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久高島でブラタモリ

NHK「ブラタモリ×鶴瓶の家族に乾杯 新春!沖縄スペシャル」関連記事。斎場御嶽~百名ビーチはこちら

斎場御嶽でブラタモリ(その0)

斎場御嶽でブラタモリ(その1:寄満)

斎場御嶽でブラタモリ(その2:大庫理)

斎場御嶽でブラタモリ(その3:三庫理)

百名ビーチでブラタモリ

「神の島」と崇められる久高島。ブラタモリ(#67 奄美の森)で「平らな島」とカテゴライズした、サンゴ礁が隆起した平坦な島。タモリさん・鶴瓶さんが目指したゴールは、標高17.5mの、琉球石灰岩からなる小島でした。

久高島の北東端(カベール岬)では、造礁サンゴが死んでサンゴ礁になり、さらにサンゴ礁が隆起して石灰岩になるという現場をみることができます。

ここは、いわば「石灰岩の製造工場」とも言える場所ですが、造礁サンゴが生きられる現在の沖縄の自然環境を読むだけでは、物足りません。自然環境の周期的な変化がわかると、風景から読み解けるものが、大きく変わります。

わたしたちが生きる最も新しい地質時代は、第四紀と呼ばれ、氷期と間氷期が繰り返されている、いわば激動の時代です。気候変動はおよそ10万年サイクルで、氷期と間氷期の交代の際には、100m前後の海面変動(氷河性ユースタシー)を伴います。

https://www.jamstec.go.jp/sp2/column/03/

現在からみて、最も新しい氷期は、最終氷期と呼ばれ、およそ2万年前に寒冷のピークがありました。当時の海面は、現在より100~140m低かったことがわかっています。最終氷期に久高島はなく、沖縄島(沖縄本島)と陸続きでした。この一体の地表は、ひとつ前の暖かい時代である最終間氷期に発達したサンゴ礁が、寒冷化による海面低下で陸化した石灰岩に覆われていました。

現在から1万年と少し前、急速な温暖化があり、海面がほぼ現在の位置まで上がりました。その結果、沖縄島から切り離された、いくつかの島が生まれました。そのひとつが久高島です。たかだか1万年の歴史しかない島とも言えます。

琉球弧のように地殻変動の活発な島弧だと、さらに地盤の隆起も組み合わさり、地形が刻々と変わっています。これらの事実は、地形学の基本で、タモリさんやわたしにとっては常識です。わざわざ久高島まで渡ってそんなことを考えると変人扱いされるのがオチですが、ブラタモリは、そういう話題を、肩肘張らずに、さらっと語ってしまいます。ブラタモリの最大の魅力はそういうところにあると、わたしは思っています。

ところで、久高島は、ニライカナイに最も近い場所と言われているそうです。この島の向こうでは、フィリピン海プレートがユーラシアプレートに沈み込んでいますね。地質学的には「プレートが消費されるところ(収束境界)」であり、同時に「大陸地殻ができるところ」でもあります。

図はひできちさん( @hidevolcano )作成

新春スペシャルのブラタモリ地球科学パートでは、斎場御嶽で「崩れる・落ちる・滑る・動く」というマスムーブメント、いわば石灰岩が死んでいく過程を解説し、百名ビーチで休息を挟み、久高島では新たな石灰岩が生まれている現場に行きました。どんな物事にも、始まりと終わりがあります。何かの終わりは、何かの始まりでもあります。2020年(BE2563年)がスタートしましたが、今年もよろしくお願いします。

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