Arnold Petersen "Komentoj al la 'Komunista Manifesto'"エスペラント版序文日本語訳

アーノルド・ピーターセンの「『共産党宣言』に対する論評」のT. Vederによるエスペラント訳を日本語訳しました。なお、私は共産主義者ではありません。

「共産党宣言」がエスペラントに初めて訳された時、エンゲルスが1888年に書いたかの有名な序文が含まれていなかったことは、実に奇妙である。私はエスペラント版「共産党宣言」を完全なものにするべく、同序文の英語版テクストを翻訳した。「共産党宣言」は、マルクスとエンゲルスが1872年に述べたように、またエンゲルスが1888年に繰り返している通り、「我々がもはや変更を加える権利はない」ところの「歴史的文書」である。
1888年版の序文は、次にあげるいくつかの焦点を提示している。
一 同宣言の第二章に言うところの即時要求のより重要な意義及び「暴力によるあらゆる既存の社会的条件の転覆」に関する記述。これらのうちのどちらも、当時マルクスとエンゲルスが程なくして革命が起こると信じていたことを基礎に置かない限り理解できない。
二 従来の国家機構の排除は必須であること。
三 「共産党宣言」に示されている諸原則をどう適用すべきか。
しかしこれらの論点は、アメリカ社会主義労働者党全国書記アーノルド・ピーターセンによって書かれた「共産党宣言」の妙々たる入門書の研究から十分理解可能となったように、それを採用するか拒絶するかが、あらゆる国家のプロレタリアートの運命に極めて重要な影響を及ぼす。私をしてマルクスの五十回忌を記念してエンゲルスの序文を新版「共産党宣言」への入門書と共に翻訳するべく駆り立てたのは、これらの論点が強調されていることに他ならなかった。
この入門書によって「共産党宣言」は再び現代のものとなった。実際、あまりにも長い間、様々な労働者団体や労働者階級のデマゴーグたちは、自らの悪行を覆い隠すべくマルクスの名を使うことが許されていた。本書で彼らのうぬぼれは引き裂かれることとなった。
外科医のメスは感染部位を取り除くために深くへと切り込みを入れねばならない。アーノルド・ピーターセンは慈悲を見せなかった。例えば社会民主的改革主義や無政府共産主義的擬似革命主義は致死の病として描かれている。それらにより全世界のプロレタリアートが苦しんでおり、自らの前進を妨げられ、勝利に達することができないでいるとされたのだ。
こうした団体は世界中で、恐ろしい巨大なフルンケルとしてらプロレタリアートの中心に陣取っている。詳しく調査すると、これらはどの国においても極めて似通っていることが明らかになる。この入門書がテーマとしているのはアメリカのみであるものの、しかし少し真面目に考えてみればどんな労働者でも自国における労働運動が抱えている病、とりわけ、それによって苦しむのが自らを革命論者と称する者であるような病に気づくだろう。至る所でじわりじわりと膿が漏れ出る中、それを完全に除去することが求められているのだ。
この翻訳が労働者のエスペランティストたちをしてかかる冊子について考え議論するよう促すのであれば、こうした同志たちが勇気を出してその問題に立ち向かい、各々の運動をあらゆる伝染性の有害物質から解放せんと試みるよう期待することが可能となる。そこで確実に、アメリカ社会主義労働者党の立場についてより多くを知りたいという願望が惹起されるだろう。だからこそ他の資料も付け加えたのであり、またそれに加えて、翻訳者である私は多くの問い合わせを受けることを予期しているし、またそれを望んでもいる。質問には即座に答えよう。脚注ないしその他の箇所でなされている参照指示では豊富な文献が指し示されており、それを見ればすぐに情報を収集できるようになっている。
アメリカ社会主義労働者党は、あらゆる国のプロレタリアートが無条件に従わなくてはならないような万全のスキームを提示していないものの、産業が後退した国家は自分より高度に先進的な国々の経験から利益を得ることができるという的確かつ合理的な意見を持っている。
このことは―少なくとも「将来の政府」に関する限りにおいては―共産党がプロレタリアートの前衛として自らによる統治を確立し、それが歴史と経済発展により決定される諸条件に沿って実際に活動を続けているソ連にもあてはまる。
後者の事実は、アメリカだけでなくその他の国々においても、いわゆる共産主義者たちにほとんど理解されておらず、彼らはまったく異なる発展段階にある諸国にロシア的方法論を押し付けようとしているほどである。事実、社会主義労働者党は、ロシアのボルシェビキの英雄的な闘争を理解し、そして多くの共産主義団体がロシアの「錯誤と欠陥」に対して、ないしそれについてわめき散らかしているのとはこれまた対照的に、社会主義へ向かって前進していく中でのロシアの革命家たちの行動を、彼ら自身の国家においては正当だったとみなしている唯一の組織である。
実は、共産主義インターナショナルがアメリカ社会主義労働者党を承認したことは決してなく、また同党も高度に工業化した国々の革命運動が抱える利害関係とは無縁の条件のもとでそうした承認を追求することは一度としてなかったし、今も求めていない。同党は、ボルシェビキが自国における課題で手一杯であり、また自国の産業が(アメリカと比べて)未発達だったため「全世界に目を向ける」ことはできないにもかかわらず、自らの過去の栄光に目がくらんで、自分たちは他国での運動にも指示を与えられると信じ込んでいることを理解している。谷間にいる者が世界に目を向けるなど不可能だ。しかしアメリカ社会主義労働者党は、世界の頂点、すなわちアメリカの産業発展のトップに立っているだけに、正確にそれを行うことができる。党は、朝日がことごとく光り輝いているのを、社会主義工業共和国がそのあらゆる従属物と共にあるのを見ているのだ。
アメリカ社会主義労働者党は、自分の立場は正しいと固く確信し、他のいわゆる労働者政党との下らない敵対関係には身を置かず、このように重要なテクストをエスペラントに翻訳することで、世界中のプロレタリアートに視点を置く政党である。同党は、全てのエスペランティストたちが自らの掲げる「エスペラントを世界中のプロレタリアートの労働に使おう」という有望な標語に従うことを望んでいる。彼らは、この期待が現実のものになってはじめて、社会主義思想を全世界で意識的にかつ賢く実らせるという、尊敬すべき自身の任務を達成することができよう。そうして、いやそうなってはじめて、エスペランティストの労働者たちは、今も世界中で響き続けているこの有名なスローガンを労働者に聞かせ、それを重要視させるべく、自らの役割を果たすだろう。

万国の労働者よ、団結せよ!



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