【書評】スモールスタートが鍵!?「データ・ドリブン・マーケティング」

こんにちはシステム開発会社でWebディレクターをしているhondaといいます。

最近ウェブ解析士の資格勉強をやったりと、データをどうビジネスに活用していくかということを考える事もあったため、口コミをみて本書を手に取りました。
正直、海外事例が中心で自分としては難しい部類の内容でした。ただ、参考になる点や面白い事例も多かったので、データ活用に興味がある人は一度手にとってみてもいいかもしれません。

書籍の概要

今回、お話しする書籍は「データ・ドリブン・マーケティング」という、2010年にアメリカで発売されたマーケティングに関する書籍の日本語訳版になります。

マーケティング施策を行うにあたって、効果測定・データ分析を起点とし、その効果を最大化、最適化していくという内容になります。

第1部で「データ・ドリブン・マーケティング」を実践している企業の傾向や、自社で取り組む際の障壁等が語られます。
第2部から15の重要指標について事例を交えながら具体的に指標の説明があります。
第3部は上級編として15の指標のさらなる活用を紹介しています。

本書のポイント

今回は特に納得感が大きかったデータ・ドリブン・マーケティングの導入方法やネットに関わる指標を取り上げていきたいと思います。

「1.マーケティング格差」

当時アメリカの大企業でもデータに基づくマーケティング指標を使いこなしている企業は過半数にも満たなかったと本書では語られています。
ウェブであれば一つの施策をやればどう評価されるかということは当たり前ではありますが、大企業でもデータをうまく活用できていないという事実は衝撃ですね。

また、データ活用ができている企業とそうでない企業についてマーケティング予算の分配が違うという点は面白かったです。
活用できている企業は短期的な需要喚起のマーケティング予算は低く、ブランディングやマーケティングインフラへの予算が比較的多く分配されているそうです。

なるほど、指標が活用できないということはマーケティング予算もどちらかというと短期的で、わかりやすい結果に結びつく施策に投入され、データが活用できる企業はよりマーケティング評価がしやすいようにインフラ投資もするし、ブランディングの価値を定量的に評価できるからこそ予算がかけられるということでしょうか。
うーむ、自分の感覚だと上記の解釈くらいになってしまいます。。

「2.なにから始めるべき?」
ここで参考になったのは完璧を求めて大きな取り組みとしてはじめずに、小さな成功事例を作ることからはじめる、という話です。

事例では小さな取り組みを一部の営業部署で実践します。
その成功が口コミ的に広がり、そのデータや指標を周りが使いだし、最終的に全体に広がり売上にも大きく貢献したというものがありました。

自分もなかなか最初から失敗のことだったり完璧を求めがちなときがありますが、そもそもあまりに大きな施策であれば、社内でも実際に取り組むべきか判断は難しいですし、小さな成功からデータや指標に信頼をおいてもらうということは実は一番の近道なのかもしれません。
データも100%完璧なものは必要ないですし、重要性の高いデータを見極め、それを活用することが大切になります。

「3.インターネット・マーケティングの重要指標」

本書で示される15の重要な指標のうちネットに関連する指標は5つでした。

⑪クリック単価(CPC: Cost per Click)
⑫トランザクションコンバージョン率(TCR: Transaction Conversion Rate)
⑬広告費用対効果(ROAS: Return on Ad Dollars Spent)
⑭直帰率
⑮口コミ増幅係数(WOM: Word of Mouth、ソーシャルメディア・リーチ)

正直このあたりの指標に関してはすでに知っているし活用している指標が多かったですが、アトリビュージョン分析とソーシャルメディアの活用については参考になりました。

リスティング広告などでは、クリックされてもコンバージョン率が低いものに関しては予算が割きづらいという部分が自分の中ではありました。
そもそも購入前の検討段階でコンバージョンにつながらい広告クリックがあることが頭にありませんでした。
アトリビュージョン分析を使えばコンバージョンにつながったセッションがその前に他の広告をクリックしていた可能性も探れるということです。
これを使えば今まで価値がないと思っていた広告やキーワードも実は売上に貢献していた!!なんてこともわかってきます。
あまり意識していなかったですが、こういったコンバージョン前の行動もしっかり見ていかないとなと思いました。

また、ソーシャルを使った事例ではバイオハザードの事例が上がっていました。動画コンテンツを友人にシェアし、5人以上に動画を再生してもらえると特別コンテンツがもらえるといったものです。
ソーシャル広告の直接の再生だけでは効果は低いものの、広告経由でシェアされた再生も含むと他の広告を上回る効果が得られます。
つまり1クリックの単価は5クリック〜の効果が得られ必然的に広告費用自体すごく効率のよいものになります。

今まで使ってきた広告は1クリック=1アクションという考えでしたが、うまくソーシャルで拡散してもらうことを考えれば1クリックの影響は大きな広がりを見せますし、費用対効果としても理解が得られるものになるんだと感じました。
正直ソーシャル活用の経験が少ないのですが、今後の効果的な使い方や評価方法など勉強していきたいと思いました。

まとめ

何をやるにしてもまずその結果を評価できる指標をしっかり設定することがまず第一歩だと思いました。
そして、自ら取り組むのにあまりにハードルを高く設定せず、スモールスタートで始めるということが非常に重要だと感じました。

あまりに大きく「データ・ドリブン・マーケティング」を実践しようとすると社内の理解は得られないですし、社内で小さな成功を残すことでだんだんと浸透させることで、より大きな成果へとつなげることができるんだと思います。
財務の内容や3部の上級部分は自分にはハードル高いように感じましたが、15の指標を自身の取り組みに当てはめることは、今後の価値ある取り組みになると期待しています。


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