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カセサート大学で農学を考える

カセサート大学(タイの国立大学)シラチャ校に来た。この大学はもともと農業大学からスタートして、現在も農学系の世界的な名門大学と評価されている。タイ国内にいくつかのキャンパスがあり、シラチャ校はそのひとつ。

カセサート大学シラチャ校

チョンブリー県のシラチャは、国際的な貿易港のレムチャバン港を背景に、工業都市として急速に成長した。もともとは田舎の漁村だったのだろうが、いまは大量のコンテナが出入りし、その取扱量はタイでナンバーワン。日本企業の進出も盛んで、日本人街といえるような地区もある。いまは日本人が1万人も住んでいるとか。

残丘の向こうがレムチャバン港

世界各地からコンテナが集まる

カセサート大学シラチャ校には5つの学部があって、農作物の国際的な集散地であり、新興の工業都市でもあるという、レムチャバンの「地の利」を活かした教育研究が行われている。

Faculty of Management Sciences
Faculty of Engineering at Si Racha
Faculty of Science at Si Racha
Faculty of Economics at Si Racha
Faculty of International Maritime Studies

http://www.src.ku.ac.th/

理学部(Faculty of Science)は、もともと「資源」と「環境」を看板に掲げていて、熱帯の農学に密接に関わる教育・研究をしていたようだ。いまもその流れを受けているようにみえる。

農学は学際的な性格が強い。わたしの知人だと、特に水文学の専門家が、よく農学系の組織にいる。先輩や後輩には農学部に行った研究者も少なからずいるし、いま勤めている大学にも水文学の研究者がいる。水文学が扱う水循環は、気象・気候や地質・地形に大きく左右されるだけでなく、生物活動にも直結するため、農学系での需要が多い。

農学との接点は水文学だけではない。農学は、生産から流通までをトータルで視野に入れる必要がある。農業生産は自然環境、特に気象気候の影響を強く受ける。流通は、地域的な結びつきに左右されるものであり、また流通そのものが地域的な結びつきをつくりだす。地理学とも無関係ではない。いやむしろ、地理学が扱う課題そのものを多分に含んでいるといえる。

学問はそもそもシームレスなものだ。狭い部屋に閉じ籠らず外に目を転じてみれば、似たようなことをやってる学問はたくさんある。成果も、手法も、外の学問から学ぶことがたくさんある。これからの時代、いわば「井の中の蛙」のような学者は、まともな学問はできなくなるだろう。

これはいい残丘だ(タモリさんのパクリ)

夜の正門

乾季の熱帯の夜は快適

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