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終わらない銚子電鉄の挑戦

「やっぱりやり方次第なんだよな~」
「徹底してるな~」 

もと高校球児の私としては、『銚子』と聞くと1974年夏の甲子園で全国制覇を成し遂げた『銚子商業高校』がすぐに思い浮かぶのですが、最近では『銚子電鉄株式会社』がメディアでもよく取り上げられています。皆さんもご存知かもしれませんが、経営が厳しいことを逆手にとって、とてもユニークな取り組みをされています。

経営環境の厳しさは1970年代から続いていたようで、鉄道会社でありながら『たい焼き』や 『ぬれ煎餅』などの食品製造販売事業を手がけてこられました。2000年代に入り、いよいよ経営危機に陥った際「電車修理代を稼がなくっちゃ、いけないんです」と、公式ウェブサイト上で『ぬれ煎餅』の購入などによる支援を呼びかけたところ、メディアの協力もあり乗り越えることができました。なので『奇跡のぬれ煎餅』とも呼ばれています。

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その後も、スナック菓子『まずい棒』や『鯖威張る(サバイバル)弁当』の販売、企画列車『鯛パニック(タイタニック)号』『鮪渡り(つなわたり)号』の運行、そして自社制作映画の題名は『電車を止めるな!』。車内ポスターの「売るものが無くなってきたので音を売ります!」には思わず笑ってしまいました。以前は敷石を缶詰にしても売られていました。それらは自虐的であり、単なるダジャレなのかもしれませんが、次から次に打ち出される仕掛けは、しっかりとした戦略に基づいています。

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各駅のネーミングライツは企業名と情緒溢れたネーミングがミックスされていて、始発の銚子駅は『絶対にあきらめない』、終着の外川駅は『ありがとう』。電車を守りたいとの強い意思と一人ひとりのお客様を大事にする姿勢とが『銚子電鉄』の根本なのだと、実際に乗ってみて感じました。

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結果として、売上約5億円の8割は運賃以外とのこと。どこのローカル線も、人口減少と相まって運賃収入の伸びが期待できずに経営環境が厳しさを増す中、『銚子電鉄』の徹底ぶりと、実際に成果を上げておられることは、見事としか言いようがありません。

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そして、先ほどの単なる自虐ネタやダジャレではない戦略の背景には、
・日本一の水揚げを誇る銚子漁港
・日本一早い初日の出が拝める犬吠埼
・高台に登れば、地球が丸いことが実感できるスポット
・醤油の五大名産地のひとつ
・市場近くで新鮮な魚を鮨や海鮮丼などで食べさせてくれる行列のできる数々のお店
こうした銚子ならではの多種多彩な魅力があります。

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地域とともにあり、全国からファンを引き寄せ続ける『銚子電鉄』。次なる仕掛けがとても楽しみです。

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