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15年間、ゆりかごが伝え続けてきたこと

noteでは、これまで何度も『こうのとりのゆりかご』のことを取り上げてきましたが、5月10日で開設15年ということで、地元紙ではかなり紙面を割いて、ゆりかごを運営する慈恵病院(熊本市)の蓮田健院長の記者会見の内容や社説にもゆりかごのことが掲載されていました。

その中でも、15年の歩みや預けられた後の養育状況などを、時系列に示した特集記事が、とても見やすくまとめられていて、ゆりかごの全体を把握する上で、貴重な資料になるのではと感じたところです。
熊本日日新聞【よく分かる】こうのとりのゆりかご 開設15年の歩み
https://kumanichi.com/articles/650411

公表されている限りでは、これまで159人の子どもがゆりかごに預けられています。その後の養育状況は、この記事が示す通り、施設や里親、家庭での引き取り、特別養子縁組などです。そのうちのお一人が18歳になり、今春の高校卒業を機に名前や顔を公表し、これまでの経験や現在の生活、ゆりかごに対する思いなどを率直に語っておられます。地元紙では、ゆりかごに預けられた人々の人生についても取り上げる等、特集が掲載され、プライバシーの保護は気になりつつも、以前に比べればゆりかごの存在意義を捉えやすくなっているのではないかと感じています。

ただ、それでも、あくまで全体の一部であり、先ほど紹介した記事についても統計データですので、一人ひとりの人生までを読み込むことはできません。私は「ゆりかごは社会を映し出す鏡である」と表現してきました。なかなか見えにくい社会的養護の抱えるさまざまな課題に光を当てる、そんな役割を果たしてくれているという意味を込めた言葉です。

社会的養護
児童虐待
妊娠・出産
人工中絶
命の尊さとは?
親子とは?
家族とは?
社会とは?

皆さんも、紹介した、記事をじっくりと眺めてみませんか?
そして一人ひとりの人生について思いを巡らせてみませんか?

慈恵病院の蓮田院長が開設15年を前に「赤ちゃんの遺棄・殺人を防ぐには、赤ちゃんの『出自を知る権利』よりも命を守ることを優先しなければならない」と語っています。ゆりかごは、『救われた命』か、『出自を知る権利』か、といった二者択一の問題では決してないということがわかることでしょう。
そして、未だに『赤ちゃんポスト』と呼び続けていることを誰もが恥ずかしいと思う時がくる、そう信じています。

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