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伝統校だからこそ

私の母校、熊本県立済々黌高校が今年で創立140周年を迎えました。県内で最も歴史ある高校です。私の在学中に創立100周年を迎えており、歳月の流れとともに、私たちも歴史の一部となっていることを実感します。福岡県でもっとも歴史のある高校は修猷館高校。『藩校・修猷館』の開校から数えれば約240年もの歴史を有しており、ともに歴史のある高校として相互交流を続けています。

5月25日には140周年記念事業の一環として、両校野球部の交流戦が藤崎台県営野球場で開催され、私も同窓会のお世話役と共に野球部OBの一人として観戦してきました。両校の野球部は毎年定期戦を開催しており、今回は記念試合ということで全校で応援に。バックネット裏には母校のブラスバンドが陣取り、全校生徒も一塁側と三塁側に分かれて敵味方関係なく両校に声援を送っていました。伝統校ということもあり、応援団も昔ながらのバンカラ風で歴史の重みを感じさせます。

その応援団の団長は現在女性が務めています。数年前、創立以来初めて女性団長が誕生したときには、地元テレビで紹介されるなど結構注目されましたが、現在では見慣れた光景になってきた感もあります。以前は、圧倒的に男子生徒が多かった学校だけに、新入生で初めて女子が男子を上回った年には、同窓会に衝撃が走ったものです。先日、ある学校関係者からこんな話を聞きました。「少し前までは、合格者の発表直後に『今年は男性が多かった?それとも女性?』と卒業生からの問い合わせも多かったが、今年は50人ほど女性が多く、問い合わせもほとんどなくなった」

伝統は一朝一夕に造られるものではなく、大切に受け継いでいくものです。ところが、その伝統が単に慣例や習慣を引きずっているだけならば、そんなときは思い切って見直すことも大事。「男性が多いのが当たり前」「応援団長や生徒会長は当然男性だろう」「同窓会長だってもちろん男性」そんな固定的な観念はきれいさっぱりに改めた方がよい。母校の校訓でもある三綱領の最後に「知識を磨き文明を進む」とありますが、伝統に縛られるあまりに、文明から取り残されることのないように気をつけたいものです。伝統があるからこそ、常に時代を切り開くさきがけのような存在でありたい。定期戦を観ながらそんなことを考えていました。

肝心の定期戦の結果は5対11で修猷館高校の勝利。野球だけでなく、これからも両校で切磋琢磨することを期待したいと思います。

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