かが屋の!コント9〜16本!
8月26日に行われた「かが屋の!コント16本!」のうち9〜16本の感想です。
タイトルはほぼ明かされておらず、ゆえにそれを逆手に取る形で16本に出てきた登場人物たちの冒頭にフォーカスを当てる形式で書いています。ネタバレはないです。
あとかが屋のコントは小説みたいだと評されがちなので、ならばそのように書いてみたくもなったりして...。全てはあの日に登場したキャラクターがしっかりと生きているからこそ書けたものです。1〜8本の感想は前述の記事にて。
(9)
俺に彼女がいたら、他の女性には目もくれない。たとえドリンクを運ぶ店員さんがいくら可愛かろうが、あいにく俺の瞳は彼女しか映らない仕様なのだから仕方がない。
しかしこの後輩は違う。彼女がいようがお構いなしに可愛いだの綺麗だのすぐに口に出す。彼女が聞いたら、そんなの可哀想じゃないか。
彼女いない先輩賀屋さん、いる後輩加賀さんの設定。先輩どこまでもまっすぐで純粋でアツかった。待ち受けのくだり笑った。
彼がどうか幸せになれますように...と思いつつ、激情型彼氏はちょっとコワイですよね
(10)
未だかつてこれほどまでに秒針の刻む音に無情を感じたことがあっただろうか。バラの花束を抱え、真ん中のテーブルで一切の生気を失っている男を横目で盗み見る。彼に対して、成功を前提とした振る舞いをしてしまった数時間前の自分を咎めつつ、僕は蛍の光の再生ボタンに手をかけた。
現在と過去のいくつかの時間軸を行き来する構成のコント。暗転とBGMを重ねるごとに笑いがこみ上げてきたしローズの仕掛けには脱帽でしかなかった。客席からも感嘆の息が漏れていたような。テアトロコントで披露した時には「花束高かった」という旨の話をしていて、生花なの!!ってびっくりした。笑
(11)
関係者席を用意されちゃったから観に来たけど、前衛的すぎてなにも感想が出てこない。なにを表現していたかも分からないしどこが良かったかも正直わかっていない。このあと楽屋に挨拶しに行かなきゃいけないのにこれはまずい。長居せずにさっと帰るようにしよう、きっとほかの関係者もいるだろうし。
上裸で宇宙人とかUFOが出てくる時の音楽(?)に合わせてコンテンポラリーダンスを披露する加賀さん、戸惑う賀屋さん。些細な日常切り取り系じゃないネタも作るんだ〜!って新鮮な気持ちでみれた。加賀さんの身体はバキバキで彫刻みたいでした。
(12)
ぼくのお母さんはいつまでたってもゲームが上手くならない。通信して一緒に戦うときはぼくがいっつもたくさん指示してあげてるのに、ぜんぜん言う通りに動いてくれなくて今日もすぐ死んじゃった。お母さんのせいでこのステージいつまでもクリアできないよ!
かがしょうくん(8)(仮)が可愛すぎてなんだか辛くなった。感情的だけど優しくて素直ないい子だよ(T . T)賀屋さんがお母さんの姿で出てきたときの安心感たるや。というか女役やってるときに放たれる賀屋さんの輝き、なんなんですかね。これはジェンダーレス男子の枠にギリギリ入ったりしますかね、どうなんでしょう(?)
(13)
鏡の中の俺、完全にがーまるちょばじゃん。がーまるちょば二期生オーディションがあったら絶対合格するでしょ。これお兄ちゃんに見せたら絶対びっくりするぞ。
パントマイムをお兄ちゃんに見せたい弟。
かが屋のコントって兄弟設定よくあると思うんだけどだいたい関係が良好だしちゃんと「おにいちゃん」って呼ぶところがとても愛です。さっきのダンスといいパントマイムといい加賀さん本当に器用。
(14)
駅前のコンビニで缶ビールを買って先輩の家に向かう。宅飲みを誘ってきた電話口の先輩はなぜか上機嫌で、口を半月型にして笑う先輩の顔が容易に目に浮かんだ。そういえば先輩の家初めて行くな。...ちゃんと掃除してあるのかな
ドラム式洗濯機を自慢したい先輩。「あ、もう今日はここでずっと行くやつですね」って覚悟を決めたときの加賀さん笑った。会場に鳴り響く洗濯機の稼動音と2人の表情の演技がすごく良くて、ハイDVD出してくださーいって思った。
(15)
本当は帰りたくなかったけど、じゃあまたね、と言って家を出てしまった。僕が玄関で靴を履き、ドアを押し開けた時、彼女はなにを思っていただろうか。駅までの道すがら、ふとポケットが空なことに気づく。家の鍵、彼女の家に忘れてきた。
彼女、たぶん状況的に早く帰ってほしかっただろうな(笑)予期せぬ、が重なって誤解が生まれて〜の流れはふたりの得意分野のように思える。物語として展開がいつも唸らせられます。
(16)
マジで次こそは絶対蹴らせねえぞ。腹立つけどあいつ意外と敏捷なんだよな、ちくしょう。ずっと俺だけが負けてる、そこんとこもうちょい気遣ってくれてもいいんじゃねえのか。
16本の締めくくり。"日常を切り取るコント師" がこの舞台で最後に見せる日常がこれなんだ、と思うと万感胸に迫って泣きそうになっちゃった。
実際ふたりが出会ったのはコンビニバイトだったけど、このネタのふたりは高校生時分に戻っているようにみえて、この缶蹴りがふたりの日常として存在している世界線を想像したらうううぅ、ってなった。おそらくどの世界線を辿ったとしても、このふたりは「コンビ」を組んでいるのではないかと思うと、目頭が熱くなりませんか。わたしはなってしまうんですがこのエモさを真っ直ぐに伝えられるだけの器量がわたしにあるかはわかりません...。つたわれ〜(佐久間一行)
遅ればせながら16本全部の感想をしたためさせていただきました。
16本全て新ネタでしかも全部面白いって、本当にとんでもないことを成し遂げちゃう人たちだなとただただ感服するばかりです、ほんとに。
かが屋が今いちばんほしいものはなんだろうと考える。かが屋が思い描く未来はどんな未来だろうかと想いを馳せる。いちファンの好きなんて無力で、わたしの小さな声なんて風が吹いたら簡単にかき消されてしまうけどそれでも好きがやめられない。
わたしが今いちばんほしいもの、思い描く未来。それはかが屋のふたりが立つ舞台が永遠に存在し続けることだ。
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