春、始まり、嘘ではなく

本日は4月1日、エイプリルフール、
新年度開始日にして、新元号発表の日だった。

大晦日のカウントダウン並みに、いやもしかしたらそれ以上に世の中が沸き立っているのを感じて、そわそわしながらも、
心の底から乗り切れてもいない自分を感じていた。
それでも気にはなるし、久しぶりの休みだったので、
なんとなくテレビをつけて、中継を見守る。
(TLを追ってもいいけれど、ネタやフェイクに心を動かされるのも面倒だったし、なんとなく発表の瞬間くらいは動画で見たいのだった)

昭和の最後に生まれた私にとって、昭和から平成にかけての変化というのは、ほぼ記憶にない出来事である。
物心ついてから平成を過ごし、つまらない大人になって、来月から世の中は新元号へと変わろうとしている。
歴史的瞬間に立ち会うような錯覚を覚えるが、所詮、日本人が作ったよくわからない節目でしかないような気もしてしまう。

掲げられる一瞬前、伏せられた額縁が傾けられ角度が変わる瞬間に、高画質のカメラに捉えられた漢字2文字を目にし、思わず口に出していた。
「令和」。

Rで始まる耳慣れない音の響きは、新しい時代の訪れを予感させる。
2文字目は昭和への回帰のようで、落ち着きと温かみを感じさせる。
いい名前なんじゃないか。素直にそう思った。

テレビ画面の中で、人々が口々に言う。
平和な時代を。みんなが花を咲かせられる世の中を。

名前が変わったって、そう簡単には変わらないのかもしれない。
4/30が5/1になったって、何も変わらないのと同じように。

でも。
平成を振り返る番組で、バブル時代にディスコで踊るお姉さんたちの動画を見て、遠く離れた昔の出来事のようにしか感じられないように。
世の中は少しずつ、少しずつ変わっていって、気がついたら大きく変わっている。

だから、昨日より今日を、今日より明日を、良くしていかないと。

そんなことを思った。

こんなことを思うのも、外が春だからだろう。
何が変わるわけでもないけれど、世の中は新年度、
私だって浮かれているのだ。
花冷えの冷たい風に、静かに舞う桜。
来週の入学式ラッシュまではもたないだろうな。でもそれでいい。

新しい2文字に、
長い冬の終わり、春の始まりを知らせる梅を思って、
これからの未来に期待する。
そんな春の日だった。




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