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国会議員になりすます男

この事件は、一見大したことはなさそうで、実は重大な問題をはらんでいるのかもしれません。

偽の国会議員バッジをつけ、厚労省などが入る合同庁舎に不法侵入したとして、22歳の男が警視庁に『再逮捕』されました。東京・品川区の無職の男が、衆議院議員を装って、厚生労働省と環境省が入る合同庁舎に不法に侵入した疑いがもたれています。スーツに偽の議員バッジをつけて通用口などから侵入し、警備員から声をかけられた際には「会議に出席する」とウソをついていたとのこと。

このニュースを知って、まず驚きポイントは『再逮捕』。「えっ、初めてじゃない!?」。前月にも外務省に侵入したとして逮捕されていて、「国会議員として認めてもらい自己満足感を味わいたかった」などと容疑を認めているとのことでした。

驚きとともに、不思議だったのは「一体セキュリティーはどうなっているの?」

私も官庁等に出入りをしたことがありますが、もし以前と変わっていなければ、外部の者であれば、受付で名前や住所を書き、証明するものを提示し、電話で訪問先の承諾が得られてようやく金属探知機を通って入ることができます。ただし、国会議員の場合は、議員バッジを付けていれば、ノーチェックで官庁や国会議事堂、議員会館等に入ることができます。もちろん出入り口にはガードマンや守衛等がいますが、何百人もいる議員全員の顔までは覚えていないはずで、バッジの有無で判断しているものと思われます。

これは聞いた話ですが、間違って議員を呼び止めでもすれば、途端に不機嫌になり、後で責任者が大目玉を食らうことなるとのこと。顔認証も普及してきた時代に、議員バッジの有無で判断する、こんなセキュリティーで日本の中枢に居る人たちが働いていると思うとぞっとしてしまいます。しかも『議員バッジ』を検索すると、メルカリで数千円で売っていますし、偽造も簡単なようです。

逮捕された容疑者が語った「国会議員として認めてもらい自己満足感を味わいたかった」、ここも私には驚きポイントでした。20歳代の若者がそんなことを考えているとは、容疑者にとっては、政治家はよほど偉そうに映っていて、嫌悪感ではなく憧れを抱いていたということなのでしょうか。

微笑ましいでは済まされないのだけれど、残念ながら権威に弱い日本にはありがちな話。安倍元首相の銃撃事件でセキュリティの甘さが問われたばかりですが、20歳代の若者が、簡単に何度も機密情報が集まる建物に出入りできるという、とても重大な問題をはらんでいると感じた出来事でした。

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