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エビデンスに基づく政策立案~EBPM

「また横文字か!?」と思われるかもしれませんが、皆さんは『EBPM』をご存知でしょうか?「Evidence-based Policy Making(エビデンス ベースト ポリシー メイキング)」の略で、根拠に基づく政策立案のこと。行政が政策を立案する際、客観的なデータを活用して、政策の有効性を高め、国民の信頼を確保しようとするものです。

最近では行政からも『ビッグデータ』や『エビデンス』、『プラットフォーム』などという言葉をよく聞くようになりましたが、内閣府では、一昨年から『内閣府本府合理的根拠政策立案(EBPM)推進チーム』が設置され、国を挙げた取り組みになっています。もちろん個人情報保護が前提ではありますが、行政の保有するデータを活用することで、税金がより効果的に使われ、しかも課題解決につながるのであれば、素晴らしいことだと思います。全国の自治体の紹介事例を見てみると、ブランド創出のためのマーケティング戦略や健康寿命延伸計画、人口減少対策、データサイエンス人材育成、廃棄物処理、子育て支援等々、あらゆる分野で具体的な取り組みが始まっているようです。皆さんも、お住まいの自治体での取り組みをチェックしてみてはいかがですか?

ここにきて新型コロナウイルス感染拡大第6波の襲来が懸念されますが、既に2年以上が経過した同感染症対策について、どれだけEBPMが機能しているのかはなはだ疑問です。ウイルスが確認された当初ならまだしも、ワクチン接種やまん防の適用など、いまだにその場しのぎに終始しているように見えます。例えば一時期話題になった10万円の給付問題についても、景気刺激策なのか生活困窮者対策なのか、子育て世帯の支援策なのか、目的すら不明のままに、金額ありきで進められるような事業が散見されます。

また、地元熊本の話として、空港アクセス鉄道構想なるものが熊本地震からの創造的復興の柱として打ち出されましたが、その後二転三転し、現在はTSMC(台湾積体電路製造)の熊本進出決定をきっかけに、どの駅から接続するのかルートを見直すとのこと。この間、鉄道を建設した場合の交通量の変化や鉄道需要見込みなどといった、基本的なデータも根拠も示さることなく、ころころと変わる行政の発表をただ眺めているだけといった状況です。

先日のnoteにも書いたように、データに現れにくい課題があるのも現実です。また明確なエビデンスを示すことが難しい場合があることも理解はできます。とはいえ、あえてEBPMを持ち出すまでもなく、説明責任すら果たそうとしない政策を示された場合には、黙って見過ごすことなく、声を上げていくのが私たちの責任だと思いませんか?政治的判断という『くせもの』を排除するためにも、開示されるべき根拠をもとに、行政と対話する姿勢が求められているようです。

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