読者による文学賞を経験して、流水のこれからの読書について、ちょっとしたことを書かせてください

まだ最終選考のための期間中ですが、最終選考の結果が発表される前に、自分がこの文学賞に関われたことについて、少し語ってみようかな、と思います。
別に何か深いことを書こうというわけではなく、この文学賞に関われたことで、自分の中で何かが変わったような気がしているので、そんなことをつらつらと書きなぐってみようと思ってます。

まずは、この文学賞を本気で企画してくれた「まつさん(@matsu1884)」に感謝ですね。

昔から、それこそ子供の頃から本を読むことは好きでしたが、本を読んだ後にこみあげる気持ち、読後の感想や喜怒哀楽の感情を表に出すことは無く、それは人生も半ばを過ぎたこの年齢まで変わってないように思えます。
もちろん、それは私の内面的な変化を生ずることがなかったことが原因であるとは理解しています。
10年前くらいでしょうか。「ビブリオバトル」という聞きなれない催しがあちこちの都市で開催されるようになりました。もちろん、今では多くの本好きの方がこのようなイベントの存在を知っているとは思いますが、当時の私には新鮮に映り、独語の感想や誰かに読んでほしい!という欲求に対し、あのような表現方法で多くの方に届けることができるとは。
ただし、この文章を読んでくれている方ならわかるように、私は文章を組み立てたり、人に訴えかけるような、心を揺さぶるような、そんな文章が書けるわけでもありません。
ビブリオバトルで新しい読書の世界に飛び込めるチャンスはあったのですが、またしても踏み込むことはできませんでした。

そして、Twitterで気になる書き込みを見ることになります。

「読者による文学賞」

ありそうでなかった文学賞に関するツイート。
本に関する賞レースは、有名なものからあまり知られていないものまで、多くの賞が存在します。
その多くは、出版に関わる方、編集者だったり小説家だったり、知識人といった文化人に属するような方々が、多くの作品の中から受賞に該当する作品を選んでいます。
ただ、まつさんも同様のことを言っていましたが、私も長く感じていたことがありました。

これ、本当に読んで決めているのかな?

その賞に該当する本がどのくらい存在していて、最終選考にはどのような過程を経て選ばれたのか。これ、賞レースに関しては大事なことだと思うのですが、あまり公開されていないと思うのです。
比較的新しい知名度のある「本屋大賞」は、書店員の投票による選考ということもあり、そのあたりはクリアになっているのが特徴なのでしょうが、投票できるのは書店員の方です。
読者は、与えられた作品を読んで楽しみ、選ばれた作品に一喜一憂する。
あれ?読者は読むだけ?読者が選べる賞ってないのかな?
そんなモヤモヤした考えを、読者による文学賞という形で提示してくれたのがまつさんでした。
2019年に発行された小説から、自分が一番読んでほしい作品を1冊だけ推薦し、推薦された作品を二次選考者が読み、「読んだ作品の全てのレビューを公開」し、最終選考に進む作品を選び出す。その最終選考に推薦する理由でさえも公開する。
なかなかの衝撃でした。
現在大詰めであろう最終選考についても、当初の予定では映像として記録を残し、それさえも公開するという、透明性が確保された文学賞でした。この最終選考については、コロナウイルスの影響もあり、当初の予定とは変わってきている部分もありますが、根底にある考えというのはこのようなものでした。

これ、共感してしまったのです。
ツイートを見たときに参加したくて参加したくて。ただし、私は東北民です。最終選考が東京で行われるとなると簡単に参加できるものでもありません。
そこで、家にいながら文学賞に参加できるように二次選考員として参加をさせていただきました。
ちなみに、私が参加した二次選考員、現在行われている最終選考員でさえも、私のような一般の読者から参加を募っています。
作品を推薦するのが読者なら、作品をレビューするのも読者。

読者による文学賞は、2019年対象分が第一回です。
これからの賞です。今回、Twitterを中心に選考者が拡散を行い、まつさんもHPを作成したりとできる限りの努力はしてみたのですが、どのくらい浸透したのかはわかりません。
結果的には70を超える作品が推薦されました。
この数字をどう見るか。
私は良かったと思ってます。結果的に、という話になりますが、二次選考員が7人だったので、一人10作品を受け持つことで、推薦された全ての作品を読み、レビューをすることができました。
ただし、次回はこの推薦作品数がネックになる可能性は高いです。
仮に次回も二次選考員は7人だったとします。おかげさまでこの文学賞が浸透し、前回の3倍近い200作品の推薦を得たとします。全部読むとなると、限られた期間で二次選考員は30冊近い作品を読み、全てにレビューを書くことになってしまいます。さすがに無理だ。。。
この選考に至る過程は、他の文学賞でも公にはなりにくい部分ですので、次回の宿題として残るのでしょうね。とはいえ、次回があるならまた私も参加したいので、自分でも色々考えなくちゃ。

この文学賞を経て自分が大きく変わったことといえば、読んだ作品全てに対してレビューを書くようになったことですね。これまでどのくらいの本が出版されたかわかりませんが、数多くの作品の中から自分で選んだ本です。楽しかった、面白かった、悲しかった、切なかった、どんな感情でも自分で選んだ本の感想なので、それを世間に向けて発信して、できたら同じ作品を読んだ方から「私はこう思った」「共感できる」といった、同じ作品を読んだ同士だからこその会話を、このような形でやりとりをしてみたいのです。
だからこそ、あまり他の方が避けている「ネタバレ」も含んだ内容を書いたりしています。もちろん、見たくない人の目に入らないように、ネタバレを書く前に必ず「これからネタバレを書きます」と断ることはしています。ですが、映画でもアニメでも漫画でも、読んだ内容を吐き出さないと楽しかった想いとか気持ちは伝わらないと思っているのです。
その結果が、このnoteを使わせてもらって、レビューを書いてみるということになりました。
どのくらいの方に見てもらえるかはわかりません。
大した文章でもないので、リアクションは全くないことも十分ありえます。
ただ、読者による文学賞が、読書の楽しさを再認識させてくれて、レビューを書くことで少なからず反応をいただいたりもして、拙いながらも文章を書く楽しさにも徐々に目覚めています。

そんなわけで、どんなお言葉でも反響があると読書とレビュー書きに一層力が入るってもんです。
私の書くレビューを読んだ方が、その時間を楽しいものと感じてもらえると嬉しいです。
これからも、流水のレビューを読みに来てくださいね。

サポートを頂けるような記事ではありませんが、もし、仮に、頂けるのであれば、新しい本を購入し、全力で感想文を書くので、よろしければ…