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【しくじり企業】フィンランド/ノキア:ガラケーの巨人、スマホに堕つ

概要
ノキアは1865年に木材・製紙業として創業。1990年代携帯電話製造業は全世界で不動の地位を確立し、2007年には世界の携帯電話市場シェアは52%に達する。しかしこの年発表された、iPhoneにシェアを奪われ、近視眼的な対応に終始。ついには2013年携帯電話事業を マイクロソフトに売却することで 手放すのであった。

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1. ノキアの歴史

ノキアは1865年に木材・製紙業として創業。長い年月をかけてゴム・タイヤ・ケーブル・電子機器等に事業メグメントを拡大しつつ、冷戦に巻き込まれる中で、軍事用通信機器の製造を受諾しフィンランド全土の通信を担う。そしてついに1990年代携帯電話製造業としてノキアは全世界で不動の地位を確立する。特に営業利益については、1995年1000億円から1999年4000億円にまで増大。その後もフィンランドの象徴として世界ナンバーワンの携帯電話事業として、大きなシェアを確保した。2007年には世界の携帯電話市場シェアは52%に達するが、この年ついに アップルからiPhoneが登場。過去の成功体験から逃れられないノキアはガラケー(英語ではFeature Phone)からスマホへの移行に失敗。ついには2013年携帯電話事業をマイクロソフトへ売却し、今やノキア製携帯電話を見ることはなくなった。

2. しくじりの理由:恐怖のあまり近視眼的対応から逃れられず

フィンランド/Aalto大学のインタビュー調査はノキアの内部事情について言及。スマホに脅威にさらされ四半期計画未達が続く中で、経営陣は近視眼な見方に捕らわれ、ミドルマネジャーも正確な情報を上層部に伝えることに恐怖感を感じるようになる。

実は技術力もアップルに劣っておりiOSと同等のOS開発には数年要することを認識しながら、経営陣はそれを結果顧客・サプライヤーに愛想をつかされることに恐怖を感じるばかりに対外的には認めず。ミドルマネジャーを責め立てるばかりで有効な手を打つことができなかった。

現場従業員レベルでも恐怖感は広がり、近視眼的な行動から脱却することができないのであった。

3. 教訓:人間は感情の生き物、恐怖を認める勇気があれば前に進める


一時は世界の半分を占めながら、iPhoneという道の怪物に徐々に徐々に追い詰められているノキアの恐怖感は想像に難くない。しかし大事なのは恐怖を否定することではなく、それを認めて その上で前に進む勇気である。自社が置かれている状況を素直に分析して認め、その上で 今後の対策と方針を決めることが、危機を脱する上で重要なのではないだろうか。

参考文献


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