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JGLトピックス:幕張メッセでブラタモリセッション

日本地球惑星科学連合2019 年大会(JpGU2019)で NHK の人気番組『ブラタモリ』をテーマにしたパブリックセッションを開催した.ブラタモリには,特定のトピックにとどまらないシームレス性と,一般化された科学的理解に導くセンスがあり,番組で扱われる土地の「お国自慢」に終始することがない.それらの特徴は,多様な時空間スケールにおける複雑系を相手にする地球惑星科学の教育やアウトリーチに対して,さまざまなヒントを与えているとともに,地球惑星科学の裾野を広げることに貢献している.地球惑星科学,とくに地質学・地理学のアウトリーチとしては,個別の土地そのもののトリビア的な知識ではなく,その土地を通した地球の営みの理解が重要である.

日本地球惑星科学連合ニュースレター(JGL: Vol.15, No.4, pp.6-8)

http://www.jpgu.org/publications/jgl/

JGLの編集幹事からメールをいただいたのが2019年の7月。2019年11月発行の秋号か、2020年2月発行の冬号のいずれかのトピックスでという連絡。わたしは「読者にとっても自分にとっても記憶の新しい秋号で」と返信。そのときは何となく思うままに返信したに過ぎなかったが、その「秋号」という選択が、数ヶ月後に大きな意味を持つことになった。

執筆は、フィールドワークの合間に少しずつ進めた。2018年8月には、沖縄~タイ~ラオス~タイ~沖縄~韓国~カザフスタン~キルギス~モンゴル~中国~韓国~大阪~長野~東京~奄美~沖縄というフィールドワークがあった。その間にだいたいの原稿が完成した。

https://twitter.com/s15taka/status/1159354089378947074?s=19

フィールドから帰国し、記事に最適な写真を撮影すべく首里城跡に向かったのが9月11日。記事の図1b~図1dの3枚はこの日の早朝に撮影されたもの。昼過ぎ、長野で病床に伏していた父親が亡くなったとの訃報。翌日に予定されていたNHKチーフ・プロデューサーとの打ち合わせを急遽その日の夜に変更して、翌日、仕上げが必要な原稿を抱えて成田に飛んだ。

それから表紙画像の選定などがあり、バンコクで謹慎したり、法事で沖縄~東京~長野の往復を繰り返したりしているうちに印刷所に送られ、ミャンマーへのゲートシティとしてチェンマイに滞在していた10月中旬に校正が届いた。

https://twitter.com/s15taka/status/1185073375296671744?s=19

ミャンマーから再びチェンマイ経由で帰国、発行が近づいてきたとき、ふと思うことがあった。JGLをブラタモリのMCにお渡しするべきではないかと。しかしそれにはいろんな制約(特にタイミングの問題)があり、わたしはJpGU事務局に印刷物が届くスケジュールを確認した。ギリギリである。

JpGU事務局は神対応であった。手際よく印刷所に手配し、那覇中央郵便局に局どめで直送いただけることになった。香港で首里城火災のニュースを聞き、香港警察の催涙弾を浴びて那覇空港に着いたその足で郵便局に寄ると、届いていた。あと1日遅れていたらアウトだった。

https://twitter.com/s15taka/status/1191336410692718592?s=19

ところで、記事の図2には「中国南部のカルスト地形(Wulong Karst)」の写真が掲載され、キャプションには次のように書かれている。

タモリ氏であれば,地形学的な基礎知識を用いて,まず化学的な溶解により鍾乳洞が形成され,続いてその上部が物理的に崩落したことを,初見でもほぼ瞬時に理解されるであろう.

わたしの勝手な推測が正しかったかどうかは、元日にわかるかもしれない。

ブラタモリ×鶴瓶の家族に乾杯 新春!沖縄スペシャル - NHK 【出演】タモリ,笑福亭鶴瓶,小野文惠,林田理沙,【語り】草彅剛 ~沖縄県で収録~

https://www4.nhk.or.jp/buratamori/x/2020-01-01/21/66100/2501364/

https://natalie.mu/owarai/news/357117

*その2はこちら

JGLトピックス:シームレスなアウトリーチ|Takayuki Ogata @s15taka #note  

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