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なぜ行政の事業は評価検証ができないのか

「目標なき国の政策乱立 3割が成果検証できず」

日経新聞の見出しに目が止まりました。同紙が『行政事業レビューシート』を点検したところ、終了年度の成果目標を示していない事業が3割強もあるとのこと。驚きではありましたが、最近の風潮からすれば、さもありなんと思い直しました。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE047JR0U2A100C2000000/

最近の国の打ち出した政策の中で「年金生活者への5000円程度の支給」に関して、ちょっとした波紋が広がっているようです。あるテレビ局の調査では半数以上が支給に反対との結果も出ていました。そのことに関して、こんな記事も見つけました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/390af442f33876fbb21163d54f249ad0242a9a1d

内容はさておき、私が注目したのは各氏のコメント。ピックアップすると

「低すぎる。1万円は必要だ」自民党閣僚経験者「5000円だけとは、うち(公明党)をばかにしているのか」公明党関係者
「恥ずかしい政策だ」自民党長老
「首相と茂木氏らだけで決めるやり方は賢くない」自民党政調会
「5000円もらったら誰だってうれしい。選挙を考えたら否定するのはかなり難しい」立憲民主党幹部

皆さんどう思われます?もちろん記者のシナリオに沿ったコメントを集めますから、これが標準だとは信じたくないのですが、当たらずとも遠からじかもしれません。ある意味、政策はどうやって決まるのか、とてもわかりやすい事例だと感じました。

そもそも『行政事業レビューシート』について、内閣官房のHPを覗いてみると「行政事業レビューシートとは、政府が実施している約5000の各事業について、各府省において、事業の執行状況や資金の流れ等を統一した様式に記載するものです。行政事業レビューシートは各府省のHPにて、毎年7月上旬までに中間公表され、9月中旬までに最終公表されます。」とあり、シートの見方まで丁寧に説明してあります。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/gyoukaku/H27_review/H29_Review_Sheet001/H29mikata.pdf

冒頭の記事に戻れば、なぜ成果目標が示されていなかったのか、わかるような気がしました。

年金生活者への5000円支給のように、あんな感じで政策が決められるのであれば、成果指標なんて示せるわけがありませんし、示せたとしても単なる『後付け』であって、それを評価したところでほとんど意味はありません。私も行政の政策決定過程に携わってきたことがあるだけに、その場の雰囲気はわかるような気がします。

政治家や政党のメンツとか、選挙に有利だ不利だとか、賢いとか賢くないとか、そんなことはどうでもいいこと。世間ではDXやAIなどのイノベーションが当たり前の時代になってきているのに、いつまでも変わらない世界が現存し、私たちの暮らしに多大なる影響を与え続けています。

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