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『こうのとりのゆりかご』推進に期待

鹿児島市西別府町に設置されている花や苗の無人販売所のカゴに、布のようなものにくるまれた裸の男児が置かれているのを、近くの管理人女性が発見し通報。男児は、市内の病院に搬送され、無事だったことが報じられていました。置き去りにされたのは1カ月前で、男児の親、置き去りにした者は不明とのこと。詳しいことはわかりませんが、病院で出産していれば何らかの手がかりはつかめるはずで、おそらく自宅等での出産だと思われます。

https://373news.com/_news/photo.php?storyid=164510&mediaid=8&page=2

写真の無人販売所を見ると、周囲に家屋等は見られないことから、人里離れたところとの印象を受けました。また、発見時刻は17時15分ということで、薄暗くなりかけていた頃と思われます。発見が遅れて、その場で一晩を過ごしていたかもしれないと思うと、明るいうちに発見されたこと、現在のところ男児の健康状態に問題はないことに安堵しました。

『こうのとりのゆりかご』の賛否が分かれていることは、これまで何度も言及してきましたが、否定的な立場の人からは、虐待死や今回のような遺棄事件の発生件数が、ゆりかご設置の前後で変わらないことを理由の一つに挙げられます。そんな人がこのニュースを知れば、隣の鹿児島県での事件だけに、ゆりかごの限界の主張を強められるのではないかと思いました。

先日は東京都江東区の医療機関が、ゆりかごの設置と内密出産導入の構想を発表されました。また数年前の神戸市でのNPO法人のゆりかご構想は、現時点での受け容れは断念されたものの、相談機能としての運営を続けておられます。北海道でもゆりかごを標榜される団体があり、実際の預け入れは無いようですが、おそらく思いがけない妊娠や出産への対応に取り組んでおられることでしょう。

ゆりかごを推進する立場の人の中には、「各都道府県に1カ所くらいはあっていい」と主張される方がいます。母子ともの健康面や安全面を考えて、移動距離・時間の短縮のためにはそれくらいは必要かもしれません。ただ、「どこでもいい」という訳でもなく、緊急時の連係も含めた医療体制の整備は必要ですし、受け容れを行わなくても、緊急時に24時間で相談を受けることのできる体制整備は重要です。

その必要性が社会でも広く認知され、ネットワークとして充実していけば、鹿児島県のような例は、確実に減っていくのではないでしょうか。そのことは、この15年間、全国唯一であり続けた熊本市の『こうのとりのゆりかご』が証明してくれています。

改めて男児だけでなく、おそらく危険を伴う出産をした母親の健康を祈りながら、命をつなぐ取り組みの必要性を痛感しました。

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