Twitterからの移民がFediverseに定着しにくい理由についての一考察
こちらは、Fediverse Advent Calendar 2022 12月22日の記事です。
はじめに
こんにちは。Fカップ美少女JCの、深海(しんかい)と申します。
最近、イーロン・マスク氏の暴走(当初は"改革"という風にも見えたが、今は"暴走"という印象ですね)や、Pawooの経営譲渡など、SNS界隈の話題が絶えないですね。
近々また、新規ユーザーの大量流入が起こるかも知れません。
これまでもTwitterで何かが起こるたび、Fediverseが移住先として挙げられ、ほとんどの人が定着せずTwitterに戻っていく…ということを繰り返してきました。
「どうして移民のほとんどは、定着せずに戻っていってしまうのか」
「そもそも移民が定着し、人が増えるのはよいことなのか」
この記事では、以上の2点について、主観たっぷりで考察してみたいと思います。
どうして移民のほとんどは、Fediverseに定着せず戻っていってしまうのか
自分に合ったサーバー(以下、鯖)を見つけることが難しいから
Fediverseを使い始めるにあたって、最初の壁は鯖選びでしょう。
初めて使うサービスで、右も左もわからないのに、どこかの鯖を選ばなければならない。
"自由"は素晴らしいものですが、十分な情報がない中で選択の余地を与えられても、困ってしまうことの方が多いはずです。
たまたま自分の趣味・嗜好・背景などに合ったテーマ鯖を見つけられればいいですが、なかなかそうはいきません。
テーマ鯖は数多くあれど、外部の人がそれを見つけられるかは、また別の話です。さらに、「テーマ鯖では、そのテーマ以外のことは話さない方がいいのかな…?」という誤解も、初心者にはありがちです。
そこで多くの人は、汎用鯖を探すことになると思います。汎用鯖で、日本人向けで、なるべくユーザー数の多いところ…
そう考えるのはごく自然なことで、その条件にすっぽり当てはまるのは、みなさんご存知mstdn.jpという鯖です。
jp鯖に登録し、FTLを開いてはみたものの、流れが速すぎてついていけない、LTLには下品な言葉や過激な表現が飛び交っている…
詳しくない人から見れば、「マストドン(Fediverse)の代表」とも捉えられかねない鯖が、そういう有り様(?)なわけです。Fediverse全体がそういう場所と勘違いされて、人が離れていく…というのは、想像に難くないですね。
(ちなみに僕はmstdn.jp出身で、jp鯖のことが大好きです)
楽しむには主体性が必要だから
鯖選びの壁を乗り越えて、自分に合いそうな鯖を見つけても、そこで終わりではありません。
「マストドンの使い方がよくわからない」
新規ユーザーが書いているのを、何十回と目にした言葉です。
確かに、鍵アカの仕様はTwitterと少し違うし、非公開と未収載の違いなど、わかりにくいと感じる部分はあるかも知れません。しかしSNSを使い慣れている人であれば、操作方法自体はそこまで難しくないはずです。
おそらくここで話されている"使い方"という言葉の意味は、「どんな人をフォローすればいいのかわからない」「どんなことを呟けばいいのかわからない」「そもそも何をすればいいのかがわからない」…辺りなのではないでしょうか。
Twitterでは、放っておいてもプロモーションツイートなどが流れてきたり、おすすめユーザーが表示されたり、トレンド機能があったりなど、フォロイーや話題は向こうからやってきます。
そもそもTwitterほど有名なSNSであれば、使っている友人・知人の一人や二人はいるでしょう。そこから輪を広げていけばよい話です。
一方Fediverseはどうでしょうか。
鯖ごとにおすすめユーザーを表示する機能はありますが、芸能人はほとんどいませんし、「莫大なフォロワーを抱えるわかりやすいアルファユーザー」がいるわけではありません。
あくまで自分と対等な一般ユーザーたちと、一から関係性を築いていくことになります。
また、検索やトレンドなどの機能にも力を入れているわけではないため、FTLやLTLに流れる雑多な話題から、自分に刺さる話題を拾っていかなければなりません。
僕のリアル知人には、「InstagramやTwitterに登録してはいるけど、芸能人やアルファユーザーの投稿を見たり、リアルの友人と交流するぐらい」という使い方をしている人が多くいます。
それが悪いこととは思いませんが、そのような受け身のSNSの使い方と、Fediverseは噛み合わないでしょう。
分散型SNSというしくみの難しさ・とっつきにくさがあるから
僕が分散型SNSのありがたみを実感したのは、Fediverseを使い始めて実に3年ほど経ったころです。
分散型SNSの理念やしくみを、全く知らなかったわけではないんです。
ただ数年間は、ほとんどmstdn.jpしか使用していなかったし、mstdn.jpと縁のあるユーザーとしか繋がりがありませんでした。なので、ここが分散型SNSである意義は、あまり感じていなかったと思います。
ActivityPub?オープンソース?非中央集権?
ぶっちゃけると、いちユーザーにはどうでもいいんですよね。
中央集権型サービスに慣れて、お客様感覚でSNSを使っている多くの人間にとっては、自分が楽しく快適に使えることが全てなんです。
その楽しさや快適さが、分散型SNSの理念やしくみに下支えされたものだったとしても、それに気づけるかはまた別の話で…
分散型SNSについての噛み砕いた説明も、関心を持っている人にとってはありがたいものです。しかし、残念ながら多くの人は、「なんか難しいこと言ってるな」ぐらいにしか受け止めていない気がします。
また、ネットニュースなどで、分散型SNSが的外れな取り上げ方をされているのをよく目にします。書き手の勉強不足、というのももちろんあるでしょうが、単純に難しかったり、よさを理解し実感するまでには時間が必要、ということではないかと思います。
そもそも移民が定着し、人が増えるのはよいことなのか
新規ユーザーが来ないコンテンツはいずれ滅びるので、人の流入はある程度は必要…ということを前提として。
人が増えるのはよいことなのか…この答えは、立場によって変わってくると思います。鯖の利用者なのか、鯖缶をしているのか、によってです。
鯖の利用者の場合
人の出入りについて、利用者がどうこう言っても仕方がない…と僕は思ってます。
Fediverseの鯖は基本的に営利目的で運営されるものではないので、利用者の僕たちはお客様ではありません。あくまで鯖缶さんの善意で利用させていただいている、という立場です。
だから、新規ユーザーと僕たちは対等です。古参だからえらい、とかはないです。
だけど、新規ユーザーを悪く言ったり、排斥しようとする人はどこにでもいます。人間っておもしろいですね。
よく、「新規の流入によって、Fediverseが(悪い意味で)Twitter化するのでは?」という不安を耳にしますが、個人的にはそれはないんじゃないかな、と思います。
なぜかと言うと、前述の「Fediverseに新規が定着しない理由」によって、自然にユーザーの淘汰・選別が行われてしまうからです。
鯖のいち利用者である僕たちは、鯖缶さんに感謝しながら、のんびり構えていればいいんです。というか、それ以外にできることはないんじゃないかと思います。
法律や公序良俗に反するユーザーがいるなら、黙っている必要はありませんが。
鯖缶をしている場合
僕は鯖缶をしたことがありません。鯖を運営するのがどれほど大変なことなのか、具体的に何をすればいいのか…全くわかりません。
なので、ここから書くことはあくまで推測になります。
まず人が増えると、コストも増えますよね。単純なお金だけではなく、管理の労力も増えます。
開かれた鯖を運営しているのであれば、いろんな人に利用してもらいたいという気持ちはありつつ、自分のキャパシティとの相談…ということになるのかな、と思います。
良識的なユーザーばかりならともかく、これから良識を身に付けていく若者(通称学タブ勢)や、悪いことをしようと考えている人もたくさんいるでしょう。鯖缶という立場だと、そういう人たちへの対応もしないわけにはいきません。
ユーザーが全く来ないのも困るけど、一気に流入するというのは、鯖缶さんにとってはあまり歓迎すべきことではないのかな、と勝手に思っています。
そう考えると、明らかなメリットがあるわけでもないのに、コストと責任を負いながら鯖を運営してくれている鯖缶さんたちには、頭が上がりませんね。本当に。いつもありがとうございます。
おわりに
話の流れ的に、仮タイトルで言及した例の漢字一文字…「膣」を添える隙がありませんでした。
また、上手な表現が見つからず、言葉が足りなかったり、不適切な言葉を使ってしまっている箇所があるかも知れません。不快に思われたら申し訳ありません。
TwitterとFediverseを比べて優劣をつけるような言説をよく見ますが、それぞれにいいところと足りないところがあり、どちらが上というものではない気がします。
FediverseはTwitterの代わりにはならないし、TwitterはFediverseの代わりにはなりません。
Fediverseに来て、早6年目。これまでお世話になった人たち、関わってくれた人たちに、改めて感謝しつつ…
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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