見出し画像

地方へ流入する人たちが未来をつなぐ

「東京都7カ月連続人口流出」という、ニュースに目が止まりました。あらためて、昨年12月に都が公表した数字を見てみると、令和3年12月1日現在で人口総数13,998,001人、対前月比4,562人減、対前年同月比41,209人減。月毎に見てみると、明らかに一昨年の5~6月頃から流出が始まったようで、その時期から言っても新型コロナウィルス感染拡大の影響が大きいのでしょう。

かつて、人口増の時代には問題視されることもなかった東京都への人口集中も、国内の人口が減少に転じると地方の人口減少に直結することから、『一極集中』の解消が大きな課題となりました。

国は、『一極集中』によって広がる一方の格差を財政面から是正しようと、大都市に偏在する法人事業税と法人住民税のいわゆる地方法人2税を国税化することで、地方への再配分を進めました。2018年度は2兆7,000億円が国税になっています。その一環でもある『ふるさと納税』等の政策により地方創生などの掛け声が上がっても、地方から東京都への人口の大きな流れを変えることはできませんでした。

ところが、ここに来て、その流れが明らかに変わったのです。まだ、東京都から流出した人口のかなりの部分は、神奈川、埼玉、千葉などの東京圏に留まっているようですが、それ以外の地域への流入の動きも確実に生まれています。

リモートワークやワーケーションの導入など、コロナ禍によって生まれた新しい生活様式が地方への移住を後押しする一方で、東京都から地方への恩恵を受けていないところが大部分であることも現実です。熊本県内でいえば、昨年7月に甚大な被害を受けた球磨川流域は、水害前から人口減少の著しい地域であり、水害が拍車をかけています。平成の大合併で市町村合併を選んだ地域も、選ばなかった地域も、恩恵の有無にはあまり違いがないようです。

復旧復興に時間がかかるのは、ある意味では仕方のないことかもしれません。ただ、今そこに暮らす人たちにとっては、その地域から1人、また1人と離れていく現実は、とても切実なことなのです。

例えば合併を選択しなかった五木村はピーク時の人口約6,000人が1,000人を割り込みました。合併を選択した現八代市で旧坂本村はピーク時の人口約18,000人が2017年には4,000人を割り込み、水害によりさらに人口流出が加速しています。

「復旧復興を待つのではなく、今できることは全て取り組み、成果を上げていかないと地域の未来はない」――そんな悲壮な声が聞こえてきます。

東京都のこの1年間の人口流出分の1%でも、これらの地域に来てくれれば、将来が展望できるようになります。決して諦めることなく、やれると信じて、東京都を含む大都市からの人の流れを確実に引き込む、あらゆる取り組みを進めなければなりません。私はその力になりたいと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?