議院選挙の見直しについては、今回は割愛します。ただ、「選挙区で落選しても比例で救われる」ゾンビのような仕組みは、参議院を見直すことを前提に、すぐにでも止めた方がいいでしょうね。

以上3つの提案を紹介しました。最後に、これだけは言っておきたい点は、民主主義の根幹とも言われる選挙、その制度を決める際には、現在の政治家の関与は一切排除した方がよいということ。審議会という第三者機関からの提言という隠れ蓑を使ったとしても、基本的には現在の政治家の考えが色濃く反映されてしまうのは周知の事実。【提言3】の『特定枠』、そして衆議院選挙の『比例復活当選』などが、まさに当てはまるのだと思います。現在の国民とのずれを修正し、政治への関心を高めるための選挙制度はどうあるべきなのか、当落の関係する当事者を外した完全なる第三者によって公の場で議論を展開する、そんな機会は絶対に必要です。

【参議院選挙制度の変遷】参議院HPより
https://www.sangiin.go.jp/japanese/san60/s60_shiryou/senkyo.htm

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