ポジティブ・コンピューティング

社会に偏在するデジタルテクノロジーがこれほど潜在的な影響力をもった時代はない

技術者の間では社会的善への関心が高まっている 一般の人も感情や生活の質、幸福にデジタルがどのような影響を与えるのか興味を持っている

このような心理は、他分野で起こっている。例えば経済であれば、Gross national happinesに目を向けるようになり
心理学者や精神学者は、疾患にとどまらず、レジリエンス(心理的回復力)や幸福、利他行動(altruism)といったポジティブな心理的機構を研究し、専門分野を10年で確立した。
神経学者は並外れて健全な人の神経基盤を調査し、共感やマインドフルネス、瞑想といった要素は実証している。
教育やビジネスでは情動知能EIやポジティブ心理学を活用して、生徒や従業員のwell-beingを改善しようとしている

これらの分野を超えたwell-beingを支援する取り組みでテクノロジーが高度な役割を持つことは明らかである。

本書では、ポジティブ・コンピューティングという。心理的well-beingと人間の潜在能力を高めるテクノロジーの設計および開発を扱う。
しかし、複雑な不確定要素が相まって何台にぶつかるため、人間の多面性を実証的に扱う社会学者との連携が必要不可欠である。

結局、人間としての根本的な目標は幸福の追求であり、現代社会において幸福を追求しようとすれば、必然的にテクノロジーの力を借りるか、テクノロジーから離れるしかない。

テクノロジーの進歩は幸福には結びついていない。それは単にまだテクノロジーのデザインプロセスにおいてwell-beingが考慮されてないからに過ぎない。
昔から、心理的影響という定義が困難なものを扱うことを回避してきた。

ポジティブコンピューティングは1970年代から測定し、今や測定する手段は1400位上あるうえに、多種多様な固有のサブグループに応じてカスタマイズされている

特に、抑うつ自己評価CES-Dと機能の全体的評定GAFがある。

また、アフェクティブコンピューティングやコンピュータビジョン、データマイニングの分野は著しい進歩を遂げている。

当該論文は、Journal of Medical Internet Research, Journal of Cyberpsychology, Behavior, and Social Networkingが高い評価 
また、IEEE Transactions on Affective Computingは工学的視点の研究がある。

人々は心理学者と過ごすよりもはるかにデジタルテクノロジーと過ごしている。
世界的規模でwell-beingを促進するための選択肢と方法論が増えており、それらによってインタネット上での介入に関する科学が進歩する可能性があると心理学者は言う。
実際に、FacebookのResearcherはランダム化比較試験で微妙なデザイの変化がいかにユーザ0の思考と行動に大きな影響を及ぼすかを示した。

ポジティブコンピューティングという分野が今よりも厳密なものになり、発展するために他分野の理論、知識、方法論からなる統合的な基盤を作る

1章では、心理学や経済学、教育などコンピューティング以外の分野を扱う。少し、コンピューティング可能な分野や先行事例を上げる。

4章では、理論に基づくフレームワークを提案し、ポジティブコンピューティングにおけるテクノロジーの研究と評価に適した手法を検討する。さらに適応範囲の概説も行う。その差異、支援するために特別に構築されたテクノロジーはもちろん、well-beingの研究がありとあらゆるテクノロジー体験を向上させる可能性に目を向ける

2部では、研究文献に基づき、well-beingの様々な因子をクローズアップする
具体的には、ポジティブ感情、動機づけ、没頭、事故への気付き、マインドフルネス、共感、おもいやり、利他行動がある。
そして、要因とwell-beingを関連付けた先行研究を参照し、因子の促進にテクノロジーがどう関与するかを検討する。

終盤では、プライバシー、パターナリズム、心理の複雑さ、自立性という問題への批判

最後に、ポジティブコンピューティングの今後を思い描く、どのように資金で持続させられるかも考察する。

本書の目的、1つは証明、2つ目はユビキタスコンピューティングの時代に突入する前に、正しい知識をいれること。

テクノロジーは世界規模のFlowlishingを達成する手段になり得る大きな可能性を秘めている。熱心な専門家たちのイトにも嘘偽りはない。しかし、この努力を無駄にしないために、私達はエビデンスに基づいた努力をし、評価を受け入れ、有効性を証明しなくてならない。

# 1章 ウェルビーイングの心理学
人は何をするしてもまず相手に、How are you?と相手にウェルビーイングに関する情報を集めようとする。
ここでは、心理学と心の科学における領域から要素を見ていく。
## ウェルビーイングの認識論
ここでは人生に意義を見いだし、自分の潜在能力を最大限に発揮している状態と捉えると、3つ医学的アプローチ・快楽的アプローチ・持続的幸福的アプローチ(eudaimonic)となる。
### 医学的モデル 機能障害がないという意味のウェルビーイング:病的か(治療を要するか)、病的でないか(通院スタンプだけ)かに分類
更に医学にはa.予防とb.促進 とあり 予防は危険因子を回避すること、促進は適した状況を作り上げたり、保護因子の増進を目指すことである。
指標はCES-D(抑うつ自己評価)とDSM-IV(精神疾患の診断マニュアル)とGAF(機能の全体評定)である
ティモシーソーは打つと不安など精神疾患に関する尺度からウェルビーイングの10の構成要素を特定した。それは、有能感、情緒安定、没頭、意義、楽観性、ポジティブ感情、良好な人間関係、心理的回復力、自尊心、活力である。

医学モデルは範囲が限られており、促進には役立たないと気づくので、そのときに快楽的ウェルビーイングと持続的ウェルビーイングを使う。

### 快楽心理学 ポジティブ感情の体験とウェルビーイング
カーネマンの研究では、今この瞬間の感情と想起された感情の療法を収集している。ある研究では、ポジティブ感情、人生の満足度、総合的な幸福度を測定し、気分の高まる行動と気分のメイル行動について尋ねる質問を記入。その結果、今この瞬間に集中したり、過去のポジティブな体験を想起することでポジティブな観光が高まり、人と何かを共有することで人生の満足度が上昇した。
ポジティブな体験を想起させたり、目の前に集中させることが重要である。

###主観的ウェルビーイング 
かねまんは持続的な特性を測定する必要に対応するため、自己報告形式で人生の満足度を評価する主観的ウェルビーイングSWBをつくった。認知的評価と感性的評価からなる
主観的ウェルビーイングの尺度は3つで構成されている 人生の満足度、ポジティブな気分、ネガティブな気分

### 3.エウダイモニア(持続的幸福)的心理学 意義の発見と潜在能力の発揮のウェルビーイング
ここでは中道、中庸という考え方をみていく。
####自己決定理論 自立性、有能感、関係性から得られるウェルビーイング
どうやったらやる気を引き出せるか と問うてはならない その設問は間違っている。その人がやる気を出せるような状況を用意するにはどうしたらいいかと問うべきだ。 ーエドワード・デシ

このSDT(自己決定理論)は自立性、有能感、関係性が動機づけとウェルビーイング両方の重要な構成要素であるとする。
自立性:自分の活動の結果h、自分の意図によるものだ(内部統制)
有能感:自分には課題を解決する能力がある
関係性:安心感や他の人とのつながりが感じられる

SDTはデザインに応用しやすい。
ウェルビーイングの快楽的理論がSWBの研究を基礎としているのに対し、エウダイモニア理論は「ウェルビーイングを後押しする一連お要素(自立性や良好な人間関係)において、その人がどれだけ良い結果を出しているか」という尺度をよく使用する。

###快楽的アプローチとエウダイモニア的アプローチを組み合わせる
現在の多くに理論は2つを兼ね備えている。
マーティン・セリグマンはPERMAモデルを開発した。Positive emotions, Engagement, Relationships, Meaning, Achievementの略。

###ポジティブ心理学
主観的レベルのポジティブ心理学は、価値のある主観的経験を扱う。具体的には、ウェルビーイング、充実感(以上3つは過去の視点)、希望と楽観(未来の視点)、そして、フロート幸福(現在の視点)である。ーセリグマン、ミハイ Prisitive Psychologyより

特筆すべきは、人間の行動と思考には、比較的変化しやすい面も存在することだ。ピーターソンとセリグマンは良好なメンタルヘルスにつながる4種類の要素(才能、実現要因、強み、成果)としたが、1つ目の才能は変えるのが難しい特性である。2つ目の実現要因とは、ウェルビーイングの実現を支える環境条件のことで、適切な社会的状況や思いやりに溢れた家庭などがあたる。
そして、テクノロジーの視点から見て最も興味深いのが、3つ目の強みだ。強みは、好奇心、やさしさ、感謝の気持ちといった人格的特性のことで、介入の影響を受けやすい。そのために強みに関して、学者や技術者は影響を与えることができる。

リーヴァとバーニョスはポジティブな感情を通じた経験を提供することによる快楽的ウェルビーイングの改善方法、更には気分の体系的誘導法systematic mood induction、ウェルビーイング、回想、ライフテーマのための訓練を用いたエウダイモニア的ウェルビーイングの改善方法、そしてポジティ侮感情の共有、ウェルビーイング訓練、重要目標の共有に基づく社会的つながりの改善方法を提案した。

###情動知能
怒るだけなら誰にでもできる。実に簡単なことだ。しかし、適切な相手に適切な強さで、適切なときに適切な目的で、適切な方法で起こるとなるとこれは容易なことではない。ーG.E.Vaillant Positive mental health

知的能力は狭い定義だった。社会的能力や感性的能力そしてウェルビーイングの厳選を加えた。
ダニエルゴールドマンはEIには自己認識(自分の感情を認識する)、自己調整(自分の感情を制御する)、動機づけ(情熱的に物事に取り組む)、共感(他者の感情を理解する)、社会的スキル(他者とうまく付き合う)要素があるという。

### 生物学と神経科学
Affective computing
神経学者は人が経験する感情や認知、行動と関連する脳の電気的活動や科学的活動のパターンを特定しようとしている。
脳科学者は脳機能撮影技術を用いて、脳の構造や感情を引き起こす過程を知ることができる。

前部島皮質(anterior insula cortex)の活動には自身の情動的反応や感情に関する処理が含まれている。そして、愛や怒り、恐れ、悲しみ、幸福、憤り、社会的疎外感、共感といった情動てkいな感覚を感じるときには、前帯状皮質anterior cingulate cortexが活性化する。
これらの神経活動の相関は、恒常性維持活動、環境的活動、快楽的活動、動機づけに伴う活動、社会的活動、人敵的活動を含む意識のモデルを構築するために使われてきた。

このモデルではある瞬間における個人のあらゆる官女のトータルな表現やそのような瞬間の積み重ねによって繰り返し感情が表出される。ここでは、ウェルビーイングの構成要素として、8つの高社会的ポジティブ感情(愛、希望、喜び、寛容、思いやり、信頼、畏敬、感謝)が頻繁に検出されている。共通するのは事故というよりも人のつながりから生じることである。
また、人間の生存にはネガティブ感情が必要であると認めている。

リチャードは介入を意図的にデザインすることで、向社会的行動やウェルビーイングを促進するとエビデンスを出した。脳の構造は、習慣的な訓練や認知療法、瞑想を景気に変化する場合があるという。逆に言えば、脳の構造変化を目的とした訓練や開発が可能であるということだ。

ウェルビーイングの決定因子には、他に性格特性と遺伝があることを特定したいと考えた。例えば、うつやウェルビーイングと関係があるで有名なセロトニンの伝達効率を決定する5-HTT遺伝子のプロモーター領域として知られる遺伝子配列影響が明らかになった。
対立遺伝子に1つでも短い型が含まれる人は大きなストレスに直面したとき、鬱になりやすいタイプに分類した。
しかし、遺伝や性格特性という、先天的に決定されていることが明らかな要素でさえ、変化することがある。
それの研究分野をエピゲネティクスという。

## ウェルビーイングを意識したデザイン ケーススタディ
難しかったので、たとえを出します。4つの理論的視点からデザインしてみます。
###1.快楽思考のデザイナー ドライブは至高のとき
このデザイナーはポジティブ感情を引き出す面の改善に専念するだろう。音をよくしたり、リコメンドシステムをつくったり、マッサージ機能をつけたりするかもしれない。
また、ネガティブ感情を突き止め取り除こうとするだろう。
また、ドライバーの長期的な幸福を生み出すことも。例えば渋滞のイライラを先に知らせるような方法がある。感情を読み取って長めのいい道を選択したりして、ドライバーの幸福感に基づいてルートを判断するだろう。

##SDT(自己決定理論)至高のデザイナー ドライブに必要なのはつながり、有能感、そしてコントロール
SDT志向の設計者は、ユーザーが自律感や有能感、他者とのつながりを感じられるかどうかに関心を寄せるだろう。
そのため、自分の体でうんてんしないことにより失われる自律感を、別の形でおぎなおうとするかもしれない。例えば、手動制御雨に切り替えられる機能、いくつのステップをモジュール形式で実行できる機能、さらにシステムに明確な支持を与えられる機能は必須であろう。ブレイン・コンピューター・インターフェイスと対麻痺者の車椅子の設計に関する研究で明らかになった。自律感を感じられるかどうか、ドライバーが車を制御する能力、車の振る舞いを承認する能力、思い通りの場所に行ける能力を感じられるかにかかっている。そして、最終的には繋がり感をサポートするために、ドライバーの知り合いや場合によって近くの車に乗っている人、すれ違った場所と、ちょっとしたコミュニケーションを取れる機能を盛り込むかもしれない。

### バリュー・センシティブ・デザイン志向のデザイナー 自分が幸あるべきと信じるドライブを
何の疑いもなく自動運転は使わないだろう。VSD志向であれば車の愛好家とデザイナー双方に関連のある、明確な注目スべき価値で成形を立てている人の暮らしにとて驚異になる。プライバシー面でVSDデザイナーはGPSの匿名化、暗号化、カスタマイズ方法を追加しようとするかもしれない。バリューに根ざした仕事は必然的にウェルビーイングの仕事に関わってくるもである

### 生物学的ウェルビーイング志向のデザイナー 体によいドライブを
体の健康と心理的ウェルビーイングとの関係性に気づいているデザインはユーザーが社内で座って過ごす膨大な時間をもっと有効に使おうとするかもしれない例えば、トレーニング装置を座席に組み込んでみたり、効率的に退職を回復させる仮眠カプセルを装備してみたり、ユーザーに自分の足で歩かせるためにあえて、数ブロック離れた駐車場に止まるようなプログラムを組むかもしれない。

本章では、人間がいきいきと能力発揮して生きていくための科学の新しい研究分野を取り上げ、それらを総合的に扱うよう努めてきた。また、多様なウェルビーイングの理論が、どのようにデザインの意思決定やテクノロジーの生み出す価値を変化させるのかを明らかにした。

# 11章 警告、考慮すべきこと、そしてその先にあるもの

テクノロジーに一般の人が抱く問題、人間性にまで過度に侵食している、自然との関わりを失っている、直接近くすることから遠ざかっている。これらは実際SNSによって注意を奪われており、メディアに投稿されないことについて注意を払わなくなったり、自省や深い思考をすることを忘れていく

しかし、ときが立つにつれ有害ならばそれを証明し、テクノロジーをどうデザインしていくか、どう使うかに気にするものであると気づいた。
調べる中で、教育を通して人生を救うテクノロジーやロールプレイングを通して共感を生む、想像の新たな形を提供したり、ものづくりの意味付けをしたり、不安を抑制、うつの軽減、そして、これまでできなかった深いつながりや没頭や意味付けなどのポジティブな変化を起こすことができる。

このような例が、テクノロジーは答えではないと同時に問題でもないと気づかせた。

つまり、テクノロジーをデザインして、消費する人間の手にかかっているのだ。

前提としてある「テクノロジーがあらゆるところに偏在し、普及することが不可欠で望ましい」と思考停止してしまう。広範囲であればいいという問題ではない。

すべてのものにデジタルテクノロジーを追加するべき転換点はあるのだろうか。コストを上回る効用があり、そのコストを図れるのか。

私達、技術者はテクノロジーを追加していくことは常に日常生活を良くするとは限らないし、何かをより良くするための答えが常にテクノロジーであるとも限らないというラディカルな考えを学ばないといけない。

最後に謙虚でバランスの取れたテクノロジーの発展のためのアプローチを提案する。

## 人間この複雑で矛盾した生き物
人間は、
a. とてつもなく複雑で、変わりやすく、多種多様な人間の現実、その心とwell-being
b. 設計者や開発者が、一般化されたモデルや扱いやすい目標、そして抽象的な概念の具体的な解決への転換を追求すること
の2つの間には緊張状態がある。
人間は複雑なのである。

また、テクノロジーがうまく機能するかや、誰をターゲットにするのが最も有効かといった問題に、長期的な評価と複数の尺度を組み合わせる必要がある。

## プライバシーとセキュリティ
FacebookやGoogleは無料で使える代わりにデータをとっている。自由のフリーではなく、無料のフリーだ。収集されたデータはマーケティングに使わる。広告とはある行動をとったり、何かを買うことを私達に納得させるために、私達の考え方や感じ方を利用するものである。収集されたデータは、私達の健康やとみ、もしくは心理的ウェルビーイングを改善するような兆しがわずかでも見出されたら、それを煽り立てるべく利用される。行動を無意識に引き起こされる危険性がある。
ここで言いたいのは、ポジティブコンピューティングはプライバシーをさらに侵害するための言い訳として使われるべきでないということである。同時にデータを用いるだけで多くの可能性があることもある。
ソフトウェアには透明性が担保され、自立性、没頭をサポートするために努力していかないといけない。

## コントロールするのは誰か 自立性、有能感、エンパワーメント
テクノロジーによる解除は、私達の自立性をサポートするともに弱らせることの両方を持つ。
例えば、慢性疾患のある若者の自立支援のアプリで、薬剤の使用記録をしたり、介護者として治療に関することを管理してくれる。短期的には効果があるが、自立性を育んで支援するという本質的な問題には取り組めていない。子供もおとなになるべきときがやってくる。

対照的にセルフケア行動にその目標や価値を伴わせたり、自信の意思決定によってどんな影響が生じるかということを可視化したり、実用的なサポートを徐々に減らしていったりするという方法論がある。

自立性がウェルビーイングにとって1つの重要な要素であり、SDTの書くとあるものであり、文化によらず有効なため、全てのテクノロジーに組み込まれるべきである。

VSDに関する論文の中に、ユーザーが適切なタイミングで物事を行えるときは、自律性がまもられている。同時にユーザーの自立性を促進もしくは阻害する可能性のあるシステムの特徴を特定した。20年に発表されたものだが、自立性の重要さがないがしろにされている。
また、技術的に問題を解決しようとしたり、タスクを単純化しようとしたり、単独のニーズを犠牲にして意図せぬ挙動を誘発しているかもしれない。

ロジャーズとマースディンは、ユーザー自身が自律的に解決策を作り出せる様になるための教育やツールをデザインすることにもっと努力すべきというものだ。

## コントロールするのは誰か 動機、権力、パターナリズム
何をテクノロジーに入れるか、は常にそこから生み出される利益や個人的視点、文化的視点によって形成される。そのため、設計者は自身の動機に対して素直であるべきだ。また動機に意識を向ける練習をしなければいけない。

アメリカ政府の陰謀には敏感だが、開発者の価値観については疑問視してない。シリコンバレーにいる比較的裕福なアメリカ人が自分の文化的で社会経済的な文脈や価値観に基づいて作って販売しているという事実がある。

つまり、自分で作った前提や持ち込んだバイアス、更に多くの個人的経験や限定的な検証実験に基づいて意思決定を下しているという事実を意識しなければいけない。
幸いにもVSDの研究で設計者やユーザーに自らの価値を明確にさせるための方法を開発している。https://academic.oup.com/eurheartj/article/31/23/2915/2398053

# バランスと中庸
リチャード・デビッドソンの提唱する emotion style のフレームワークは過剰なWellbeingに対処している。https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0191886912003029

このフレームワークは神経生理学的に区別される6つの両極尺度を含んでいる。これらの特性が過剰な状態になるとネガティブな結果を引き起こしうる。
ここから導ける技術者に対する最も重要なメッセージは「寛容な節度 generous moderation」
さらにいえば、注意深い無節操 cautious indulgenceという概念だろう。
有害になるレベルまで思いやりの気持ちをマスト言うのは難しいだろうが、確かに共感を高めすぎると気づかないうちに苦痛が強まってしまうことはありうる。
ポジティブがネガティブに変わる臨界点がどこになるのかを今研究してる。

 - 介入法の長期的な効果を観察すること
 - ユーザーの行動のフィードバックと変化を評価し、介入方法を適応させる反復プロセスを採用すること
 - ある要因を支援するときに、別の要因を高めることでバランスをうしなわないようにする鳳凰を考えること。例えば、心理研究からだと、思いやりのように他者に意識を向ける要因を高め用とすることは自己へのきづきといった自分に意識を向ける要因によってバランスが取れそうだし、ネガティブ感情にたいしてマインドフルであることはポジティブ感情を高めるためのバランスを取ってくれそうだ。

# well-beingのエコロジー 全体論的視野を取り入れる
製品のバリューサイクルと周囲に与える影響について考慮すべき。このときwell-beingに関連する異なるレベルの取り組みをつなげようとする、他分野横断的プロジェクトを構想することができる。例えば、モバイルなら、ポジティブコンピューティングの設計手法や持続可能な産業デザインアプローチとしてのVSDを、開発のためのHCIと統合できるかもしれない。これは、コンピューティングのサプライチェーンの現場で奴隷のような状態にある労働者を開放するという考えでもある。

# その先にあるもの
昨今、人はDisruptionについて語り合っている。つまりある事業が社会にインパクトを与えたことを示す。また、儲かる商品という意味もあり人々を引きつける。しかし、ポジティブコンピューティングにおける成功を意味するような仕事はそうではない。
短くない時間とともに、目立たずに音もなく修復を行うような、根強い情熱に支えられる仕事の結果として、徐々に現れる。それは、わたしたちの経験の形をゆっくりを変え、ユーザー画素の存在を忘れるまで問題を消滅させていき、人々がお互いに思いやり、注意をはらい、つながるためのきかいを、あたかも最初からそこに存在していたかのように付け加えていくような仕事である。

しかし、活動には資金が必要である。アカデミックは信頼性があり基礎研究ができるが計画を遵守しないといけない。民間は6ヶ月ほどで結果を出さないといけないためポジティブコンピューティングには厳しい。また、利益優先のリスクも有る。政府のもとでやるのもあるが政府資金や非営利に制限される。
そこで、社会的企業があげられる。
社会的企業とはノーベル平和賞をとったムハマド・ユヌスによって、「社会的企業とは、社会問題を解決するために作られた無配当企業のことであり、NGOでもありビジネスでもある。自身の収益をそのコストを埋めるために用いる。全ての余剰利益が同一もしくは他の社会事業に再投資される」
https://socialenterprise.us/

現段階でも900の会社がSocial enterprise alliance に加入しており、国をまたぎ、社会問題に取り組み生活や環境を改善し、利益をビジネスが地元に再投資する。それを監視する認証機関もある。https://www.socialenterprisemark.org.uk/
NPOやビジネス、政府系との軋轢から開放され、非営利のコミュニティ駆動形アプローチを応用しつつも商業ビジネスの潜在的な俊敏さと自立性を併せ持っている。利害やバイアスから完全に自由な事業など存在しないが、10年後に結果が出るのかもしれない。

# well-beingの恩恵
効果は無数にあるが、例えば、幸福度は免疫システムを強化するというエビデンスがある。逆にストレスは病気にかかる可能性を上げる。予防的ヘルスケアでもある。
また、就学時の心理的抵抗力・回復力を発達させると、彼らのwell-beingを向上させるだけでなく、学業の成績を改善することもできる。
同様に、労働者はwell-beingによって創造性と自由な思考を増やすという研究に関連する。
犯罪や薬物乱用のような社会課題にも繋がるメンタルヘルスの危機を防ぐことも可能であり、多くの開祖の人に可能性を与えるだろう。

# ポジティブコンピューティングプロジェクト
発展させるには科学における基礎的知見と実現可能な最良の専門的実践モデルが必要
![image.png](https://qiita-image-store.s3.amazonaws.com/0/188565/e672c2af-fed3-51a1-9336-d685b763aedf.png)

研究は数年かかることを見越す必要がある。
仕事では数ヶ月で動くが、本来はもっと長期ひつようである。そこで、新しく評価方法が必要になるだろう。研究と実践の領域で突破口を探さないといけない。
複数の分野の研究をサイトで紹介している
http://www.positivecomputing.org/

## さいごに
人間の特徴の1つとして、ひたすら世界を形成し直し、設計し直そうとする性質があげられる。この驚異的な想像力によって、良い結果とそうでない結果を作ってきた。ポジティブコンピューティングに対する関心の高まりは私達が人類として持ち得る影響力は結局の所、長期的に物事を改善できるほど社会的に賢いものでも洞察に満ちたものでもない、という共通の見解が広まりつつあることを反映しているように見える。むしろ、私達はお金と幸せを混同するし、良くすることと大きくすることを混同する。そして、大きな高層、より広いコミュニティ、そして地球環境そのものを軽視してきた。結果として、持続可能な幸せを最適化し、災害や苦痛を最小化して、そして惑星そのものの持続可能なwell-beingの原理を探る必要があると認めているようだ。その努力の上にテクノロジーの未来がかかっている。

不安やうつのような苦痛に加えて、暴力や残酷さといったものがイルビーイングから生まれると言う考え方は、ウェルビーイングの研究が人間に聞いするあらゆる社会問題の解決のために必要不可欠であり、同じ方向性を目指す研究を後押しするだろう。

私達はテクノロジーを介してウェルビーイングに注意を向けることで、あらゆる場所の息とし行けるものの平穏と幸福を願うという意思をささやかながらも広げていくことができるのである。こうして、世界を変える人間としてのあり方そのものを1つ1つ改善していくのである。

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