見出し画像

1年半で1記事単価が1,500円から50,000円になったライター業と、卒業に向けての雑感

卒業も間近に控え、春が目の前で足踏みしている今日このごろ。遅く来た花粉症、鼻づまりでご飯の味がしません。辛いです。

タイトルですが、大学生活をぱらぱらと振り返ってみたくなった大学生の日記ですのであしからず。あと長いです。

私の大学生活はずーっと「メディア」に関わり続けた4年間でした。意識が高すぎて結果的にぽきっと折れてしまった学生団体時代は広報でサイト運営に関わり、その後は各ウェブメディアやファッション誌・ライフスタイル誌の編集やライティングなど。幼少期から本が大好きだったことも起因しているのか、とにかくその領域から離れなかったのが不思議です。

どこにも書いたことがないのに「ライター」という嘘っぱち肩書の入った名刺を作ったのが1年半とちょっと前のこと。anan編集部のアルバイトの先輩でもあり、ライターの先輩でもある女性から「ライターになりたいのなら、自分からライターですって言うことが大事だよ」というアドバイスを頂き急遽作ったのですが、今考えればこの言葉から私のライター生活が始まった気がします。またこれを機に、「本当のことを、自信をもって話す」ことの塩梅を覚えました。盛り過ぎちゃダメだけど、程よい盛りは大事だし必要。

「ライターなんて名乗ったもん勝ち、そこからいかにすごいと思ってもらえるかが大事。当然ライティングの能力も大事だけど、そんなの仕事受けてから120%で頑張ればいい。」そんな風に思いながら人づてに案件を頂き、色々書いてきました。

アルバイトのように時給ではなく案件単位でお金を頂き始めた1年半前は、1記事1500円からのスタートでした。フリーランスライターの記事単価などはしばしば議論のトピックに挙がりますが、1500円はフリーライターとしてはおそらく底値くらいだろうなと思います。ライターの端っこもいいとこですが、そんな時でも図太い神経で「ライターです。ウェブメディアで書いてます。」と人と会う度に自己紹介してました。今思えばめっちゃ怪しいし信用できない… 無知とは怖いもので、当時は現在ウェブメディアの第一線で活躍している方々とあたかも同列にいるような口調で色々話してました。ほんとすいません。

で、そこから半年くらいは1500円〜2500円で書いていたのですが、ある日知り合いの先輩ライターさんから雑誌の執筆依頼が降ってきました。超有名男性ファッション誌です。ページ単価は今までの10倍以上。ただし、男性ファッション誌でしたがファッションページではなく「会いにいける美女特集」というもの。東京のカフェやショップなどで働いている美女にひたすら声をかけてインタビューした後撮影をするというものでした。美女のナンパ(?)やお店へのアポ取りから始まり、レイアウト作成から校正、修正、先方確認、修正、入稿、校了かとおもいきやお店からの修正、再入稿… 雑誌って大変… 慣れない初心者を扱うのはさぞ面倒くさかったと思うのですが、丁寧にご指導してくださった先輩ライターさんには頭が上がりません。

この時点で記事単価は大体15,000円〜25,000円くらい。一度紙媒体で書いた経験があると、駆け出しライターの私としてはブースターを手に入れたような、ランクを1つ上げられた気がしました。(もちろん紙で書いたことがないからダメと言いたいのではありません。) やはり紙媒体は敷居が高い分、一度その敷居をまたげれば新しい景色が見えてくるものだなあと。また同時に、一度上った壁の向こうの世界に居続けることはさらに難しいことだなあと実感しました。学生の片手間小遣い稼ぎ程度で、継続して案件を頂けるほど生ぬるい世界ではなかったです、やっぱり。

それでもその後何度か色々な雑誌で書かせていただいているうちに、平行してウェブの方でも徐々に単価は上がっていきました。半年前は1,500円で書いていた自分の単価が10,000円になり、20,000円になり、1年後には50,000円に。このペースが早いのか遅いのかは分かりませんが、「え、こんなに貰っていいの…?」というドキドキとプレッシャーに挟まれながらお仕事の幅が広がったり、単価が上がったりする度にスリリングな高揚感に包まれていました。

途中大分省略しましたが、ライターと名乗り始めてからずっとやってきたことは変わっていません。良いお仕事はどこから入ってくるか分かりませんから、仲の良い友人でも初対面の大人でも「本当のことを自信をもって話す」こと。そこに多少の誇張があったとしても自分の良心に従った上で間違いなく本当のことであれば問題ないと思うし、仕事や様々な人付き合いをする上でも大事なことです。ライターなのに話すこと、というのはなかなか皮肉ですけどね。

「根拠の無い自信」は諸刃の剣だとは思うけど、私はその「根拠の無い自信」のおかげで憧れのアーティストにインタビューすることが出来たし、普通に生活していたら会えないような素晴らしい人達に多く会うこともできました。

最近は就活生の後輩に相談されると、必ず「根拠の無い自信をもつこと」「本当のことを自信をもって話すこと」が大事だと偉そうに話しています。仕事のスキルなんてその仕事を受けたあと、その職業に就いたあとに頑張って付けていけばいい。その仕事・職業に就きたいのであればまずは入口を通過する必要があるし、その後様々なチャンスが目の前に現れたときにもその自信は絶対武器になると確信しています。

大学4年間、ライターを中心に様々な経験をしましたが私がそこで学んだ最も大きなことはライティングスキルではなく、「根拠の無い自信」を「事実」に変えていく作業の難しさと重要性なのかもしれません。

4月から会社で働き始めるにあたって、私は「根拠の無い自信」を「事実」に変えていく作業をしていきます。これまでも、先方の期待を超えられず単発で終わってしまったことは何度もありました。その度に自分に対するどうしようもない憤りと腹の底からふつふつ湧き出てくるような悔しさを味わってきました。その時の悔しさを忘れずに、元気に、健康に、がしがし働こうと思います。


最後に、友人の「ANIMAL HACK」を貼って終わります。先日サカナクションの山口さんからも高評価を得た超絶期待のユニットです。めちゃいいので、ぜひ。

ANIMAL HACK

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?