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シーシャ屋を辞めようと思った話

某月某日、東京の有名シーシャ店に行ってきました。

岡山でシーシャ屋を開業し早2年半、運営はそこそこに上手くゆき、そこそこに満足のいくシーシャを作る日々。

己がシーシャに成長の踊り場を感じ、より美味いシーシャを作るというhungryさが失われかけていました。

慢心。惰性。倦怠。

そんななか、現状を打破する一助になればと田舎からTOKYOへ向かったのでした。

「そのシーシャを吸ってなんとする」

出典:もののけ姫/宮崎駿 スタジオジブリ

「曇りなき眼で見定め、決める」

出典:もののけ姫/宮崎駿 スタジオジブリ


東京に到着し、早速そのお店に伺います。

オーダーは同行者と2人で計6台。事前にオーダーしているとはいえ本数に申し訳なさを感じつつ着席。

お勉強として伺っているので、オーダーは全て、普段から自分が吸い慣れた、使い慣れたフレーバーをミックスなしの単品で。

早速提供してもらった1本目のシーシャ。マウスピースに口をつけ一吸い。

衝撃。

舌に乗る「香り」というよりは「味」。
旨味、深み、そして長く口内に残る余韻。
自分では出すことのできない要素。

圧倒的。圧倒的実力差。

そして絶望。

出典:ONE PIECE 513話/尾田栄一郎 集英社

実はそのお店には以前に何度か伺ったことがありました。

東京旅行がてら、業界では圧倒的知名度を誇るお店なのでツーリストとしてシーシャを吸いに行き、深く考えもせず、美味しかったなあと店をあとにすることが何度かありました。

そう、そのお店のシーシャが美味しいということは認識していた。
普通のシーシャと異質なことを認識していた。
はず、なのですが。

お勉強として、気合を入れて、何か持って帰ろうとして吸ってみると、その実力差に圧倒されてしまったのです。

そんなことお構いなしに続々と提供されるシーシャ。
すべてが美味い。上手い。深い。長い。強い。怖い。

「シーシャ屋辞めよ」

その言葉が口からこぼれ落ちるに気付いたのは、すべてのシーシャが出揃ってからしばらくのことでした。

出典:ONE PIECE 589話/尾田栄一郎 集英社

それから翌日、翌々日とそのお店に通い、他のお客さんのシーシャを含め合計17台のシーシャを吸わせてもらいました。

2日目以降、私はすっかりシーシャ屋を辞めた気でいるので、純粋にシーシャが好きな人間として存分にそのお店のシーシャを楽しむことができました。

最終日、美味しかったなあとそのお店をあとにし、新幹線で岡山に帰ります。


岡山駅に到着し、そのまま自分のお店に向かい、閉業のためお店の片付けを始めます。


オープンから2年半。
当初に比べ数も種類も増えたシーシャ機材やフレーバー、思い出の品々。


自然と涙が流れ落ちたとき、心のジンベエが問います。


「無いものは無い!お前にまだ残っておるものはなんじゃ!」


出典:ONE PIECE 590話/尾田栄一郎 集英社


そんなわけでスタッフの皆様、お取引先様、同業者様、そしてこれまで弊店にお越しいただいたすべてのお客様のおかげで現在もシーシャ屋を続けてるってワケ。

肝心のシーシャ意欲も人生最高値くらいに高まり、毎日修行中です。

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