3.11 青空
ふと小学校や中学校、グランドでサッカーをする少年を見るとむかしを思い出す。
ひたすら、サッカーが大好きだったなぁ。
毎日、努力することが上手くなる道だと思ってたくさん練習した。
朝も昼も夜も。
プロサッカー選手になるために。
彼らもきっと、サッカー選手になりたくてボールを必死で追いかけている。
夢は必ず現実となって目の前にやってくるだろう。
いろんな出逢いがあり、いろんな感情と対面し、たくさんの人のおかげで這い上がってこれた。
でもまだまだこれから。
菊池流帆の物語は始まりにすぎない。
よく子供達や子供達の親に聞かれることは
どうしたらプロになれますか?
どうなんだろう。答えは本当にあるのかな。
俺にはわからない。
自分自身が上手くなるためにどうするか本気で考えて行動していく過程があってその先にどうなるかは神様しかわからないこと。
正直に言えば俺がプロになれたのは運が99%くらいを占めてると思ってる。
でもやっぱりいろんな喜怒哀楽があって、たくさんの経験があったからプロになれてよかったなと思える。
答えを最初から知っててそれをやったからプロになれたなんて面白くもなんともない。
答えなんて多分ない方がいいと思うんだ。
どんなことでも。
だから、なにを信じるか。
どんなことだっていい。
でも、自分は自分。周りは周り。
そう割り切らないと結局大切なものは見えてこないんじゃないかな。
自分のやりたいこと、欲求っていうのを叶えてあげないと、自分の本気でなりたいものにはなれない気もする。
やっぱり、周りと比較してしまう自分がいるんだと思う。
それは昔からそう。
競争、競走だ。
自分自身も周りには絶対負けねぇ、そうぶっ放して、周りに打ち勝って、プロになれたと思う。
正直、俺は競争が好きだし、負けず嫌いだと思う。
勝ったら嬉しいし、負けたらめちゃくちゃ落ち込む。
自分のことをすごいなんて思えたことなどない。
それは同じチームにすごい人やスーパースターがたくさんいるからだ。
だからやっぱり俺は昔から変わらずどこかで人と競争してるんだなって思ってしまう。
それは良いことでもあり、悪いことでもあると思う。
戦うべき相手は自分自身。
わかってる。
でも、全然ダメ。自分自身はまだまだ未熟だなぁ。
もっともっと成長していきたいなぁ。
3.11
毎年毎年、嫌な思い出を書きたくはない。
「人生」
この日にどれだけの人が自分の現実をそして未来を崩されたのだろう。
でもこの日を境に
俺の人生は
「人成」に変わったんだと思う。
自分がどう成長していくか、どう成っていくのか。
それを神様に試されているのかもしれない。
“釜石のみんなは強く生きている“
それを思ったのは、俺の同級生はみんな家を流され、避難所や体育館で生活して、たくさんたくさん大変な想いをして、大人になった。
でも、みんなはとても明るくて優しい笑顔をしている。
そこに黒い部分は全くない。みんな光り輝いている。
釜石はめちゃくちゃ田舎だ。
俺は都会に出ることは大切なことだと思っていた。
外の世界を見なければ自分の生きている所がこんなにも小さな所なんだと気付かないからだ。
都会に出て大切なことを学ぶこともたくさんある。でもそれと同時に大切なことを失うこともあるのかもしれない。
小さい所にいれば、1番大切なその眩しい笑顔、綺麗な優しさ、純粋な素直さは失わないのかもしれない。
自分がとても卑屈に見えてしまった。
それを俺は大切な友達に教わった。
そんな眩しい笑顔で流帆がんばれよ。応援してっがらって。
みんなは片時も離れず、自分のことを底辺にいた時から応援してくれて、今も素直にたくさん応援してくれて。
いつもありがとう。流帆のおかげで毎日楽しいよ。
なんでだよ。なんでそんなこと言ってくれるんだよ。
感謝のコップはいつもいつも溢れかえってるんだ。
それに気付かないで生きてしまうと当たり前になる。
それに気付くとおかげさまになるんだって。
自分のやっていることなんてすごい小さなことで。
本当はみんなにたくさん応援してもらって、支えてもらって自分の大好きなサッカーができているだけで。
でも、もし自分のやっていることがみんなの何かに繋がっているのならそれは
俺にとっての
「人成」なのかもしれない。
人生全ての出来事に意味がある。
それは最高の自分になるための全ての良いことだと思ってる。
人生は死ぬまで成長するためにあるものだと思ってる。
良いことだと思えない。これは悪いことだって。
でもそれを全て創り出してるのは自分自身なんだ。
運命は決まっているかもしれないし、それは分からない。
でも俺はこれだけは信じている。
絶対に俺はできると。
それを証明する航海。
俺の帆にはみんなの夢が詰まってる。
夢を掴むには
素直な自分でいることだと思う。
この先の自分がどうなるかなんてわかりやしない。
だからこそ、後悔のないように。いま、死んでも後悔がないように。
どんなことがあろうとたくさんの人達が応援してくれていることを忘れない。
人生はすごいシンプルだ。
自分の大事だと思えることを死ぬまで大事にする。
それが分かってもらえなくても、多くのことが向かい風に見えても自分の信じたことを正解にするんだ。
でも正解なんて本当はない。それは心の問題だから。
だから、自分の心が全てを決めるんだって。
幸せも成功も過去も未来も全ては自分が決める。
だから死ぬまで心を磨き続ける。
日本代表になりたい。それは常々言ってること。
それが自分の夢だから。素直な自分の夢だから。
叶うかどうかなんてわからない。
でも叶える。絶対に。
約束だ。
11年前。東日本大震災は未来を変えたかもしれない。
あの時、みんなが助け合って、支え合って、震災を乗り越えたあの景色を忘れることはできないだろう。
暗闇の中、未来が見えない中、
協力、団結。
が未来への光となった。
カズさんが来てくれて、みんなの目にそして心に火が灯った光景を今でも鮮明に覚えている。
そして、避難所の体育館でおばちゃんが一言こぼした。
こんな釜石まで来てくれてありがとう。
そう言って涙を流した。
あぁ、今思えばこれが生きる意味なんだと教えてくれたのは東日本大震災とカズさんでした。
“誰かにとって意味のある人間になること“
素晴らしい未来が待ってる。
そう思えなくてもそう思えるかどうか。
過去は変えられないというけど俺は変えられると思う。
成長するためにはあのことがあったからだめになったんだではなくおかげさまで素晴らしい人生になった。
と言えるかどうかなのかもしれない。
でもきっと、みんなが流れ着く答えが一緒ではないから、どれだけ自分の心が幸せを感じれるかなのかが大切なのかもしれない。
2022.3.11
vs 鹿島アントラーズ
綺麗な青空でした。
釜石はどうだったのだろう。
強い想いを持って臨んだ一戦。
本当に色んな想いが交錯していました。
でも結果は自分のせいで負けました。
たくさんの人が見てくれている中でみんなに夢や希望を与えることはできませんでした。
本当にショックで悔しくてめちゃくちゃ落ち込みました。
でもなんか自分らしいなって。
きっと神様はお前はまだまだ。挑戦者なんだよ。って伝えてくれたんだと思います。
また0から這い上がるんだって。
それこそが菊池流帆なんだって。
自分を信じ切る。どれだけ努力しようが準備しようが最後は結局自分を信じれるかどうか。
この悔しさがまた自分を強くしてくれるんだって。
ありがとう。
人生には今必要なことが絶対起こるようになってるから。
でもいつになっても悔しさは慣れないなぁ。
たくさん失敗しても絶対に立ち上がり続ける。
立ち上がってファイトし続ける。
その這い上がりの人生が少しでもみんなの心に何か響いてくれるものがあれば。
そのために闘い続けます。
顔晴って再出発します。
世界へと。
ヴィッセル神戸 菊池流帆
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