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アル・キンディと競馬占星術2

こんにちは。

8世紀から10世紀前半までイスラム帝国を支配したアッバース朝。特に9世紀前半のアル・マアムーンがカリフ(※王様の事)だった時代、「知恵の館」(※8世紀後半から13世紀までバグダードにあった国立図書館)でギリシア語の科学や哲学の文書をアラビア語に翻訳する監督者として、また研究者として多くの分野の書物を著した「アラビア最初の哲学者」アル・キンディ

彼の占星術関係の著書は現在分かっているだけで8冊あるそうです。その中でも代表的な1冊が「The Forty Chapters(40章)」です。ホラリー占星術とイレクショナル占星術に関する本です。

「The Forty Chapters」は現在3つの版しか存在が確認されていないそうです。 アラビア語写本1つと、12世紀の翻訳家サンタッラのヒューゴ(Hugo of Santalla:12世紀前半のスペインの翻訳家。錬金術、天文学、占星術、幾何学に関するアラビア語の原本をラテン語に翻訳しました)とケットンのロバート(Robert of Ketton:12世紀にスペインで活動したイギリス人の天文学者、翻訳家。アラビア語の書物をラテン語に翻訳し、その中にはクルアーンを初めて西洋の言語に翻訳したものも含まれています)による2つのラテン語版です。

このヒューゴ版を主に英訳した(※但し競馬の章である36章以降はヒューゴ版では欠損しており、ロバート版を訳しているようです)のが、2011年に出版された「The Forty chapters of al-Kindi」。アメリカの伝統派占星術師であり翻訳家のベンジャミン・N・ダイクス(Benjamin N.Dykes)氏の手によるものです。

この本の36章より4ページほどですが「競馬について(On Horse Racing)」の項があります。

この内のいくつかをご紹介させていただきたいと思っております。

で、内容を見ますにおそらくと言うか間違いなく
ホラリー占星術
での見方を記していると思われるのですよね。

私が競馬予想で出している、レースの発走日時と競馬場の緯度経度で出す「スタートチャート」、ま一般的にはイベントチャートとかインセプションチャートとか言うのですが、そういうのではないようなのですね。

ホラリー占星術とは別名「質問占星術」とも呼ばれ、主に占星術師がお客様からの問いかけに答える為の占星術です。

つまりお客様が占星術師に聞く質問
・付き合っている彼は私と結婚してくれますか
・応募している会社は私を採用してくれますか
・今かかっている病院が手術を勧めてくるが、受けるべきだろうか
・買おうと思っている株があるが値上がりしますか

うちの馬、今度のレースで勝つかなあ?(馬主さんからの質問)

等の質問に、質問を受けた占星術師が内容を理解した瞬間の日時と占星術師がいる場所の緯度経度でチャートを作成、その星の配置から成否を読んでいくというのがホラリー占星術という技法なのです。

…お分かりいただけますか。

ピンとこない方もいらっしゃるかと思います。

とりあえず、こういう占いもあるんだ、ということで
なんとなく頭のどこかに入れといていただけると嬉しいです。

ではではまた来週。


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