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3冊の本、3つの思い

私はこれまで3冊の自著を出版してきました。元来、文章を書くことが苦手だった私なのに「よく本にできたな~」というのが正直なところです。出版に至るまでには、多くの人たちの協力が不可欠なので、あらためて感謝です。

写真をご覧いただければ、まずは「装幀がバラバラじゃないか」と呆れられるかもしれません。自分でもそう感じてしまいました(笑)。その上で、あらためてページをめくってみると、言っていることはあまり変わっておらず、それぞれの出版の動機や理由は違っても、伝えたいことの基本は不変のようです。


『明日のくまもとへ 政令指定都市を目指して』
2008年、当時私が首長を務めていた熊本市の最大の課題は政令指定都市への移行でした。九州新幹線の開業を2011年に控えて、福岡市への一極集中を加速させないためにも、九州の中心に位置する熊本市が政令指定都市に移行し、その拠点性を高めることが熊本市内外から求められました。市町村合併を進め、地方の拠点となる都市を増やしたいという国の方針もあり、市町村合併を実現して人口70万人を超えることを目標に、周辺市町村と積極的に協議を進めていた、そんな中での出版でした。

その当時は、人口1万人弱の富合町との合併が決まり、それ以外の周辺町との協議が始まろうとする時期。合併特例法という時限立法の期限が迫る中、背水の陣で臨んでいました。市町村合併は基本的には行政組織の統合であり、住民にとってはわかりにくいものです。「なぜ合併が必要か?」――合併後の新しい都市の姿も含め、住民の理解を深めるとともに、住民投票となった際には判断材料にしてもらおうと、急ぎまとめた一冊でした。

どこまで効果を発揮したかはわかりませんが、結果的には2町との合併も成就し、2012年の政令指定都市移行が実現したのです。その意味では、とても感慨深い一冊であり、その政令指定都市移行から10年という節目を迎えた現在、検証する上で、手前味噌ではありますが、貴重な一冊と言えるのではないかと思っています。


『コウヤマノート 熊本市政4,383日の軌跡』
この本は熊本市長としての12年間をまとめたものです。私の公式ホームページ上に『コウヤマノート』というブログのような日記をアップしていました。その中から、思い出深い日をピックアップし、当時はどんな気持ちでいたのか、裏話的なことも加筆して12年間を総括したものです。任期が終わる半年前、次期選挙には立候補しないことを表明した直後からまとめ始め、退任した翌月には出版にこぎつけました。政令指定都市だけでなく、『こうのとりのゆりかご』や九州新幹線開業、市議会との対立など、マスコミでも大きく取り上げられていたテーマについての当時の思いや、12年間の熊本市だけでなく自分自身の変化を知る上でも有益な一冊となっています。


『下手と呼ばれた男の流儀』
熊本市長を退いて、2度の県知事選挙に挑戦したわけですが、その理由や目指そうとしたものも含めて、いわば政治活動の総決算のつもりで書き始めました。ところが、書き進めるうちに、この本は完結できるものではないことが次第に明らかになりました。

もともと、私たちの故郷を少しでもよくしたい、その気持ちから政治家を目指し、務めてきました。その気持ちは今も変わりなく、ましてや政治とは政治家だけがやるものでは無いと常々言ってきたのです。2度の知事選に敗れて、その気持ちが失せたかといえば全くそんなことはなく、多くの人を巻き込んで2度戦った責任すらあるのだという結論に至りました。「これからも自分なりの流儀を貫かせてもらう」――そのことを宣言するような一冊となりました。

私の場合は本を出すことが目標ではなく、伝えたいことがあって、その手段の一つとして出版を選んできました。これから4冊目があるかどうかは全く未定なのですが、このnoteに書き溜めていることが書籍になるなんてことも、将来的にはあり得るかもしれません。『活字離れ』や『本がなかなか売れない時代』とも言われますが、自分の気持ちと向き合い続け、まとめて伝えたくなったら、そのときはお知らせしますね。

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