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1209環境 当時の環境の解説

初めに

 お久しぶりです。今度熱波亭が開催されるということから1209環境にスポットが浴び始めています。
 かくいう私も当時最前線で遊んでいた環境なのですが如何せん10年以上前の環境であり、当時の文献も減っていることからこれから遊ぼうかなと考えている方に向けて、当時どんな環境の変化をしていったのか、プレイで気を付けるべきことなど、覚えている範囲でまとめようと思います。
 なるべく分かりやすいようにまとめますので最後までよろしくお願い致します。

環境デッキの推移

 では初めに環境の振り返りです。
 当時どんなデッキが流行り、メタゲームが形成されていったかについてです。

 水精鱗とガジェットの流行

 直前の1203で一強環境を築いた【甲虫装機】、その環境の二番手である【聖刻】の両方の規制からスタートします。
 【アライブHERO】も『ヒーローアライブ』と『E-エマージェンシー・コール』の準制限により多少の安定感は落としましたが依然強いデッキとして続投しています。
 結果として二大デッキである【甲虫装機】と【聖刻】よって押さえつけられ静かに息を潜めていた【水精鱗】と【ガジェット】の環境トップからスタートしています。
 【水精鱗】は強力なシナジーを放っていたシンクロモンスター『氷結界の龍ブリューナク』の禁止化により☆6シンクロの択が狭まり若干の弱体化をされているように見えますが、こんなものは誤差の範囲であり、環境初期からその圧倒的なパワーで暴れていました。

 【ガジェット】も長年のフィニッシュカード『血の代償』の規制により多少の打撃を受けていましたが、機械族の☆4であり、手札から☆4モンスターを展開する『ブリキンギョ』からガジェットを出してそのままランク4の『ギアギガントX』を出し再び『ブリキンギョ』をサーチという鉄板の流れにより安定した動きを形成し『血の代償』の制限化をものともしない安定感により環境トップに立ちました。
 このリソース確保を行いつつ高速エクシーズ召喚という流れと噛み合いを見せた『二重召喚』が入っているのもこの頃の話です。

 EXTRA PACK2012登場

 そして環境が始まってすぐに海外からの刺客が来日します。
 『魔界発現世行きデスガイド』『ゼンマイ・シャーク』の登場です。
 この2枚の登場により【暗黒界】と【ゼンマイ】が当時環境の最前線を走る【水精鱗】と【ガジェット】を止めるべく隆盛していきます。
 【暗黒界】は『魔界発現世行きデスガイド』の登場により『暗黒界の門』のコストにした暗黒界モンスターを『虚空海竜リヴァイエール』で特殊召喚し、絶対的なエース『暗黒界の龍神グラファ』による高打点ビートダウンの安定化に成功。そして対ガジェットと対水精鱗メタとして『魔のデッキ破壊ウイルス』を使ったメタビート戦術が流行りました。

 それと同時にコンボデッキである【ゼンマイ】も『発条空母ゼンマイティ』の規制等がありましたが、『ゼンマイ・シャーク』の登場により安定感を獲得、さらにランク3〜5を使い分けて戦う幅広い戦術が可能になったことで急速に環境使用率を伸ばしていきました。

 新弾登場、4軸炎星環境入りへ

 11月中旬、新弾によりカテゴリー化された【炎星】がその安定感と高速ビートダウンを武器に一気に環境入りを果たしました。
 特に『暗炎星-ユウシ』はこの頃の環境で見ても明らかなパワーカードであり、その除去性能の高さ、攻撃を通したら『炎舞-天キ』のセットによるリソース確保能力は他のデッキにはない強みでした。とはいえこの頃はまだ本気ではなかったので圧倒的な環境トップというわけではありませんでした。

 ヴェルズの大流行

 11月下旬、衝撃の新カードによりその環境が再び一変しました。
 『ヴェルズ・ケルキオン』『セイクリッド・ソンブレス』の登場です。
 この2枚効果がほぼ一緒であり、違いは『ヴェルズ』か『セイクリッド』かというカテゴリーの差だけです。この1枚でエクシーズ召喚まで行える返し用のカードの登場により安定感が高まった【ヴェルズ】と【セイクリッド】がそのシェアを急速に伸ばし始めます。
 特に【ヴェルズ】は絶対的なエースである『ヴェルズ・オピオン』から圧倒的なビートダウンを得意としているデッキですが、今までは処理されたら返しが困難でした。
 しかし『ヴェルズ・ケルキオン』の登場により連続エクシーズ召喚が安定化した結果、そのシェアを急速に拡大し一躍環境トップに躍り出ました。
 というのも当時『ヴェルズ・オピオン』を突破できる手段はまだ『ジェムナイト・パール』や新弾で追加された『恐牙狼ダイヤウルフ』というランク4のエクシーズに頼っていたような環境の為、ランク4を扱えないデッキでは処理が困難でした。【水精鱗】や【暗黒界】等の高レベルに頼るデッキ達もこのカードに対する回答が少なかったこともあり急速にシェアを減らしていました。

 ジャンプフェスタ開催、新カード2枚環境入り

 年末恒例のジャンプフェスタにて新たに登場した新カード『アーマー・カッパー』と『獣神ヴァルカン』の登場により【水精鱗】が再び勢いを取り戻します。
 というのも今までの【水精鱗】は『ヴェルズ・オピオン』に対する対策が罠等に頼るか『ジェネクス・ウンディーネ』のデッキコストや『水精鱗-アビスパイク』の手札コストから『海皇の重装兵』を落とす位しかなかったのですが、この『アーマー・カッパー』が水属性ランク2ということから『深海のディーヴァ』から『海皇の重装兵』を出してエクシーズに繋げられるようになったことで『ヴェルズ・オピオン』を容易に返せるようになったことから再び勢いを取り戻していきました。
 更に『氷結界の龍ブリューナク』の減った枠を埋めるように出た☆6シンクロモンスターの『獣神ヴァルカン』も登場したことにより更に択が広がったのも追い風となっていました。

 年明け、炎星が一気に環境トップへ

 年明けの1月中旬頃、『V JUMP EDITION 8』の到着により【炎星】がついにその牙を剥き始めます。
 『立炎星-トウケイ』による炎舞カードの入れ替えや炎星モンスターのサーチと『熱血獣士ウルフバーク』の1枚から盤面を返せる展開カードの獲得により3軸と4軸の両方が一気に環境トップに躍り出ます。
 それまで4軸のみが環境で活躍していましたが、『立炎星-トウケイ』の登場により3軸がついにデッキとして成立、その圧倒的な展開力とリソース確保を武器に他のデッキを薙ぎ払いました。
 もちろん4軸も『熱血獣士ウルフバーク』により盤面返し能力が向上したことによりビートダウンを狩るビートダウンデッキとしてそれまで活躍していた【ヴェルズ】を駆逐しにかかりました。

 そうして環境はあっという間に炎星一色になりかけたところでこの環境は幕を下ろします。
 何故?と思うかもしれませんが、2月には新弾によりかの有名な二大勢力による圧倒的な2強環境がスタートするので炎星は実質1ヶ月ちょっとでその天下に幕が降りていました。

 最終的なTiar表

 こちらはあくまで私個人の判断であるため人によっては違うと思いますし、今後の環境のメタゲームによってまた変動する可能性があることはご了承ください。

Tiar1
3軸炎星、4軸炎星、3.4混合型炎星、水精鱗

Tiar2
ヴェルズ、暗黒界、ゼンマイ、ガジェット、アライブHERO

Tiar3
ガイド兎、炎王、セイクリッド、魔導

 基本的には炎星を中心に水精鱗やヴェルズ等の新カードを獲得したデッキを中心に回っていったという感じです。
 炎星に対するメタを突き詰める前にこの環境は全てなかったことになってしまった為、まだ見ぬメタカードやデッキの発見などがあるかもしれないので今後も注意が必要です。

この環境で気をつけるべきプレイ

 してはいけないプレイとは言いますが、ぶっちゃけこの一点しかないと言っていいほどです。
 それ以外は相手のデッキタイプによってプレイが変わるなどの普通の遊戯王なのですが、これに関しては環境への影響度が高すぎたのでご紹介します。

 相手のデッキタイプが分かるまでセットにサイクロンを打たない

 これは何故かというとひとえに【水精鱗】の存在によるものです。
 【水精鱗】には『アビスフィアー』というデッキから水精鱗モンスターをリクルートする永続罠が存在します。

相手エンドフェイズ前に使いアドを取るプレイがメインでした

 これだけであれば差程問題はありませんが、これから出てくるモンスターに問題がありました。
 『水精鱗-アビスリンデ』という☆3の下級モンスターがおり、そのカードが破壊された時に水精鱗モンスターをデッキから特殊召喚するので不容易に『サイクロン』を使ってしまうと逆にアドを取られてしまい不利になるといったことが起こります。

 具体的な例を出します。
⒈『サイクロン』で対象に取られた『アビスフィアー』を発動し『水精鱗-アビスリンデ』を特殊召喚
⒉『水精鱗-アビスリンデ』の効果で『水精鱗-アビスパイク』を特殊召喚
⒊『水精鱗-アビスパイク』の特殊召喚成功時効果で手札から『海皇の龍騎隊』をコストに☆3の水属性モンスターをサーチ(ジェネクス・ウンディーネか海皇の狙撃兵)
⒋水属性モンスターのコストとして使用された『海皇の龍騎隊』の効果によりデッキから海竜族モンスターをサーチ(深海のディーヴァか水精鱗-メガロアビスがメイン)
結果
 サイクロン側-1枚、水精鱗側+1枚

 結果として水精鱗側の手札が増えているということになります。
 今回は『海皇の龍騎隊』を例に出しましたが、これが他の海皇モンスターになるとこちらの盤面を荒らされて結果-2枚となり、枚数差が2枚に広がることは変わりません。
 以上の理由により相手のデッキが【水精鱗】と判明する前と【水精鱗】と判明した後に『サイクロン』を雑打ちしてはいけない理由となります。

 このプレイを逆に利用して【水精鱗】側がブラフを『アビスフィアー』に見せかけたり、セットが割られることがないということで『激流葬』やその他の罠を強く使ってくる厄介なプレイもあるので『サイクロン』は慎重に使いましょう。


終わりに

 如何だったでしょうか。
 ほぼ当時の記憶で申し訳ないですが、この環境を初めてやる方に向けての解説だったので上手く伝わっていれば幸いです。
 需要があればデッキのサンプルやプレイ面の事もまた少し書こうと思うのでその時はまたよろしくお願い致します。
 ではまた。

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