柊龍士郎

1983年東京生まれ。言論の自由、バカなことを言う自由を擁護したい。

柊龍士郎

1983年東京生まれ。言論の自由、バカなことを言う自由を擁護したい。

最近の記事

全裸中年男性、菊の花にウンコをかける

 ある日、全裸中年男性がいつものように自宅の屋根の上で裸踊りの練習をしていると、下から息子の呼ぶ声が聞こえた。 「おばあちゃんに怒られた。弾の出るピストルを人に向けちゃ駄目だって。おじいちゃんとお父さんに報告して叱ってもらいなさいって。」 「そうか。俺はいい。あと、おじいちゃんにはこのあと貴様が育てていた菊の花にウンコをかけるから許してねってその分も謝っておいてくれ」  全裸中年男性はそう言うと屋根の上で裸踊りの練習を再開した。  全裸中年男性の息子は祖父の部屋に入る

    • 【怪談】猫とレモンティー

       その猫は「人間の死」に興味を持っていた。  仔猫だったころ、飼い主の祖母が死んだ。老いて弱っていたとはいえ、朝食中に突然倒れ、家のなかは大騒ぎになった。  テレビのニュースは外国で戦車が街のなかを走っている様子を写し出していたが、普段はそれを食い入るように見つめている飼い主のお父さんも、それどころではなくなっていた。  猫はおばあちゃんが横たわる和室には入ることができなかった。  人間があんなに慌ただしく動くのは、どんな騒ぎなのだろう。猫は興味を持ったが、おばあちゃ

      • 全裸中年男性、ちょんまげに遭遇する

         全裸中年男性が住宅街を歩いていると、背後から声がした。 「ダディ、会いたかったよ」  全裸中年男性が後ろを向くと、そこにはどう見ても全裸中年男性よりも年長の男が立っていた。  男はペニスケース以外に服は着ていなかったが、全身にド派手なボディペイントをしていた。その一部は本物のタトゥーだった。髪型はちょんまげで、尻にはニワトリの尾のようなものがついていた。 「お前、誰だよ」 「ダディ。動画配信で言ってたじゃないか『朕は日本のよいこすべての父親であり汝ら臣民は赤子であ

        • 全裸中年男性、明治維新を断行する

           歴史には隠蔽された闇が多々あるとは言え、これほど大がかりなものはない。その全貌を記しておく必要がある。  全裸中年男性はそう言うとペンを舐めてデタラメを書き始めた。  曰く。明治維新のなか、宮中を騒がせた事件があった。それは衣冠束帯から洋装への移行である。本邦の伝統か外国文化を受け入れるかという問題は公家のあいだで大論争となった。この問題は明治天皇の判断を仰ぐこととなった。  明治天皇はこう言った。 「あの男たちに任せよ」  東京帝国大学に入学を許されたのはすべて

          現代版『独裁者』

           ある床屋は店主のヘイトスピーチで有名だった。新大久保を犯罪者の巣窟と言ったりアメリカはゴリラの国と言ったりで、10人の客がいたら9人は逃げ出したが、その強烈なトークは根強いファンを集めた。  ある日、床屋の店主がテレビを見ているとデモをしていたネトウヨの逮捕を伝えるニュースが流れてきた。  テレビが流すネトウヨのヘイトスピーチはそのまんま床屋の店主の丸パクりだった。床屋の店主はキレた。デモをやったことにキレたのではない、丸パクりしたことにキレたのである。  やがてひと

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          神獣ヤマタノワロチの話

           全裸中年男性たぬき学博士の最後の講義が公開された。講義の題は『謀略の心構え』 「みなさん。謀略というのはどういうものだと思いますか。 私が思うに、謀略というのはその内容について歴史ではなく現実を見るべきものです。 歴史のある場面で役に立った作戦が、現代でも役に立つわけではない。そうした意味において諸葛孔明を崇めるのはクルクルパーです。謀略とは、あくまでも現実に即したものでなければならない。 では、その心構えはどうでしょうか。私はずっとそれが分からなかったが、最近にな

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          全裸中年男性、核戦争を起こす

           東京、新宿のあるバーはCIA工作員や外交官、そして殺し屋のたまり場になっていた。  そこにある全裸中年男性がさっそうと入ってきた。  ビジネスの啓発書を読むのが好きなその全裸中年男性はつねづね言っていた。 「人脈づくりのコツはとりあえず何回も通うこと。サイコロを振って入った店でよほどまずい料理がでてこなければ1ヶ月に3回行く。これで常連のふりができる」  そのバーではすっかり常連となっていた全裸中年男性だが、誰の素性も知らなかった。CIA工作員や外交官の隠語など知ら

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          全裸中年男性、外国人労働者と交流する

          「このあたりもだいぶ外国人が増えてきたね。日本も変わっていくんだろう」  全裸中年男性は街を散歩しながらひとりでつぶやいた。その声は誰にも聞こえなかったが、全裸中年男性はつぶやきつづけた。 「外国人労働者向けの商売でもやるか。ソシャゲでカネを巻き上げるとかナウい商売だが、そんなものを作る技術はない。うーむ。」  しばらく考えた全裸中年男性は紙とペンを取り出し200億円の借用書を作成した。手書きで書かれた借用書の支払日は約300年後の2312年9月3日。ドラえもん200歳

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          全裸中年男性、本を買いに行く

           全裸中年男性は文学青年に連れられて書店にやってきた。全裸中年男性は周りから陰茎が見えなくなる妖術を使って店内を歩いた。 「どんなの読みたいですか?」 「『クレヨンしんちゃん』かな。象の鼻を陰茎に見立てたのは実に良かった」 「じゃあこれなんかどうです?」  そう言って文学青年はライトノベルコーナーから一冊の本を取り出した。本の裏表紙にはあらすじが書いてあった。 《崖から落ちて死んだ皇帝のあとを継いだシン。民衆は「シン様」と呼び歓声をあげるが、その人気に嫉妬したマロニ

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          全裸中年男性、父と死闘を繰り広げる

          「お前、そこへ直れ」  今年で80歳を迎えたある全裸中年男性の父は、日本刀のある和室で全裸中年男性に対峙した。 「お前、いつまで全裸で街をうろつく気だ。母さんだって心配して……」 「うるせえクソ親父。なにかと言えば母さんを心配させるな、母さんを心配させるなと言いやがって。母さんの尻に敷かれすぎなんだよ。全裸は部族の誇り。やめるわけにはいかない。」 「な、なんだと。何が部族の誇りだ。お前は私の息子だあああああああ。そんな部族はおらんわあああああああ。 どうやら私の愛が

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          全裸中年男性、ユーチューバーと抗争する

           全裸中年男性の動画配信はマニアに評判を呼んだ。ポテトチップスを食べながら雑誌を読み、これは駄作、あれは糞などと言うだけだったが、全裸でやるというだけで逮捕上等のパフォーマンスとして客が集まった。  これを見たあるババアは烈火のごとく怒り、全裸中年男性の殺害を決意した。かつてPTA過激派「家族会」に所属したババアは、政治家からヤクザにまで声をかけて全裸中年男性潰しを画策した。 「あの男『服装の乱れは心の乱れ』という私たちの組織の教義をコケにしているザマス。なんとしてでもあ

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          全裸中年男性、息子にカレーをふるまう

           多数の全裸中年男性が独身で死んでいくなか、ある全裸中年男性は子にめぐまれた。  ここに一枚の家族写真がある。スーツ姿の祖父、全裸中年男性、そしてサッカーのユニフォームにボールを持った少年が写っている。  写真は少年の誕生日を記念して撮影したものだが、事情を知らない者が見ると、ただひとり全裸で陰茎を露出している全裸中年男性が主役に見えてしまう。  少年の小学校の卒業式を前にしたある日、全裸中年男性は少年の卒業文集を読んでいた。全裸中年男性は少年に言った。 「お前の文集

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          全裸中年男性、皇居に侵入する

          「君を男と見込んで我々のメッセージを持っていって欲しい」  これまで数々のテロを起こしてきた極右団体「食べて応援!日本フレフレ会」の総裁は全裸中年男性に一通の手紙を渡した。 「これを皇居の長和殿の前に置いてきてほしい。我々が皇居のなかに侵入しようとすれば大変な騒ぎになるが、全裸の君なら逮捕されても奇行で終わる」 「で、謝礼は?」 「2億円だ。逮捕されずに無事に帰ってきたら渡そう」  むろん総裁は全裸中年男性に1円も払うつもりはなかった。長和殿の前に手紙を置かせた直後

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          全裸中年男性、小学生と礼儀を学ぶ

           駒場文蔵の活動は幅広く、マナー講師の肩書きも持つ。  この日は小学生の前で講義を始めた。 「お辞儀には15度、30度、45度などがあると言いますが、こんなのはそのへんのヤクザでも知っています。本当は1度ごとに『キチガイ』『天才』『死ね』『好きよ』など意味が正反対になります。またお辞儀の際に手の位置を1cm変えることでも意味が正反対に変わります。これに髪の長さ0.1 mmごとの違いが組み合わされます。」  そう言うと駒場文蔵は小学生にタブレットのPDFファイルを開くよう

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          馬になった全裸中年男性

           ある全裸中年男性は気づいた。動物は全裸でも逮捕されない。私は人間だから全裸になると嫌われそして逮捕されるのだ。犬や猫になれば陰茎を出し放題。いや、犬や猫は去勢されるか。  なるならド派手な色の鳥になろう。  全裸中年男性は妖術を研究し始めた。妖術を記した書物には《道路を走りながら両手を水平にしてブーンと叫ぶと鳥になる》と書かれていた。書物の最初の頁に《この本はフィクションです》と書かれているのを全裸中年男性は見落としていた。  全裸中年男性は高速道路を全力疾走した。全

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          全裸中年男性、自宅を核爆発させる

           ある全裸中年男性の実家はキリスト教徒を自称していた。全裸中年男性の母親は80歳の老婆になるまでいちども教会に行ったことがなかったが、躾と称して息子の頭を聖書の角で殴るのが趣味だった。  教会に行ったことのない老婆は全裸がキリスト教の本来の姿であると勘違いしていたため、全裸中年男性を咎めなかったが、外には出るなと厳命していた。  全裸中年男性はやることもなく部屋でポテトチップスを食べたり雑誌を読んだりして暮らしていたが、あるときからパソコンに熱中するようになった。そして全

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