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日本はなぜ賃金が上がらないのか?

バブル経済崩壊後の30年ほど、日本の実質賃金はほとんど上がっていません。その間にOECD(経済協力開発機構)加盟国の平均以下となり、アメリカの約半分、韓国にも抜かれてしまいました。長年指摘され続けてきたことが、ここにきて物価が高騰を始め、これまで以上に深刻な問題になってきました。

賃金の上がらない理由として、日本独特の雇用慣行としての『年功序列』と『終身雇用』を背景とした、労働分配率の低さ、企業自体も新陳代謝のスピードが遅いこと、労働者の流動性が低いことから若者の賃金が極端に低く抑えられていること、正社員から非正規雇用に置き換える動き等、色々と言及されていますが、いずれも「なぜ日本だけ?」との疑問に、明確に答え切れているとは言い難いように思います。

政府ももちろん問題意識はあり、最近では、賃上げ優遇税制の強化や、いわゆる『官製春闘』で3%の賃上げを経営者側に要求するなど、公的価格評価検討委員会を設けて看護・介護・保育等の処遇改善に取り組む等の対策を講じているものの、一部で効果はあっても、30年間の低迷を突破する兆しはまだ見えません。

そんな中、全国の都道府県では一斉に今年度の最低賃金の改定議論が始まります。熊本県でも熊本労働局から熊本地方最低賃金審議会に諮問がなされました。熊本県の最低賃金に関しては、少し前の地元紙の「政令市がある県なのに、最低賃金は全国で最低クラス」という記事が反響を呼んでいました。ちなみに全国最低は高知と沖縄が820円、熊本は821 円。最も高い東京とは220円、全国平均とは109円、九州最高の福岡とは49円、とそれぞれの差があります。最低賃金を決める審議会の会長は、物価高やウクライナ情勢などの厳しい経営環境に言及しつつも、「熊本らしい最低賃金を決めたい」とコメントされていましたので、今後の動向に注目しておきたいと思います。

現在、私自身は政令市10年の検証を進めていて、政令市の地域経済に与える影響は重要なテーマの一つです。10年前、政令市実現の後押しになったのは、人口減少や九州新幹線開業に伴うストロー現象への危機感でした。その効果のほどは!?

最低賃金の問題も、地域経済における重要な項目であることは言うまでもありません。「日本はなぜ賃金が上がらないのか?」に加えて「熊本の賃金はなぜ低いのか?」も合わせて考え、解を見出していく必要があります。

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