水俣の尊い歩みを未来へ
2022年5月1日、水俣病は公式確認から66年を迎えます。例年この日には、エコパーク水俣親水緑地の慰霊碑前と乙女塚で、全ての犠牲者に対して祈りが捧げられていました。慰霊碑前の慰霊式は、今年もコロナの影響で一般参列は中止され、一部リモートでの参加となったことは、仕方がないこととはいえ残念です。
以前、noteに書いたように、長い歳月が流れても、水俣病の実像が明らかになっておらず、認定される人、認定を待つ人、裁判で争う人は後を絶ちません。せめて1年に1度くらいは、犠牲者への哀悼の誠を捧げ、その現実を直視する機会にしたいものです。
https://note.com/s_kohyama/n/n8efbfa76048c
BS放送を観ていたら、水俣の海が紹介されていました。タツノオトシゴの一種で希少種のヒメタツ。世界の中でも水俣の海で多くの生存が確認されています。ヒメタツは、メスから預かった卵を、産卵するまでオスがお腹の中で大切に守る特性があります。新たな命が誕生する瞬間がカメラに収められていました。今から20数年前、高台から水俣の海を臨み、碧く光り輝く海面に感動したことを思い出します。水俣の碧い海は本当に美しいと思いました。美しい水俣の海では、新たな命の数々が誕生しています。
https://kumamoto.uminohi.jp/program/69%E7%81%AB2151%EF%BD%9E2154-kab%E3%80%8C%E3%83%92%E3%83%A1%E3%82%BF%E3%83%84%E3%81%8C%E3%81%99%E3%82%80%E6%B0%B4%E4%BF%A3%E3%81%AE%E6%B5%B7%E3%80%8D/
4月のある日には、水俣から特産のサラダ玉ねぎと河内晩柑、完熟甘夏を送ってもらいました。いつもこの時期を楽しみにしています。いずれの箱の中にも、新鮮な農産物とともに、生産者の声や収穫された畑、散布された農薬や肥料などが記載された紙が添えられています。まさに生産者の顔が見える、思いも伝わる農産物の数々。それらを通して、私は、環境や健康、そして命を大切にする水俣の今を知ることになります。
一度は取り返しのつかないように汚染された水俣の海、そして傷つけられた人々や大地。それらが今は環境首都として生まれ変わっているのです。
水俣病という呼称を改めようとの動きがあると聞きます。これまで長年、差別や偏見、誹謗中傷に苦しんできた人たちからすれば、負の遺産を解消して、先ほどの海や山の恵みをアピールすることで、イメージの回復を狙おうとするものと思われます。水俣の方々が決めることなのかもしれませんが、もしも現在も続く水俣病を覆い隠そうとする意図があるとするならば、私は反対です。なぜ水俣では環境を守るのか、命を大切にするのか、それはどこよりも、誰よりも尊いものだとわかっているからです。
終わらない水俣病と向き合いながら、もっと魅力的な水俣になることを願っています。
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