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一人暮らし変遷

※一人暮らしの個人的な振り返りです

一人暮らしを始めて三度目の冬が迫っている。

灯油用のポリタンクを原付の足もとに載せて、近所のガソリンスタンドまで運転しないといけない。コタツを出さなきゃいけないし、庭のユズも収穫しないといけない。夏用のシャツを片付けて、宇宙柄のダウンを出してこないといけない。

季節の変わり目の「やらなきゃいけないこと」にも、だいぶ慣れてきた。

自分は訳あって、二階建ての一軒家で一人暮らしをしている。同世代の友人たちがロフト付きの1Kでギュウギュウな生活を送っているのに対して、自分の家は1階と2階合わせて4LDK、庭とガレージもついているうえ風呂1つトイレ2つ。築年数は40年前後で、地震が来るたび家全体が軋んで気が気ではないのだが、今のところ目立つような損傷はなさそうだ。

2018年の春に移り住んできてから2年以上が経つ。
永きにわたって、この家の中で自分の居住空間といえばもっぱら1階だった。リビングにベッドとテレビとソファを配置して生活の全てが1室で事足りるようになっていたし、キッチンと風呂場にも直結している構造ゆえ、2階に上がることはほとんどなかった。友達が泊まる際はリビングの床に布団を敷き詰めれば十分。最大で12人を泊めたことがあったが、その時もリビングだけで8人収容できたし、残る4人には1階の和室で寝てもらった。

このような事情で我が家の2階は長らく、家主の自分ですら滅多に訪れない空き部屋と化していた。2階和室のふすまは夏も冬も閉め切られ、洋室と書斎も物置の役目すら与えられず、床にホコリが積もるばかりだった。友達にその話をするたびに「民泊にすれば儲かるじゃん!」というビジネスアイデアを頂きつつ、最寄駅からも徒歩40分以上かかる僻地に誰が住んでくれるものか、と毎回申し訳ない気持ちで生返事をするしかなかった。


そんな自宅事情に変革をもたらそうと決めたのは、大3の冬に就活を始めたタイミングだった。

ES作成やオンライン面談、Webテストなどに集中するための作業環境として白羽の矢を立てたのが、それまで空き部屋同然だった2階の書斎だった。その部屋には机と以前友人から譲ってもらった椅子があって、1階リビングに設置してあるルーターの電波もギリギリ届く。

それ以来、自宅2階は「作業部屋」としての役割を与えられるようになった。

そしてここ数日は、2階の和室を居住空間にするべく色々と試行錯誤している。小型のコタツと座椅子を設置して作業ができるようにし、寝るときも1階のベッドではなくこちらに布団を敷くようにした。障子の穴はとりあえずA4のコピー用紙で塞いでいる。

1階リビングに集約されていた居住環境機能を2階の和室にも分散したことで、日常生活にメリハリがつくようになった。昼間は主に1階で過ごし、暗くなったら2階の和室で「六畳一間」の擬似体験を楽しめている。

これから気温は下がる一方だが、石油ストーブとコタツでどうにか、この冬を乗り越えてみたい。