軽視され続けた介護労働者
今回の岸田政権の方針でも賃上げ月6000円。
国家公務員初任給が1万円上がるという。
公務員が高すぎるという寝ぼけたことを言うつもりはない。今は、むしろ国家公務員も不人気業種になりつつあるくらいだ。日本政府の政策立案能力低下にもつながりかねないので、物価上昇・民間給与上昇などに対応した人事院勧告の遵守は当然だ。今後も物価上昇が激化した場合、年度途中でも新たな対応はすべきとおもう。
それはそれとして、介護労働者の給料『アップ幅』が(世間一般の給料アップを反映している)新卒公務員の『アップ幅』の6割というのがおかしい。
これでは格差の拡大だ。
エッセンシャルワーカーが足りないとNHKも番組で取り上げるようになった。
政府が少なくともケア労働者の給料を最低月1万円以上まず引き上げないことには格差拡大=人材の他業種流出を是認したと断定せざるを得ない。
元々、介護や保育など、女性の仕事とされたものの賃金は低く抑えられてきた。
だが、それではもう回らぬ。
若手の中にはカナダや豪州へ流出する動き。
外国人労働者も地方から東京へ。
そして、日本、とくに地方の現場は、新人が70代後半などという有様。
これまで軽視されてきたつけである。

こうした中、ホームヘルパー国賠訴訟の原告団https://chng.it/2gSdvNk55f
が第35回「多田謡子反権力人権賞」を受賞したことは誠に意義深いことだ。

● ホームヘルパー国家賠償訴訟原告団
(介護労働者の権利・生活とケア労働の尊厳を守る闘い)

 在宅介護を担うホームヘルパーの仕事は、人手不足と高齢化で大変危機的状況になっています。求人15人に求職者1人、平均年齢は65歳になり、人手不足で小規模事業所が次々に閉鎖されています。これは介護のための予算を切詰めて、労働基準法が定める最低限の労働条件も守れない制度を国が押し付けてきた結果です。ほとんどのヘルパーは、待機時間も移動時間も、直前にキャンセルされた仕事の補償もない違法状態で働かされています。2000年の制度開始から今までに最低賃金は1.4倍になっていますが、介護労働者の賃金は同一のままで、最賃とほぼ同額まで切り下げられました。
「介護労働は女のやる誰でもできる仕事だ」という差別的考え方によって、介護労働が法の枠外におかれ、制度そのものが危機になる中で、長年、介護労働の問題と取り組んできたベテランヘルパー3人が、2019年、国の責任を問いケア労働の尊厳を守る国家賠償訴訟を起こしました。  一審での不当判決後も支援の輪は大きく広がっています。どうしても必要で大切な介護の仕事を、誇りを持って安心して働ける仕事にするため立ち上がった、3人のホームヘルパーに多田謡子反権力人権賞を贈ります。

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