研修旅行③

はじめに

 皆さまお久しぶりです。オカヤマでございます。近頃全国的に大寒波に見舞われ、仙台も雪が積もりました。皆さまはいかがお過ごしでしょうか。私はレポートなどに追われ、目が回りそうな毎日です。一つ一つ頑張りたいと思います!
 さて、今回は研修旅行3日目、最終日についてお伝えします。どうぞよろしくお願いいたします。

10月25日(三日目)


新大佛寺

 まずご紹介するのは「新大佛寺」です。こちらのお寺は三重県伊賀市富永に位置する真言宗智山派の寺院で、山号は五宝山。本尊は盧舎那仏になります。山々に囲まれた田園地帯に位置し、お寺に向かうまでの道中も非常に清々しい心地がしました。
新大佛寺は、重源(1121~1206)が東大寺造営勧進を進めるために設けた伊賀別所が前身であるとされています。鎌倉時代以降徐々に荒廃してしまいますが、江戸時代中期に再興されました。現在の本尊である盧舎那仏はお寺が荒廃した際に朽ち残っていた当初の本尊の頭部を利用して作られたものです。そのほか石製の台座などが遺構として残っています。
私がこちらで印象に残ったものは重源上人坐像です。こちらのお像はとても写実的で、私の目でも製作者の技量の高さを見てとることができました。像高は80㎝ほどなのですが、その写実性ゆえか独特の迫力を感じました。

信楽院

 続いてご紹介するのは「信楽院」です。滋賀県蒲生郡日野町村井にある浄土宗鎮西派のお寺です。仏智山信楽院と号し、本尊は阿弥陀如来になります。仏智山信楽院としての開基は室町時代後期の武将蒲生貞秀(1444?~1514)で、蒲生家の菩提寺として発展しました。
 こちらでは近江日野出身の画家高田敬輔(1674~1756)が描いた天井画「雲龍図」を拝見しました。「雲龍図」は敬輔が寛保三年(1743)に描いた紙本墨画の絵画で、本堂の外陣中央室にあります。周囲には飛天、韋駄天などが描かれます。
 絵を見て、ただただ迫力に感動しました。龍の鱗、表情の鋭さ、大胆で力強い筆致など細部の要素を挙げればキリがありませんが、その一つ一つが絶妙なバランスで構成されていて、全体として強烈な印象を受けました。
 そのほか蒲生家にまつわる品々も拝見しました。蒲生氏に伝わる甲冑など、戦国時代の息吹を感じる史料が印象的でした。境内もとても美しく、非常に充実した時間を過ごすことができました。

紫香楽宮

 三日目の最後には紫香楽宮を訪ねました。紫香楽宮は、奈良時代中期に、現在の滋賀県甲賀市に聖武天皇が造営した都で、この地で初めて大仏が造立されました。周辺は田園が広がる静かな土地でした。現在都の跡は礎石などが残るのみですが、かつての日本の中心であると思うと非常に感慨を覚えました。

10月26日(四日目)

黒川古文化研究所

 研修旅行最後に訪ねたのは黒川古文化研究所です。こちらは六甲山の中腹にあり、大阪湾が一望できるとても美しい地に位置します。
 こちらでは貴重な絵画作品の数々を拝見する機会を頂きました。中国五代の画家董源(とうげん)(934~962)が描いたとされる「寒林重汀図」をはじめ、三河国田原藩士・画家であった渡辺崋山(1793~1841)がえがいた「乳狗図」など見事な絵画を間近で観察することができました。
 「寒林重汀図」は絹本墨画淡彩の絵画で、江南の豊かな水郷風景を描いています。個人的には奥行きや木々の細かな描写などが印象に残りました。「乳狗図」は授乳する母狗と乳を飲む子狗が、奇怪な形の岩を背に描かれています。写実的表現が見事であるのは勿論、何かを警戒するような母狗の引き締まった表情などメッセージ性を感じる印象的な作品でした。
 この他刀装具の展示も拝見しました。武士の思想や刀に対する意識がうかがえ、とても興味深い内容でした。

さいごに

 研修旅行に関しては以上になります。いかがでしたでしょうか。研修旅行では非常に刺激的で貴重な経験をたくさん得ることができました。さて、これからも寒い日が続きます。皆さま体調にはお気を付けください。それではまた次回お会いしましょう!

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